第2部 第7話 はじめての だんじょん

翌朝、みんなで3人のギルド登録のため、皇都の中央ギルドに向かう

受け付けの列に並んで、順番を待つ。


「長谷川さん、こういう時は、他の冒険者にからまれるのがお約束では?」


「一条さん、僕も経験無いですよ」


「一度・・・あったんですね」


僕達の番が来た。

「すみません、カリキュレーターのナオです。冒険者ランクA。

 こちらの3人の冒険者登録とパーティー登録をお願いします」


ギルド職員さんは、丁寧に説明をしてくれる、さすがは国の中央ギルド、

この辺はキッチリしている。


さて、説明してくれている間に、僕は、どんな依頼があるか見てみよう。

さすがにうちの定番のワイバーンは無いな。


「ナオよ、そういえばダンジョンに行ったことは無かったな?」


「そうだね、流れ弾で他の冒険者を怪我をさせるかもしれないから、

 今までは行かないようにしてた」


「それならば、この近くに確か蟻の巣状のダンジョンがあるぞ、

 迷宮型と違って大きな部屋が通路で繋がったタイプじゃから、

 銃でも大丈夫じゃと思うが? 」


「通路で攻撃したら、向こう側に冒険者が居たりしないかな?」


「いや、さすがに通路の向こう側で戦っておれば音でわかる、大丈夫じゃろ」


「それじゃあ、せっかくだから行ってみようか。

 どんな銃なら使っても大丈夫かな?」


「サキとも相談してみるが、まあ、使えるのはカービン迄、フルオートは無しかの。

 グレネードのたぐいも、やめておいた方が無難かもしれん。

 ミーラはハンドガンの練習、お主も練習するつもりならサブマシンガンか?

 あの3人はハンドガンから・・・いや、サキのなら気にするだけ無駄か」


「あの3人は、たぶんだね。そのダンジョンには何が居るの?」


「討伐を始めたばかりの冒険者向けじゃと言っておったな、

 確か、浅い階層じゃとゴブリン、コボルト、リザードマンじゃったかな?」


「みんな、僕もダンジョンは初めてだけど

 銃の訓練には丁度良さそうだね、どうする?」


「長谷川さん、ダンジョン・アタックですね、ぜひ行きましょう。

 こっちの3人も実弾の扱いに慣れないといけませんし」


「じゃあ、依頼を受けてくるから後で必要な物を教えてね」




【サキ】


「もちろん聞こえてたよね? これからダンジョンに向かうから。

 相手は初心者向けのゴブリンやコボルト、リザードマン

 武装はカービン以下でフルオートは無し。

 武装の途中変更も可能、初めに何を使うか決めて」


「その銃が自分に合わなかったら、すぐに変更できるのは便利よね。

 私、自動拳銃ガバメントで」

 綾女はガバメントか。


「まあ、実戦は初めてだし、大人しく見ているよ。

 自動拳銃ベレッタM9で」

 真輝はM9ね。


「もちろん、大人しくしてる。

 短機関銃H&K MP5


「椿、あんただけ全然大人しくないじゃない?」






【ナオ】


「依頼票受け取って来たよ。場所は、ここから徒歩で1時間の遺跡にあるんだって」


「長谷川さん、後でガバメント、ベレッタM9、H&K MP5をお願い」


「はい、わかった出しておくよ」


僕達はギルドから外に出た。


「そういえば、移動はどうしようか? あれ5人乗りだからもう一台何か出す?」


「今、何に乗ってるんですか?」

 一条さんは車両の方に興味があるみたいだ。


「それじゃあ、街の外に出たら見せるね」







門から出た所から、物陰をさがして周囲を見回してから・・・・


【ストレージ】 ヴォン♬


UAZ-3151を出した。


「前はハンヴィ乗ってたんだけど、燃料が切れちゃって。今はこれに乗ってるの」


サキさん、そんなに悔しそうに言わなくても、これで良いじゃない。


「紗希、ハンヴィーってM998の方だよね?」


「そうだけど、何?」


一条さんはリストを指さして

「多分、リストのこの辺、全部ハンヴィーだよ」


「え?」


「確かハンヴィの救急車とかTOWミサイル搭載タイプとかだと思う」


「サキさん、燃料問題はともかく、当面の車両問題は解決したのかな?」


「そうだね、長谷川さん。TOW搭載は、出すのもったいないから

 救急車出してくれる?」


「了解、この辺に出して見て救急車かどうか確認するね」


 ストレージから出したハンヴィーには大きく赤十字が描かれていた。

 それと、さっき頼まれた銃も取り出す


「これは間違いなく救急車だね。あと、はい、これが頼まれた銃」


 3人が、うれしそうな顔で銃を受け取る。


 UAZ-3151とハンヴィーの救急車を並べて

聞いてみた。


「サキさん、どっち運転する?」


「絶対ハンヴィー!!」

 そうだと思いました。


「オッケー、じゃあみんな適当に別れて乗って」




「紗希、このハンヴィー、もしかしてあなたが運転するの?」


「まかせて、もう数百キロは運転したから大丈夫よ、あれ?」


サキさんがハンヴィーの後ろのハッチを開けて声をあげた


「どうしたのサキさん?」


「長谷川さん、これ後ろに6人乗れるから、これ1台で全員行けるよ」


「そっか、じゃあこっち片付けるね」


「よろしく~」





サキさんの運転するハンヴィーに揺られ

ものの10分程で、ダンジョンのある遺跡後近くに到着した。


入口近くに、2人の槍を持った兵士と近くに大きな天幕が見える。

「あの兵士に依頼票とギルド証を見せるだけじゃ」

物陰でハンヴィーも回収して、入口に歩いて行く


ギルド証を見せたが、何も言われなかった。


「ここがダンジョンか」


「そういえば長谷川さん、ダンジョンって何をすればいいの?」


「要は定期的な害獣駆除だって。

 ゴブリンとコボルトは右の耳を

 リザードマンは尻尾の先端を持って帰ると

 お金に換金してくれるらしい。

 死体はほっとくと消えちゃうんだって」


「消えちゃうんだ。しかも切った部分は消えないの?

 どういう原理だろうね」


「消えるというか、実際には数日で骨も残らず地面に吸収されるらしいぞ」


「ミラセア、何か注意事項あるかな?」


「まあ、射線に冒険者が居ないかと、味方を撃たないようにくらいかの?」


「ありがとう、みんな気を付けてね」


ミーラはM36を、キーラはグロック、ミラセアはいつものカービンを持っている。





「みんな、向こうからゴブリンが複数で来るよ、射撃準備」

サキさんが声をかける。


僕もMP5を取り出すけど、多分撃たなくていいよね?


「じゃあ、一斉に撃つよ、せーの!」

3体のゴブリンが穴だらけだね


「では、耳の回収にいってきます」

 ミーラが行ってくれた。


その後、コボルト、リザードマンと順調に初めてのダンジョン戦が

進められていた。


「長谷川さん、西園寺です、次はUziをお願いしますわ」

「長谷川さん、こちら一条、AKS74Uをお願い」

「長谷川っち、椿だよ、次スコーピオンがいいな」

「あんた達、ここは試射場じゃないんだよ」


順調に進められていた・・・・


3人は、今は安定のM4カービンを手にしている

「今の所、ダンジョンで銃を使っても問題は無さそうじゃな」

「そうだね、それじゃあそろそろ帰ろうか」

「はーい」






中央ギルドの受付に到着。


「すみません、ダンジョンの買取を持ってきたのですが、

 どこに行けばいいでしょうか?」


「はい、こちらの買取窓口にお願いします」


キーラとミーラが袋を持ってくれている


「こちらの買取をお願いします」


袋ごと渡した。


「中身を確認しますので、少々お待ちください」

「はい」

しばらく待っていると


「カリキュレーターの皆様、確認完了しました。

 ゴブリンの耳が60、コボルトが40、リザードマンの尻尾が32

 総額金貨4枚と銀貨4枚になります」


「それでお願いします」


「紗希、これでどれ位の価値なの」


「大体44万円くらいかな? 大雑把に言うと金貨1枚10万円、

 銀貨が1枚1万円だと思ってる」


「1日でこれか、儲かるね」


「ダンジョンでも意外に儲かるね、

 でもワイバーン相手だとぼろ儲けできるし楽しいよ」


「そうなの?」


「うん、バレットで落としてグレネードランチャーで潰して

 簡単に500万円だから」


「バレット・・・」

早乙女さんが動きを止めた。


「グレネードランチャー・・・」

西園寺さんの目が怖い


「次、ワイバーン行きましょう」

一条さん、笑顔ですが目が笑ってません。




「まあ、ワイバーン討伐は他の冒険者には人気が無いですから、

 もし依頼があれば、その時は行きましょうか?」






※一応記載しますが

 Uzi・・・イスラエル製の短機関銃

 AKS74U・・旧ソビエトのショートカービン銃

 Vz61スコーピオン・・・チェコスロバキア製短機関銃


 です、スルーして頂いてもまったく問題ありません。

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