第5話

部活が終わったのは12時。今は16時。この時間でも結構暑い。


菜々美ちゃんや大和先輩たちと喋ったあとそそくさと家に帰れば塾に行く前の弟とすれ違った。


「姉ちゃん、行ってくるね」


手を振っているからとりあえず手を振り返す。我ながらできた弟だと思う。最近の模試も良かったと聞いた。羨ましい。


本当は私もああなるはずだったのに、と思いながら玄関を開ける。


「ただいま」


キッチンでは母が夕食の準備をしていた。


「おかえり、優希。悪いけどこれたくの塾まで届けてくれない?」


「んー、わかった。」


夜ご飯の弁当だ。私もよく届けてもらってたなぁなんて考えても虚しいだけだった。

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