第2話肥満執事2
『大きな』執事は主に罵声を浴びせたことを、なかったかのように取り繕う。
「お嬢様、嘘はいけませんよ」
「嘘をついているのはあなたでしょう?明日はちゃんと持ってきてよね。」
なんでお父様はこんな人を雇っているのかしら。今度会った時いっぱい文句言ってやるんだから。希美はそう決意をして残されたケーキをほおばる。
「ん~ん、おいしい。やっぱり塩見さんの作るケーキは最高ね♪」
「そうでしょう?特にこのフルーツケーキは格別ですよね!」
『大きな』執事は自分が盗み食いしたことを、なかったかのように嬉しそうに語っている。希美は呆れてものも言えず、冷ややかな目で自分が盗み食いしたケーキの美味しかったところを身体で表現しているのを見ていると、それに気づいたのか気まずい雰囲気を身体で表現しながら部屋を出ていった。
今度盗み食いしたらただじゃおかない!
翌日、塩見さん特性のきのこハンバーグを食べ終わり、希美は今日のデザートは何かしら?昨日はケーキだったからプリンかな?と『大きな』執事が来るのを心待ちにしていた。
しかし、1時間経っても執事が来ない。何か問題でも起きたのかしら?と確認しようと部屋を出ようと立ち上がると、「コン、コン」と元気のないノックの音が聞こえてきた。
返事をすると静かにドアが空き、トボトボと『大きな』執事が入ってきた。
「おまたせしました。デザートです。」
そう言いながらデザートを配膳すると、「では失礼します。」とトボトボと部屋から出ていった。
いつもなら希美が残すことを期待して鼻息荒く待っているのに。
昨日の事を気にしてるのかしら?まぁいいかと希美はデザートに目をやる。
今日はゼリーね、美味しそう。いくつか種類があるけど、どれも1種類ずつしかない。まさか、あの執事また盗み食いしたのかしら?でもお皿の大きさはちょうど良いし、昨日の今日だから大丈夫よね。気にしてたら美味しいものも美味しくなくなっちゃうよね。早速頂きましょう♪
ゼリーの中にフルーツが入ってるのね。オクラとか夏野菜のゼリーもある。冷えてて美味しい♪明日はどんなデザートかしら。
先程の『大きな』執事の様子はもう忘れ、希美は明日のデザートのことで頭がいっぱいになっていた。
それにしても『大きな』執事はどうして元気がなかったのだろうか。
希美は次の日、その事実を知ることになる。
そして顔を真っ赤にして、『大きな』執事を呼び立てるのであった。
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