第7話 「終わらない仕返し」
「マ、マンマムマ……(もうやめてくれ……)」
「くすぐったいのが相当苦手なんだね。ふーっ、そーくんが私にやりたい放題されてるところ見たらスッキリしちゃった」
喧嘩をしてから今まで溜め込んでいた鬱憤を晴らすかのように小咲は俺にやりたい放題してきた。
なんとか小咲の猛攻を耐え切った俺は完全に疲れ切ってしまっていたが、小咲のスッキリした表情を見るとこの猛攻に耐えた甲斐があったってもんだ。
「マンムッ(スッキリしたみたいでなによりだ)」
「私がこれで二年間溜め込んでたものを吐き出し切れたと思う?」
そう言うと、小咲は百合さんゆずりのしたり顔で俺を見つめる。
いや、ていうかなんで会話成り立ってんだよこれおかしいだろエスパーですか?
「覚悟してよね。これが私が二年間溜め込んでた気持ちなんだから」
「……ムッ?(……えっ?)」
少しずつ俺へと近づいてくる小咲の顔。
小咲からしてみればただ可愛い赤ちゃんの顔をマジマジと見るために顔を近づけているだけなのかもしれないが、俺からしたらただ小咲の小さくて整った顔が目の前にあるだけという感覚。
どうにかして逃げようと暴れる俺を抑えつけ、小咲はそのまま俺にキスをした。
「マ、マ゛ーーッ⁉︎(何やってんだよ⁉︎)」
予想外の出来事に思わず発狂してしまう。
「ぷはぁっ。そーくんとキスしたって言ってもやっぱり赤ちゃん姿のそーくんだとそーくんとキスしたって気分にはならないね。うん。これはノーカンだ」
「マ、マームン?(ノ、ノーカン?)」
小咲からしてみれば赤ちゃんにキスしただけなので簡単にノーカンにできるのかもしれないが、俺からしてみれば幼馴染との初めてのキスをノーカンになんてできるわけもなく、頭の中は小咲とのキスでいっぱいになっていた。
「そっ。ノーカン。だから……元の姿に戻ったら、またしようね?」
「メ、マムッ⁉︎(またするのか⁉︎)」
「ふふっ。どうだろうね〜」
小咲の発言に慌てふためく俺だったが、その最中で先程赤ちゃんになるときに感じたのと同様に身体が熱くなる。
「バ、バムゥ……」
ま、待て‼︎ 今赤ちゃん姿から元の姿に戻るのは非常にマズい‼︎ マズすぎる‼︎
今元の体に戻ったらどんな顔して小咲の前に立てばいいのかとか、顔が赤くなっているのがバレるとか、色々問題はあるが一番の問題は他にある。
それは今、俺がオムツを一枚履いているだけという問題だ。
この状態で大きくなったら……。
「ど、どうしたの? 苦しそうだけど大丈夫⁉︎ 私やりすぎちゃった⁉︎」
「ア、アムアンム……(そ、そういうわけじゃ……)ムァッ‼︎」
そうして俺は煙に包まれ、けたたましい音を立てながら元の体へと戻ったのだ。
そう、みなさんご察しの通り、全裸で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます