第2部 第11話 だんじょんとリスト解読会議

ほどなく・・・ダンジョンの前回よりも下層に到着した。


早乙女さんはM4カービンの先端に

バヨネットとかいうナイフを取り付けている。


一条さんは短機関銃MP5に持ち替えた。


サキさんはレミントンとかいうライフル? 散弾銃だそうだ

銃身の下にあるカバーみたいなのをカシャカシャとスライドさせていた。


「レミントンM1100、その内改造してあげるからね。

 異世界だから銃身短く切ってソード・オフも大丈夫」


西園寺さんはスパスとかいう、物々しい散弾銃? を持っている。

肩に当てるストックの所がハンガーみたいに曲がっている。


「フランキ・スパス12、セミオート? ポンプアクション?

 ああ、どっちから試せばいいの?」



そして・・・大きな天然のホールの様な空洞、上の方から

たくさんのネズミの様な鳴き声が聞こえてくる


サキさんが一条さんにスタングレネードを手渡した

「真輝、これ、お願い」


「・・・投げろってことね?

 みんな、絶対に目と耳は塞いでよ。いくよ」


スタングレネードの2本のピンを抜いてやや上を目掛けて投げつけた。

真輝さんも急いで耳を塞いで、その場に伏せた


僕も耳を塞いでうずくま

相変わらず、耳を塞いでいてもうるさい。


「キーラ、ミーラ、大丈夫だった?」

「ん、やっぱり、うるさい」

「ご指示通り、耳を塞ぎましたが、それでも耳が少し痛いです」


その後に見た光景はかなり無残なモノだった。


数十のゴブリンくらいの塊が、地面の上でピクピク痙攣をおこしている。


「コウモリはをしおるから、トドメは確実にな」


早乙女さんが、カービンの先端に付けたバヨネットで刺そうとするが・・・

「やっぱり、無理」

自動拳銃ワルサーPPKを取り出して、引き金を引いた。


みんな、それぞれの拳銃でトドメを刺しているようだ。


「結局・・・・死んだ振り、1匹もいなかったね」


「一瞬とはいえ、人間の耐えられる限界を超えた音だったから、

 聴覚の敏感なコウモリには耐えられなかったんだろうね」


「なんだか・・・・」


「スタングレネード、やめておこうか?」


「そうだね、耳も痛くなるし」


「それでは、右羽根の先端を回収しますね」


「ミーラ、私も、やる」




その後、出てきたブラッドライン・バイパーは僕の太ももくらいの太さがある

大きな蛇で、テレビで見たニシキヘビよりかなり大きくみえたけど

逆に大き過ぎて、2人の散弾銃の的になり。


ギガリテ・センチピードに至っては、黄色の毒々しい警告色が目印になって

みんなの的になってしまっていた。







「それじゃ、少し休憩します?」


「「長谷川さん!!」」


サキさんと、西園寺さん・・・・まさか?


「今、周囲に誰もおりません。M134見せてください」

「ミニガン、ミニガン、ミニガン、ミニガン・・・」


【ストレージ】  ヴォン♬


言われるままに、ストレージから取り出したけど、何、コレ?

何だろう? 強いて言えば充電式の掃除機に似てる?

吸引ノズルが6本あるけど?


「紗希・・・・ホンモノのミニガンだよ」

「綾女・・・・コレ、好きに使って良いんだよ」


一条さんに軽く腕を引っ張られた


「長谷川さん、こいつら、たぶん1時間くらいは、ココを動かないから、

 今のうちに休憩しようか?」


「はい」


およそ2時間後、その場を動かない2人を強引に説き伏せ。

ミニガンM134をストレージに片づけて、やっと帰途につくことができた。





ギルドでの、買取りもそこそこに、

あの2人に急かされ宿に連れてこられました。

ちなみに、報酬は金貨7枚と銀貨2枚でした。




さて、リストの解読会議が始まった。

僕が今まで書き出したリストの中で

サキさんが読み解けなかった部分を、3人に読んでもらって

少しでも解読を進めようという会のはずである。


正直3人共、なにがあったのか顔色が悪い



始めは、西園寺さんのようだ・・・・


「まずは、私からね

 長谷川さん、さっき言ったM202ロケットランチャーを出してくれる?」


「はい」


【ストレージ】  ヴォン♬


言われた通り、細長い箱に4つの穴が開いたM202を取り出す


「紗希にM202が有るって言われて、

 どうしても見たくなって長谷川さんに出して貰ったんだけど

 触っている内に、違和感を感じて、細かい所も見てみたの。

 これ、ちょっと変なのよ」


「ちょっと、M202なんて映画に出てくる定番のロケットランチャーよね?

