第11話 ワイバーン討伐

ジメル村長から本当の情報を洗いざらい聞いた

実際にはワイバーンは3体いたらしい、つがいと若いオスだそうだ・・・



村の外れで、3体のワイバーンにどう対応するか相談する。

さて、どうするか、さすがに3体は予想外だ。


「ミラセア、キーラ、ごめんね、ちょっと危ない事をするよ」


「うむ」「うん」


「まず、落ちたワイバーンが生きていて暴れていたらコレを使って欲しい」


筒状の物体スタングレネードを見せる


「これは何じゃ?」


「まず、この筒を横にあるレバーごと握る、それから、このピンを2本抜いて

 相手に投げつけると、大体1数えるくらいの時間の後に、

 強い光と音で相手の目と耳を潰す。

 一瞬だけど、人間には耐えられない強さの光と音なんだ

 だから、投げてからは、絶対に目を閉じて耳を塞いでほしい。

 後で、実際に使って練習してみよう」


 実際に投げて、練習してもらう


「耳を塞いでおっても、身体にまで響く、かなりの音じゃな」

「耳、痛い」


「それから、これの取り扱いは、もっと気を付けてほしい。

 扱いを間違えると簡単に人が死ぬからね」


 僕はいつも持ち歩いている回転式けん銃S&W M36を取り出した。


「それは、なんじゃ?」


「僕がいつも持っている護身用の武器だよ、これから使い方を教えるね」


キーラに銃の持ち方、撃ち方を教える。


これも実際に撃たせてみる

「実際には、撃って相手がひるんでいるうちに逃げてね」


ミラセアにも同じ口径の回転式けん銃コルト・ディテクティブSPを出して教える

「少し離れると当たらないし、街中でつかえば他の人に当たる可能性があって

 無関係の人が死ぬかもしれない、くれぐれも気を付けてつかってね」 




「それじゃあ確認するね、まずワイバーンのよく使うコースを調べる。

 そこから、だいたい1000歩離れた所に待ち伏せて。

 通ったワイバーンを地面に撃ち落とす。

 そこで死んでいればよし、

 もし暴れていたら僕はトドメを差すために場所を移動するから

 このスタングレネードで相手の目と耳を潰しておいて」


「僕が移動中に上から襲われるのが一番まずい状況だ

 その場合、僕がスタングレネードを使う。

 使うときは声を掛けるけど音と光にきをつけてね」




 村はずれに天幕を張って、次の日からワイバーンの行動調査が始まった。


どうやら朝、山から出てきて夕方山に帰るようだ、巣でもあるんだろう。


朝から村の家畜をさらって食事をして、夕方またさらって山へ帰る様だ。


牧場の近くの林から約400mか、すこし近い気もするがココかな?


落ちても林から地面が見えるから、継続して狙えるはずだ

逆にキーラたちが隠れる所が納屋か家畜用の小屋しか無いのが気になる

それと下が土なので落ちた場合のダメージも小さそうだ、どうするか?

念の為にアレも説明して渡しておくか。







翌日、朝から計画を開始する、

ミラセアは納屋に、キーラは家畜小屋の方に隠れている。


バレットM82ライフルには目一杯の10発入れてみた。


安全装置を切り換える。


来た、1頭が上空で旋回して獲物を物色している、他はまだ来ていないな。


  ダァーン


よし翼に当たって落ちた、地面でもがいている。


牙をむき出しにして、怒りに吠え狂う、その頭を狙って


  ダァーン  


よし、まず1頭だ。


次のワイバーンが来るのを待つ、それは上空にやって来て

地面に倒れたワイバーンに気が付いたのか降りてきた。


 ダァーン


落ちたか、納屋の影だ、ここから見えない移動しなければ。


立ち上がって、とにかく走り出した、どっちに走ればいい? 左の方が早いか?


