第2部 第8話 目を疑う光景
【睡蓮の宿】
さーて、寝る前に、今日使った分の補充を済ませるとするかな・・・
【ストレージ】 ヴォン♬
まずは空になったマガジンをストレージから取り出してと、
今日のダンジョンでは、最終的にみんながM4カービンに持ち替えたから、
5.56mmNATO弾の消費が多いな・・・
ストレージから5.56mmNATO弾の入った、
重たい金属製の箱を取り出した。
カチャ カチャ カチャ カチャ カチャ・・・・・・・
カチャ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コンコン
「はい?」
「長谷川さん。西園寺です、一条と早乙女も一緒です。
今日のダンジョンの事でちょっと」
「ドアは開いてますから、どうぞ」
ガチャ ドアが開いて
「はい、失礼しま・・・・・・」
何故か3人が凍り付いたように、動きを止めた。
一条さんが、妙に焦っている・・・どうしたんだろ?
西園寺さんは、中空を見詰めて何か考えている・・・
早乙女さんは口を開けたまま、僕の方を見ている
僕とテーブルの上とを交互に見ているみたいだけど
「はっ・・・長谷川さん? 何をしているんですか?」
「今日使った分の弾丸をマガジンに詰めてますけど、何かありました?」
どうしたんだろう? 3人共、顔が
一条さんが真剣な面持ちで僕の方に近づいてきた。
そして、テーブルの上に置いた、20本ほどの
空の30連マガジンを指さしながら
「ごめん、長谷川さん、色々聞きたいけど。
何で長谷川さんがマガジンに弾を詰めてるの? 紗希は何をやってるの?
それに、どうして指で1発づつ詰めてるの?」
・・・色々と立て続けに聞かれたけど、何が聞きたいのかな?
そういえば、弾丸って中に火薬のつまった危険物だ
もしかして、僕の知らない約束事があったのかな?
「え~と、大体、なんとなく僕が詰めてます。
あの、もしかして他に弾を詰める方法ってあるんですか?」
確かに、コレ、ちょっと時間がかかるよね。
きっともっと簡単な方法があるんだ。
「綾女、椿、ちょっと紗希を連行してきてくれる?」
「椿、行こうか?」
「うん、これは酷すぎるね」
しばらくして、サキさんが二人に挟まれるように両腕を掴まれながらやってきた。
「なによ、急に? ・・・・・あれ? 3人共、なんか本気で怒って無い?」
その瞬間、3人の奥歯が
「紗希ちゃん、これはさすがに酷すぎるでしょ?」
「一人で大量のマガジンへの装弾作業、
しかもマガジンローダー無しなんてイジメか?
こんな事させてたら指を痛めるぞ」
「まさか紗希、長谷川さんに、こんな事、ずっとさせてたの?」
サキさんは、3人から詰め寄られていた
「真輝・・・・・マガジンローダーって・・・・・・なんだっけ?」
なぜだろうか・・・僕には、その場の空気が凍りついたように見えた。
サキさんが、今度は3人に取り囲まれている。
「紗希、どうしてあなたが知らないの?
バナナマガジンに一気に30発入れたりとか動画も見た事無い?」
「紗希、まさかトリガーハッピーのあんたがばら撒いた分、
全部、長谷川さんに弾込めさせてたのか?
ここまで非道な状況は、さすがに予想外だ」
「紗希ちゃん、何かの冗談だよね?
あのBB弾散布マシーンの紗希ちゃんが、
あれだけBB弾のローダーを使っておいて
実弾用のローダーがあるのを知らないなんて」
「でもみんな、私、映画で、そんなの使ってるの見た事無いよ?
どの軍人さんも、出撃前なのに、みんな1発づつ指で入れてたよ」
「映画で、マガジンローダーを使ってたら見てる観客が興ざめするわよ
あんなの演出に決まってるでしょ」
「紗希ちゃん、変な映画の見すぎだよ」
「正直、それは、どーでもいいから、そもそも紗希、
どうして長谷川さんに、こんなコトをさせてるの?」
え~と、サキさんが責められてる?
「あの~」
僕に4人の注目が集まる、ちょっと怖い。
「おそらく、僕とミラセアとキーラの3人だった時には
僕が弾込めをやってたので、その流れだと思いますよ」
・・・・・まるで、僕が何も言わなかったかのように無視された。
「とりあえず、M4カービン用は木製のローダーを造ってる動画を
見た事があるから、職人さんを見つけたら制作を依頼しないか?」
「それまでは、マガジンは各自分担して弾込めする、いいね?」
「長谷川さん、この空のマガジンと弾丸、持って行くね。
今日のダンジョンだって、使ってたのM4だけじゃ無いでしょ?
それも全部出して」
「・・・はい」
空のマガジンと弾丸を全て持って行かれてしまった。
「え~と、西園寺さん、何か話があって来られたんじゃ無いんですか?」
「紗希が何かご迷惑をかけて無いか、聞き出すのが目的でしたが
まさか、ここまでだったとは・・・
長谷川さん、まさか、この作業の後にリストを書き出しをやってたのですか?」
「・・・まあ、書ける分だけですが」
「今回のマガジンローダーの件は予想外でした。
ただ、私達4人それぞれ、知識に
これは、同じリストを見せてもらっても、違うモノを見つけそうですね」
「そうなんですか?」
「なので、今後は私達も長谷川さんのリストを見せていただいて、
有用そうなモノや危険物を見つけたら
その情報をみんなで共有したいとおもいます。
それで、よろしいですか?」
「もちろんです。よろしくお願いします」
「なので、長谷川さんはゆっくり休んでください」
「・・・はい、ありがとうございます」
※マガジンローダーについて補足説明させて頂きますと。
30連マガジンという、弾丸が30個入る箱状のモノがございまして
銃を撃ち尽くした時は、この箱を取り替えます。
空になった、この箱に1つ弾丸を詰めていく毎に、
中に仕込まれたバネの反発力が強くなっていきます。
30個目を入れる時には、かなりのチカラが必要になるらしいです。
マガジンローダーという道具を使用すると30個の弾丸を並べて、
1回もしくは数回のガシャンという作業で詰める事が可能になります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます