はじめまして

第6話 初めての世界

カイル「おまたせ!」

私は小さくお辞儀する。

カイル「よし! 出発だ!」


カイルが建物の扉を開きそこについていく。以前カイルに連れ込まれた部屋に入った。


「あの、カイルさんはどこからこの世界に来ているんですか?」

「ん? 僕もこの部屋から来てるけど、どうしたの?」

「いや、じゃあ、どこか行ってたんですか?」

一瞬困った顔をするカイル。

これは聞いてはいけないこと聞いてしまったなと直感的に思った。

「僕にも仕事があるんだよ。いつかわかるさ!」

ちょっとした沈黙。


カイルが背負っていたリュックから弥生時代みたいな服を出した。

「出発の前にこれに着替えて、前にも言ったようにキートの世界のものをシイムの世界には持っていけないからね」

「はい」

「思ったこと、当ててあげる。弥生時代みたいな服って思ったでしょ」

びっくりして、カイルの顔を見る。この人はテレパシー使えるのか。

カイルは笑って「テレパシーじゃないよ、何となく」


カイルは指さして「向こうの部屋で着替えておいで、大丈夫覗いたりしないから!」

私はうなずいて、その部屋に入る。


すごいほこりっぽい。小さな窓が一つある薄暗い部屋。

いろんな荷物が置いてある。何かの倉庫かな?


この服の着方これであってるのかな?

まあ、いいか。


部屋を出ると、カイルが待っていた。

「この服の着方これであってますか?」

「うん! あってるよ、よく似合ってる。」

なんかうれしくて恥ずかしくて、少し口角が上がるのがわかる。


「それじゃ、さっそくだけど、心の準備は大丈夫かい?」

「はい! 大丈夫です!」

満足そうな笑顔を向けるカイル。


「あの扉を開くと、シイムの世界に行ける。」

私の顔を少し見てから、カイルは扉を開ける。

扉の向こうは白い霧みたいな感じで全く見えない。

カイルは構わず入っていく。それに私も続く。




「いらっしゃい、めぐみちゃん。」


周りをきょろきょろ見渡す。

もと居た建物と同じ間取りの建物の中にいた。

でも、少しだけ家具の位置とか置いてあるものとかが違っていた。


振り向いて扉を見ると、向こうの世界に霧がかかっているように見える。


耳を澄ませてみると日本語が聞こえてくる。

「いらっしゃませー、マンズー1ついかがですかー」

「あら、お久しぶりね。息子さん大きくなったわね」

「今日の夕ご飯は何にしようかしら」

「このトトマひとつください」


外は商店街だろうか、たくさんの声が聞こえてくる。


私は、ゆっくりと出口の扉に向かって歩き出す。

扉に手をかけてゆっくり扉を開く。

開けた先には、私と同じ赤い目と尖った耳を持つ人たちがたくさん……


開いた口がふさがらない。

扉を開いてからどのくらい時間がたったかな。

自分でも体が固まっているのがわかる。


その後ろ姿を優しいまなざしで見つめるカイル。


肩に手が置かれる。

「行こう、めぐみちゃん」



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