第23話追及する者1
私の名前は鰆目求実。
真実を求めると書いてもとみ。
貂彩学園の新聞部の一年生だ。
この貂彩学園には中学校からの入学組だ。
入試の際には一般的な算数とか国語の試験はなく、今まで取り組んできたことを発表する面接のようなものだけだったが、なんとか入学できた。
私は昔から身の回りで起きている出来事について、自分で確認しないと気が済まない性質だった。
学校の七不思議から両親の喧嘩の原因など、色んなことを自分の頭と手と足で追求していった。
それをノートにまとめていたのを発表したら、ぜひこの学園でもいろいろ調べていって欲しいとその場で合格となった。
成果物を提出してくれれば、取材にかかった費用は全額学園で負担してくれると言ってくれた。
手始めに学園の歴史や職員室の冷蔵庫のプリン事件、学園駅前の人気店の調査など、1学期も夏休みもたくさん取材できたが、内容は少し物足りなかった。
実を言うと、歴史や事件の調査よりもゴシップ的なものが一番興味があるの。
でもなかなかこの学園ではそういったものがおきない。
そんな中、同じクラスの砂糖元希美にゴシップの匂いが漂ってたので、私は密かに探りを入れていた。
そして今、学年主任である雲龍先生と砂糖元家の執事と思われる男との密談を取材中だ。
もちろん許可など取っていない。ただ後ろの席で聞いているだけだ。
盗み聞き?
人聞きの悪い言い方はしないでもらいたい。
私はたまたま後ろの席になり、たまたま会話が聞こえてきただけ。
聴いてるのではなく聞こえてるのだ。
密談とは名ばかりで、配慮のない会話である。
しかし、まさか砂糖元希美の執事長が貂彩学園の学園長、醤油屋権蔵だとは。
夏休みの取材の成果ね。
学園長の子供ではないが、砂糖元希美の動向に教師の緊張感が爆走している。
朝鳥先生を除いてね。
あの人はおそらく理解していない様だ。
担任から有力な情報が得られなさそうだから、学年主任である雲龍先生をマークしてて大正解。
河原で一人でバーベキューなんて寂しい休日だなと思ってたら、まさかこんな有力な情報が得られるとは。
しかし、あの砂糖元家の執事と思われる男はさっきからドリアを何個食べるのよ。
なんで執事と『思われる』なんて表現するのって?
それは見れば分かるじゃない。
100kgは超えてそうなだらしない体系で、食べ方もだらしない。
おそらく出身は埼玉の方ね。
それにしてもいったい何時になったら本題に入るのよ。
もう10個は食べてるんじゃない?
ドリンクバーもコーラとメロンソーダをトレーでいっぱい持ってきてるし。
あ、でもそろそろ本題に入りそうね。
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