第2話 蛇神①

女神とか神には大きく分けて二通りあるのはご存知かしら?




1つ目はね、生まれつき神や女神なの。


皆んなが知っている神や女神の殆どはこれなのよ。


正直、大きな力を生まれつき持っているし、美貌もあって羨ましいわ


最初から傅かれて羨ましいし..妬ましいわ..


ある意味、究極の依怙贔屓ね、最初から神なんて幸せ以外の何があるのかしら?



2つ目は、成り上がりの神や女神


私はこれ、これなのよ!


はっきり言って辛いわよ..だけどね、頑張れば誰でも神に成れるわ。


だってただの蛇が「女神」になれたんだから..人間が成れない訳無いわ。




私は、最初蛇に生まれた。


どれ位、蛇の人生を送ったか解らないわ..前世なんて蛇には解らないから。



ある時、私が池の傍にいると、1人の男が私の尾っぽを踏んだのよ。


頭に来たから、私はその男に噛みついたわ..まぁ蛇だから。


当然、男は持っていたナイフで私を切り裂いた..もう死ぬしか無いわね。


だけど、その男も私の毒で死んだ訳。


そうしたら、



「嘘だろう、盗賊、黒腕のズランが死んでいるぞ!」


「散々、女を犯し、金を盗んできたんだ..いいざまだ」



「領主様...ズランが死んでいます」


「どうして死んだのだ」



「蛇が...」


「そうか、これはきっと蛇が倒してくれたのだ..この池の傍に祠を建ててこの蛇を祭ろう」





可笑しいな、私は引き裂かれて死んだ筈なのに..なんでここに居るのだろう?


まぁいいや..死んでないなら..だけど..此処から何で出られないんだろう?


良く見ると体も透けているし..



出られない物は仕方ないわ..



次の日、人間が卵を持ってきた。


「蛇神様、お参りに参りましたですじゃ..」


そういって、卵を持ってきた。


凄く旨そうだ..可笑しい、食べられるけど..卵は無くならない..だけど一度食べた卵はもう一度食べても味がしない。


美味しくない..



蛇神様?



それが私の名前なのかな?


まぁ良いや..卵もくれるしね。



しかし人間って面白いわね..私に色々頼み事してくるのよ..ただの蛇なのに。


だけど、気が付くと、私の体が白くなっていたのよね。


今思えば、これが多分本当に「蛇神」になったそういう事なのかも知れない。



死に掛けの少女を抱えた女が居たわ。


娘が病気で死に掛けている事を凄く悲しんでいたわ..


「何でもするから娘を治して欲しい」そう願っていた。



体が白くなってからだけど、何だか不思議な力が身に着いた気がしたのよ。



もしかしたら治せるのかしら?


何でもするって言ったわね?...そうだわ肉が食べたい..卵ばかりじゃなく肉が食べたい。


(肉が食べたい..肉をくれるなら..治してあげる..)



「解りました、肉を差し上げますから、娘を娘を助けて下さい」



(解ったわ..)


私が、娘を治すように..祈ると私の体から光が溢れてきた。


そして娘に降り注いでいた。


これで多分、治る筈よ..何だか疲れたけど..



「娘が、娘が..治っている..蛇神様有難うございます」


(治したわ、約束の肉を頂戴..肉)



「はい..」



服を脱ぎだして何をしているのかしら?


えっ..何でナイフを胸に刺しているの?


鹿とか猪の肉で良いのに..


「約束の肉でございます..どうか..」



貴方が貢物ってわけね..解ったわ、頂くわ。



モシャモシャ....あああ久しぶりのお肉..美味しいわ..


相変わらず、減らないけど..食べた部位はもう一度食べても味がしないのね..



ずるずる..うぐっもしゃもしゃ、肉何て本当に久しぶり..美味しい。




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