納屋の陰で大きな音が聞こえたスタングレネードだな


よし、やっと見えた。


その場に伏せて構える


ワイバーンの頭に照準をあわせて


 ダァーン 


これで2頭。




「ナオ!」キーラの切羽詰まった声。


最後の一頭がいつの間にか僕の頭上に来ている、距離が近すぎる

ライフルを手放して、とにかく逃げる。


こっちを執拗に狙ってきている、僕が撃ったのが良くわかったな。


「スタンを使う、気を付けろ!」


スタングレネードの2本のピンを抜いてワイバーンに投げつけた。


耳を塞いで目を閉じてうずくま


よし、ワイバーンが暴れている、今のうちに離れるぞ


あれ? ワイバーンがこっちを向いた・・・もしかして嗅覚か?


ヤバイ


「ナオ、アレ投げる」キーラの声


「わかった」


とりあえず、一目散に逃げる


キーラの声がきこえる

「1・2・3・今」


僕は、そのタイミングで伏せた

背中を爆風が通り過ぎた気がした


瀕死のワイバーンがいる、どうやらキーラに渡してあった破砕手榴弾M67 grenade

首付近で爆発したらしい。


正直、危ないから渡したくは無かったが、今回は正解だったな。


「キーラ、ありがとう助かった」


「キーラ、頑張った」


「ミラセア、ケガは無いか?」


「ええ、なんとかね」






気になったのかジメル村長が3人の取り巻きを連れてやってきた。


「ジメル村長、ワイバーン3頭です、確認を」


「・・・たしかに・・・確認した」


こうして我々のワイバーン討伐は幕を閉じた

村長がワイバーンの死体をどうするのかしつこく聞いてきた


「ギルドで回収するので、そちらが気にする必要は無いですよ」と言っておいた。


村で勝手に祝宴を上げている間に死体は回収して、

村長に一言「じゃあ」と声を掛けて馬車で出た。


今回の事に関しては、自分でもワイバーン対策の甘さを感じた。


銃や手榴弾についても、まだまだ研究が必要だ。


今回の報酬が入ったら、十分に時間を掛けてストレージの中身について

調べ直そうと固く心に誓った。






バールキナの街に到着してギルドに直行する

カークさんの居る受け付けカウンターに並ぶ


僕たちの番だ

「カークさん、すみません裏に行きます」

「分かりました、どうぞ」

裏の解体場へ行く。


【ストレージ】  ヴォン♬


ストレージから3体のワイバーンを出して。


「ワイバーンは3体でした、村で隠蔽していましたよ。金が無いそうです」


「なかなかを言ってくれますね」


カークさんが苦虫を潰したような顔になっている。


「カークさん、あの依頼を受ける冒険者が居なかったんじゃなくて、

 もしかして古株ベテラン冒険者は知っていたんじゃ無いですか?」


「ギルドに報告は上がって来ていませんでしたが、

 ベテランなら察していた可能性はありますね」


「やっぱり、そうですか」


「この件は、王都のギルド本部とウドバイン村周辺を管理している領主にも

 報告を上げさせていただきます」


「そうですね、変な情にほだされて、

 無駄死にする冒険者もいるかもしれませんし」


「ナオさん、その分も含めて今回の件、

 金貨160枚でどうでしょうか?」


「わかりました、それでお願いします」


「ありがとうございます、すみません、

 お伝えしなければいけない事があります」


「なんでしょう、急にいやな予感がしてきました」


「さすがナオさん、いい勘してますね。

 王家から召喚状が来ました」


「とうとう、来ましたか」

まあ、カークさんに警告されてたしね。


「すみませんが・・・状況は、かもしれません」


「ちょっとまってカークさん、どういう事ですか?」


「今回の王家からの呼び出しが書かれた勅命文書ですが

 宛名が呪姫様では無く、ナオさんの名前になってます。

 王家がナオさんに何か用事があるみたいです」


「どうしましょう? 逃げたくなってきました」


「すみません、ギルドの玄関に迎えの馬車がもう到着しています。

 報酬の支払いをさっさと済ませますので

 これから王都へ行ってきてくださいね」


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