 何が変なの?」


「M202って中身は焼夷ロケットなのよ、当たった目標は燃えるの。

 でもコレ、中身のロケットがHE、つまり成型炸薬みたいなの」


「成型炸薬? じゃあ爆発するの?」


「そう、M202のHEなんて、存在するのは映画の中くらいじゃ無いかな?」


「確かに作動不良を起こさないオートマグとか、

 G11と大量の専用弾薬を見つけた時は、ありえないと思ったわ」


「私達の世界では存在しないはずのモノはこれくらいで、次は危ないモノね、

 ある意味、があったわ」


「西園寺さん、クラスターより危ないモノって何?」


「対人地雷、対戦車地雷、指向性対人地雷クレイモア、それとFASCAM」


「綾女ちゃん、地雷は大体わかるけど、ファスカムって何?」


「クラスターとよく似てるの、ただし、ばら撒かれるのがなの」


「それは、確かにクラスターより危険かも、それ、どこに書いてあったの」


「155mm榴弾の所、自走砲M109の砲弾だと思う」


「砲弾の届く数十キロ先に地雷原を作るの? 」


「ダメでしょ、ソレ」


「ばら撒かれた地雷は一定の期間が過ぎたら、

 勝手に自爆しますから戦後復興も大丈夫って売り文句で発表してたけど、

 自爆しない一定数の不発弾が出る事がわかって世界中で叩かれたの」


「サキさん、絶対に使っちゃダメだからね」



次は一条さんか・・・


「次は私が見つけたモノだね

 バイクとテント、寝袋、防寒服、登山用のロープセット

 サーチライトと赤外線サーチライト、赤外線ゴーグル

 あとなんかがあったよ」


「よしっ、ミニガン稼働の問題点1コ、クリア」


「あとは、見つけて気持悪かったのが化学兵器に反応するセンサーかな?

 確か、その手のガスが撒かれた所に踏み込んだら色が変わるヤツ」


「・・・・そんなのが、あったんだ」


「あと、一つ、見つけたと言うか・・・・なあ、ココ見てくれる?

 コレ見間違いかな?」


『M104 Wolverine Heavy Assault Bridge』


「ごめん、知らない・・・何?」


「たぶん・・・・架橋戦車っての戦車」


「橋? 何を考えてストレージの中に、こんなモノを入れたんだ?」


「橋ですか? 今度、人の居ないところで出してみましょうか?」




「最後は、私ね

 応急手当のセットと、鎮痛剤、解熱剤があったから、

 これはストレージから出しておいてもらって良いと思う」


「そうだね、後で教えてください」


「あと、こっちにも化学兵器の被害を受けた人に

 緊急使用する薬剤があったよ」


「そんなのがあるんだ」


「その薬剤自体が劇薬なんだけどね」


「うわ~」


「それと、用途不明のよくわからないワクチンが3種類と、用途の明記されたワクチンが1種類」


「用途不明なの?」


「ワクチンなのは判ったけど、あとは記号なのかな?

 専門知識も無いし、よく解らなかった」

 

「用途が明記された方のワクチンって、なんのワクチンなの?」


「・・・狂犬病のワクチンだった」


「それって、犬に打つワクチンじゃないの?」


「さあ、ストレージから出して見たらパッケージに何か書いてあるかも

 でも、おそらく人間用じゃないかな? 日本でも海外に行くときに、

 渡航先によって打つ必要があるはずだけど、

 ただ・・・ストレージの中にあったモノだからね」


「・・・・・・怖いから打つのはやめておこう」


「ねえ、狂犬病って、海外では確かしてなかった?」


「サキさん、怖い事をサラッと言わないで。

 みんな、今日、誰も咬まれて無いよね?」


ミラセアに聞いたら、コウモリに咬まれた事が原因で感染する、

それも致死性の病気は聞いた事が無いようだ。

そいうえば、コウモリに咬まれた時の薬まで売ってたんだっけ。






「エーライザル王国国王よりミラセアクアラ様宛ての書簡が届いております」


宿に、皇城から使者が来たのは、この会議の後の事だった。





※獣人の耳は手で塞げる設定とさせていただきます。


※散弾銃の銃身短く切ってソード・オフは、

 銃の所持が認められている国でも規制対象になっています。


※M104ウルヴァリン架橋戦車は、ストレージに中身が入れられた時代では

 まだ試作品段階で表記はM1AVLBと書かれているモノが多いです。

 説明がくどくなりそうだったので、M104ウルヴァリンとさせて頂きました。

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