走れ!少女

鈴音

もう、止まらない

突然、通りすがりのお兄さんに


「走れ!」


と言われた。背が高くて、優しそうな人だったから、言われるがままに走り出した。


それから三年が過ぎた。行く先々で様々なイケメンや美少女がご飯や飲み物をくれるし、最近は寝たままでも走れるようになった。


立ち寄ったところで行われるマラソン大会などで路銀を稼ぎ、服や靴を買い替え、火山の近くの温泉や雨で身を清めた。


髪は二年前から伸びなくなり、体脂肪率は一桁。胸もガチガチになり、手足は異様な程に伸び、普通自動車やトラックにぶつかっても相手の方が壊れる。


でも、走るのをやめない。


私の初恋の人が待っているのだから

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走れ!少女 鈴音 @mesolem

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