閑話 父の疑惑

私の名前は、友ヶ浦ともがうら結星ゆうせい


妻と共に企業向け経営コンサルタント会社を経営している。


顧客からの評判も上々で着実に実績を上げつつある。


しかし、ここに来て問題が発生した。


わが社の主要人物の失踪だ。


数字に強い彼は高校生の頃からアルバイトとして


私達に協力してくれていた。


さすがに、アルバイトの立場では


顧客の情報には触れさせる事は出来なかったが


それでも、彼の活躍には助けられた。


その彼も、もう3回生だ。


卒業後は、ウチに来る前提で話をしていた。


彼の生真面目な性格から、失踪など考えられなかった。


私は今、ある疑惑に囚われてしまっている。




彼には個人的にある事をお願いしていた。


彼と同じ大学に、娘が入学したので娘を心配した私は


彼に娘の様子を見てもらうようにお願いした。


決して、娘が家でしているような破天荒な真似を


大学のキャンパスでやってないか心配したわけでは無い。


彼からは、猫を被った娘の様子が報告されてきて


それを聞いた私は安堵していた。


その彼が、突如失踪した・・・・・





「ただいま~」


 娘が帰ってきたようだ。


 娘の行動や態度に変化は無い。


 しかし、この疑惑は消える事は無かった。


「まさかナオ君、大学での監視がバレて娘と友人達に

 監禁されているんじゃあ無いだろうか?」


 地下室で椅子に縛られたナオ君と

 周囲を囲んでいる銃を手にした娘たちが容易に想像できる。




「お願いだ、紗希。最後の一線だけは超えないでくれ」

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