第2部 第1話 新たなる旅立ち

海洋国家マルザム センタ 中央ギルド


僕達は、このセンタギルドのギルドマスター、

バイル氏の呼び出しを受けて応接室に通された。


「よく来てくれたな。ドラゴンスレイヤー」


「ご無沙汰しています、ギルドマスター。

 僕達に御用だそうで、もしかしてマルザムで何か出ましたか?」


「すまないな、まあ・・・出た事は出たんだが、この国では無いんだ」


「なるほど、どこの国でしょうか?」


「この国から、船で南西にいった所にあるユーヴァルト皇国という国だ」


「ほう、あそこか?」

 ミラセアが頷いた。


「ミラセアは行ったことがあるの?」


「ああ、どちらかというと文化や芸術振興に力を入れている国じゃな」


「もしかして、またドラゴン? さて、長谷川さん、次は何を使おっか?」


「サキさんやめて、それでギルドマスター、いったい何が出たんですか?」


「ああ、どうやらまたが現れたらしい」





「だから、わらわはとゆうておるのに、またか」


ミラセアのキレイな顔が、表情のせいで非常に残念なことになっている・・・


「ああ、この件に対処可能なのは呪いを解いた事があるナオ殿だけだから

 来て欲しいと連絡があった」


「また、同郷から来た日本人の可能性もありますから行きましょう。

 もしかすると知り合いの可能性もありますし」


「それでは、ギルドの方でも一番早く行ける船を探しておく、

 見つけたら連絡するから宿を教えてくれ」


「前と同じ【月夜の入り江】に泊まっていますので、よろしくお願いします」






センタの宿 月夜の入り江 一室


ユーヴァルト皇国へは船で2週間かかるらしい。

それで、皇国の港町ノーフレスに到着、そこから陸路なんだそうだ。


ギルドから連絡があって、明後日出発の【麗しのノーフ】という船だそうだ。

距離が近いので、ノーフレス行きの船は3日に1本位のペースで出ているらしい。


【月夜の入り江】の部屋の中で、今後の予定を打ち合わせる。


「とりあえず、明後日出発の船に乗る訳だけど、ミーラ」


「はい、ナオ様」


「僕たちの事で基本的にギルドにしか教えていない事と、

 ギルドにも秘密にして教えていない事があるんだ

 それを説明するから、憶えておいて欲しい」


「はい」


「まず、ギルドに教えているのは僕がストレージというギフトを持っていて、

 大量の物品を運ぶ能力を持っている事」


 【ストレージ】  ヴォン♬ 


「この中に馬車数台分の荷物を入れて重さを感じることなく運べる、

 これはギルド上層部と一部の商人さんしか知らない事」


「承知しました」


「そして、もう一つは。

 このストレージの中に、どういうわけか大量の武器があらかじめ入っていた事。

 これはここのメンバーしか教えて無いので絶対に内緒でお願い」


「ナオ様の国の武器ですか?」


 日本製は自衛隊の対空ミサイルだけだったよね


「まだ、全容がわかってないけど、僕の国の武器もあったね。

 甲殻竜や赤翼竜相手に使ったものもあるから、

 危なくて外に出せない代物が多いんだ。

 ただ個人で使用できそうな物は実際みんなで使っている。

 ミーラにも使ってもらう事になると思うので

 その時はよろしくね」


「はい、想像もつきませんが、承知いたしました」






ミーラにストレージと中に入っている武器について説明する・・・


もちろん、サキさんが・・・だ


「長谷川さん、まずは、S&W M36チーフ・スペシャルCOLT M1911ガバメントとH&K MP5、

 それからM4カービンを出してください・・・・」





一通りの説明が終わるのに2時間、ミーラの表情に疲れが見え始めた。


「サキさん、とりあえずミーラには拳銃から使い方を覚えて貰おうと思うけど、

 何から渡したらいいだろう?」


「前に長谷川さんが使っていたS&W M36チーフ・スペシャルで良いんじゃ無いですか」


 【ストレージ】 ヴォン♬ 


 M36と弾の箱を取り出す。

「そうだね、誰かミーラにコレの使い方を教えてあげてくれるかな?」


「キーラが教える」


「キーラ、大丈夫? 弾の入れ方や撃ち方も教えてほしいけど。

 危険な物だから、使い方を間違えて自分も他の人もケガをさせないよう

 に教えて欲しいんだけど?」


「キーラ、大丈夫。撃つとき以外は銃口は向けない、引き金に指は掛けない。

 ミーラに教える」


「わかった、ミーラ、これは危険な物だから注意して取り扱ってね」


「承知しました、ナオ様」


「あと、ミラセア。これから行くユーヴァルト皇国、

 文化や芸術振興に力を入れている国という事だけど

 そういう国って大抵他国の文化も寛容的だから禁止事項なんかは

 あまり無いと思うけど。なにかあるかな?」


「特にないな。しかし、すまんがナオ、わらわが皇国に行くと間違いなく、

 その隣国から呼び出されて、そちらにも行く事になる

 申し訳ないが、先に言っておくぞ」


「ミラセア、隣国と何かあるの?」


「隣国、エーライザル王国 エルフの国 わらわの祖国じゃよ」


「それは・・・ユーヴァルト皇国に顔を出して、そのまま帰ったら怒られるよね」


「ああ、おそらく港で止められて。皇国に捕縛要請が出るかもしれぬな」


「ミラセア、すまないけど大人しく、顔をだしておいてもらえるかな?」


「何を言っておるのかな、? もちろんナオも一緒じゃぞ」

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