第9話 家族
「この家が僕たちの家、さあ、入って!」
カイルの村の家は木と土で作られた家がほとんどで、もちろんカイルの家もその一つ。
「お邪魔します」
入ると目の前にはリビングのような部屋があり、大きなテーブルと椅子が並んでいる。
カイルが椅子を引いて指さしながら
「ここに座ってて、みんな呼んでくるからちょっと待っててね。」
カイルは荷物を置くと、家の外に足早に出ていった。
落ち着いた雰囲気のお家で、おもちゃなんかもあったりして日常のにぎやかさが伝わってくる。
近くの棚には白黒写真が飾られている。
前に見せてもらった写真の人たちが移っている。
楽しそうだな。
気づくと時間は流れ、カイルが戻ってきた。
「おまたせ!紹介するね!僕の家族!」
みんなが次々と各々の席についていく。
「初めまして、ワシはギル。カイルとトウヤの父じゃ。」
「こんにちは、俺がトウヤ!よろしくね!こっちは、俺の奥さんのメイ。」
「こんにちは、めぐみちゃん、これからよろしくねー!この子たちが私たちの子のサヤとライ」
「めぐみお姉ちゃん!サヤだよ!7歳!よろしくね!!!!」
「ほら、ライも挨拶は?」
「こんにちは……5歳……」
「初めまして、めぐみです。これからよろしくお願いします。」
拍手が飛び交う、また恥ずかしいというか照れくさい。
「みんなは日中、畑仕事してるんだけど、僕とギルは村の診療所の仕事に行ってることの方が多いかな。ギルもこう見えても医者なんだよ。」
「こう見えては余計じゃよ。まあ、めぐみちゃんは学校行って、帰ってきたらメイの手伝いでもしておってくれたら十分ありがたい。」
「そうね、私も子供たちのお世話とかで手が回らないときがあるからすごくありがたいわ。ね、トウヤ?」
「家族が増えたみたいで、うれしくなってきたな。」
「サヤ!お姉ちゃんできてうれしい!!」
「あら、もう日が暮れてしまうわ!畑の片付けしてこないと!」
「ほんとだ!行こう!」
「サヤも!サヤも!」
「ワシも早いとこ診療所の戸締りでもしてくるかの」
みんな、ぞろぞろと家から出ていってしまった。
「いやー、あわただしい家族でごめんね。」
「いえ、みんないい人そうで安心しました。」
「それはよかった!それと、実はギルもムンヤなんだよね。」
「そうなんですね。この村には何人のムンヤがいるんですか?」
「二人だよ、5年おきにこの村にムンヤの子がやってくる。それで、今回みたいに年1回3か月の体験を3回してから、20歳になってどの世界で生きるか決める。でも、たいていの子は暮らしなれたキートでの暮らしを選ぶから、そんなに人数いないんだよね。」
「もう一人にもいつか会いたいです!」
「...いつか会えるよ。」
「そうだ!めぐみちゃんの部屋は2階だよ。」
階段を上がり奥の部屋が私の部屋だそう。
ベッド、机といす、タンスが用意されている。
「好きに使ってくれて構わないからね。あと、電気は通ってるんだけど村に一つの水車で電気作ってるだけだから、結構つかないときとかよくあるんだ。だから、夜はそこのランプ使ってね。服とかもタンスに入ってるから自由に使ってね。」
「ありがとうございます。何から何まで。」
「明日からたくさん勉強して働いてもらうから、今日はのんびりしててね。僕は診療所の方に行ってくるから。」
久しぶりに一人になった気がする。
気が抜けて疲れが一気に押し寄せた。
ベッドの上で意識が遠のいていく。
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