第2部 第9話 日本人女子会プラス

 【紗希】


初めてのダンジョンを経験した後、マガジンローダーの事も

みんなにこっぴどく叱られて・・・


カチャ カチャ カチャ カチャ カチャ・・・・・・・


「紗希、あなた、かなり気が緩んでるわね?」


「なによ、綾女、今度は何?」


「私もそう思った、紗希、ストレスなんて微塵も感じて無いだろ?」


「というか・・・紗希ちゃん、ストレージの中身に気を取られて暴走中?」


 部屋に戻ってからマガジンに弾を込めながら

 みんなからダメ出しをされている。





「私だって、こっちに来てから結構大変だったんだよ」


「紗希ちゃん、何が大変だったか、いくつか思い出してみて」


なによ、大変だったんだから、見てなさい え~っと


「・・・・・・・・・・・・・・」

「ねえ? 思い出せた?」


「・・・C4とダイナマイトとテルミットとスタングレネード」

「楽しそうだね、紗希ちゃん」





「紗希、ちょっと長谷川さんに甘え過ぎじゃないか?」


「真輝、私は、ちゃんとミリタリーの知識で長谷川さんに、お返ししてるよ」


「紗希ちゃん、自分が大失敗をしてるの気が付いているかな?」


「椿、大失敗って・・・何よ?」


だよ」


「布教って? そんな事、はじめからやって無いわよ」


「ミラセアさん、布教成功。キーラちゃん、布教成功、

 ミーラちゃん、現在布教活動中。長谷川っち、布教失敗!!」


「確かに、長谷川さん。ダンジョンでも1発も撃ってない。

 これは布教失敗してるな」


「布教って、ミリタリー関連の事なの?」


「確かに、あれだけの最重要人物スポンサーを(ミリタリー)マニアどころか、

 ファンにすら出来ていないね」


「あまつさえ、大量のマガジンへの弾込めを強要して・・・・

 紗希、長谷川さんに、ミリタリーに関する嫌悪感を植え付けてない?」


「誤解よ、強要なんてしてないわ」


「紗希ちゃん、もしサバイバルゲームのチームに入って、

 丸1日、BB弾の弾込めだけ、やらされたらどうする?」


「・・・・・やらせた奴に無理矢理ゴーグルつけさせて、

 そいつにミニガンM134のBB弾1700発全弾撃ちこむ!!」


「紗希、絶対にヤメロ、けが人が出る」


「紗希、BB弾の回収は一人でやってね。私は絶対に手伝わないから」





「でも、紗希ちゃんが長谷川っちにしていること、ほぼ、それだよ」


「えっ?」


「ていうか、紗希の方は初対面だよね。どうして長谷川さんに、

 そこまで懐いたの?」


「懐いたって・・・・

 お父さんが、サバイバルゲームを含めて全部話してたからかな?

 もう別に隠す事も無いから気楽に話せる?」


「その割に、長谷川っちの方は紗希ちゃんと?」


「なにそれ?」


「言葉の掛け合いはするけど、席は必ず離れるし。

 話が長くなりそうになると、あのミーラってメイドの娘が

 長谷川っちに声をかけて連れて行く」


「そうかな? 席は私達4人が話易いように気を遣ってくれてたと思ってたけど。

 そう言われれば、長谷川さんって皇城を出てから、服屋やギルドの中でも

 妙に周囲まわりを警戒してたみたいだったね。

 単に女性の集団に男性が1人だから、その辺の事で気を遣ってるんだと思ってた」 


「私、長谷川さんに距離を取られてるの? なんで?」


「なんでって・・・・なんでだろ?」


「椿、私がを聞いてるんだけど?」


「いや、そうじゃなくて。

 長谷川っちのからすると

 感情にまかせて、ヒトと距離を取ったりはしないでしょ、

 つまり、何か理由があって、意識的に距離を取っている?」


「もし、そうだとすると、その理由を知っているのは?」


「それは、距離を取るのに協力している・・・・」


「「「ミーラちゃん?」」」






「それで、私が呼ばれた訳ですか?」


 居ても立っても居られずに。ミーラちゃんを呼び出してしまった。


「ごめんね、変な事を聞いてしまって」


 まったく、まだ15歳の子に、私は何て事を聞いてしまったのか。


「いえ、ナオ様が皆さんと距離を取っているのも事実ですし、

 その理由も無理矢理ですが聞き出してあります。

 ですが私は、この件については、お話しできません」


「ミーラちゃん、理由知ってるの?」


「申し訳ありませんが、ナオ様からを禁じられております」


「お願い、教えてミーラちゃん」


「サキさん、いい加減にしていただけますか。

 として、主人の命令は絶対です。

 その主人から与えられた、たった1つだけの命令を

 あなたは破れと言うのですか?」


「ミーラちゃん」


「それでは、失礼します」





「ちょっと待って。ミーラちゃん、『口にする事を』って、

 もしかして長谷川っちの命令を破らずに話す方法があるのかな?」


「『口にする事』を禁じられているなら、筆談なら大丈夫なの?」


「綾女・・・」


ミーラちゃんの表情が強張る・・・


「確かに可能ですが、多分・・・これを知ったら






「解呪の条件か・・・」


 綾女の呟きが、部屋の中に、とても大きく聞こえた。


「確かに千年解けなかった呪いが、長谷川っちが触っただけで解けたんだから

 その理由を考えるよね。

 だから紗希ちゃんにも呪いに触らせたり、解呪の様子を観察してたりしたんだ」


「自分の戦闘行為や行動が原因で、私達も含めて呪いが戻りかねない。

 しかもミラセアさんは、それに耐えられそうに無い・・・か。

 それが戦闘に参加せずに裏方に廻ろうとする理由かな?」


「今日のダンジョンで、ゴブリンの耳の回収をミーラちゃんに行かせたのも

 ソレが原因かな? もし瀕死だった場合を考えたか?

