第二話 原本

あの日のことは忘れられない。その日はいつもと変わらずよく晴れていた。蝉の声は喧しくも風情があるのであつた。


 それは大きな銅鑼焼きの様であつた。日本を覆い尽くしてしまうほどの大きさだつた。妖しく光り、輝いていた。それは作業の手を止め見上げさせる程であつた。


 その日から私達の生活は大きく変わつた。先ず始めに政府が機能しなくなつた。物資は無くなり、暴動が起こつた。


 強きも者や侵略者が表舞台に立つた。弱き者は陰で生きる他無かつた。物書などの文化人は希少とされ侵略者達に保護される様になつた。しかしそれは、事実上の投獄に変わりなかつた。

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変換 芝サカナ @343sakana

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