第6話
制服から私服に着替えて弁当を届けに行けば、見知ってる先生が声をかけてきた。
「あれ、優希ちゃんじゃない。久しぶりね」
「お久しぶりです。ゆうこ先生」
ゆうこ先生は私が小学生時代からいるベテランの塾講師である。
「もう、体は大丈夫なの」
心配そうに聞いてくる。
「はいお陰様で。」
私は笑って返した。
でも、実際どんな表情をしていたかは覚えていない。
あの夏の記憶はもうどこかに飛ばしてしまった。
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