 それとも刃物を使う事自体を避けた?」


「長谷川さん、どうしてそれを教えてくれないの?」


ミーラちゃんが、ペンを走らせる

『おそらく、誰にも言うつもりは無かったはずですよ。

 私も無理矢理聞き出しました。

 あくまで可能性の話で、そもそも何の確証もありません。

 まあ、お姉ちゃんはともかく、

 ナオ様の行動が変な事を、ミラセア様は気が付いていると思いますが』


「ミラセアさんが?」


『解呪の条件を千年の間考えてきたのに

 その条件がわからないまま解呪が起きてしまいましたから。

 解呪の理由も再発の可能性も謎のまま、同じような境遇の女性が4人現れた。

 自分の使ってたライフルをミラセア様に渡したり、戦闘に参加しなくなったり

 ナオさんがに慎重になった理由について考えていると思います。

 ナオさん本人には怖くて聞けないでしょうが』


「とりあえず、紗希」


「何、綾女?」


「全てを解決なんて思いつきませんから、出来る事から探してみましょう」


「出来る事って?」


「長谷川っちのお陰で、生活全般は大丈夫みたいだし、

 日本に帰る方法というか手がかりを探そうか?」


「探すって言っても、何をしたら?」


「紗希、文字は大丈夫なんでしょ?

 図書館とか・・・書物は当たってみたの?」

「綾女」


「紗希、その呪いをかけた凶王に関する遺跡とか無いの?」

「真輝」


「紗希ちゃん、自分の持っているギフトの検証は?」

「椿」


「そうですわね、現状打つ手が無くても私達に有用なギフトがあれば、

 何か突破口になる可能性がありますわね」


「ああ、そちらを試す方がよほど建設的だな」


「とりあえず、が日本に帰れば

 長谷川さんの心配事がいくつか片付きます。

 さすがに呪いも日本までは追って来ないでしょう。

 みんなで帰る方法を探しましょうか」





私の事を思って言ってくれた、その綾女の言葉を聞いて、

私は、どうしようもないを感じてしまった。


「ちょっと待って、綾女、帰る方法を探すのは賛成だけど。

 さすがに私達4人だけ、先に帰るみたいな言い方しないでよ。

 もし、私達だけで帰れても、長谷川さんの

 何て説明すれば良いの?」


3人がハッと何かに気が付いて顔を見合わせ

互いに気まずそうに一斉に目を逸らした・・・・


「・・・・ちょっと待って、あんたたち、何隠してるの?」







「紗希ちゃんが、行方不明になって。お父さんから長谷川っちの話を聞いて

 メンバー全員で長谷川っちの身辺調査をしたの」


「・・・・何があったの?」


「長谷川さんは中学生の時に事故でご両親を亡くされてたの」


「・・・・・・」


「メンバーが調べた範囲では、恋人や親しい友人、

 休暇中に会いに行った親戚なんかの情報も出なかった。

 別に本人に確認したわけじゃないけど、

 長谷川さんを見てると、ミラセアさんやキーラちゃんと、

 この異世界で生活する選択肢もあるのかなって」






【ナオ】


リストの書き写しが、今夜は非常に進んでいる。


コンコン

「ナオ様、少し、よろしいですか?」


「どうぞ、どうしたの、ミーラ?」


ミーラを中に招き入れた。


「先ほど、サキさん達に、ナオ様が皆さんと距離を取っている理由を問い詰められ

 筆談で説明いたしました」


「・・・ごめん、説明したのか聞いて良いかな?」


「解呪の条件に戦闘が関わる可能性があるので、

 戦闘行為からは距離を置いている事を説明しました。

 はしていません」


「内緒にしてくれて、ありがとう」


「あと、ナオさまのご両親が亡くなられている事が

 あの3人から、サキさんに知らされました」


「・・・まあ、別に隠しているわけでも無いし、いいんだけどね」


「あの4人、呪いの条件とギフトについて何かの調査行動を

 起こすつもりのようです」


「わかった。ありがとうね、ミーラ」






※「・・・・・やらせた奴に無理矢理ゴーグルつけさせて、

  そいつにミニガンM134のBB弾1700発全弾撃ちこむ!!」


あくまで、イメージです。絶対にマネはしないでくださいm(__)m

このBB弾を発射するミニガンはもちろん所持しておりません。

この弾数も見つけた記事から引用させて頂いてますが・・・

1700発が一番少ない数でした。

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