第100話 和葉とデート
三葉とのデートから1週間が経ち、和葉とのデート日になった。そして、夏祭りまであと1週間になった。俺は妙に冴えた頭のまま着替えていた。
すると、不意に部屋の扉を誰かが叩いた。俺はすぐに着替え終えると扉を開ける。そこにいたのは和葉だった。
「おはよーカナタ君♪準備できたかな?」
「和葉か、あと5分もかからない。お前は準備できてるのか?」
「うーん、あと30分くらいかな?」
「全然まだじゃねえかよ・・・早くしろよな」
「はーい♪じゃあまた30分後〜」
そう言うと和葉は自室へと戻っていった。結局何の用だったんだ?
・・・・・・
「カナタ君、ごめんね♪」
例のショッピングセンターに着くと、和葉が俺にそう言ってきた。
「急にどうしたんだ?何か謝るようなことあったか?」
「だって・・・ここって毎週来るようなところじゃないからさ♪」
「それは、確かにそうかもな。でも別に謝ることじゃないだろ?だって近場にここぐらいしかないし」
すると和葉は優しく微笑んで言った。
「そっか♪ありがとカナタ君♪それじゃあ行こっか♪」
・・・・・・
「・・・で真っ先に来たのがここか」
俺はプリクラの台が立ち並ぶ目の前でそう呟いた。
「カナタ君、こういうの苦手だっけ?」
「苦手ではないが・・・そもそも経験値が少ないし、撮ろうと思ったこともない」
「じゃあせっかくだし撮ろうよ♪それに、」
「今の関係は事実がどうあれ壊れちゃう、だから少なくとも撮る価値はあると思うよ」
俺はその言葉に何も言い返すこともなく、ただ和葉の言うことを聞くことにした。
「でもプリクラって何すればいいんだ?」
「写真撮るだけだよ♪ほら寄った寄った♪」
そう言って和葉は俺の体をグイと自身の体に引き寄せる。突然の密着に俺の心臓が早鐘を打ち始める。その時、目の前の画面に映った和葉の顔が真っ赤であることに気づいた。
「和葉、お前・・・」
「見ないで・・・!私だって少し照れくさいんだよ」
そして、その微妙な空気のまま写真は撮られていった・・・
・・・・・・
「いやー♪暑かったね♪」
プリクラでの写真撮影を終え、前に三葉と来たコーヒー店で休憩をしていると和葉がそう俺に話しかけてきた。
「お前があんな慣れないことするからだろ?」
「えへへ、ごめんごめん♪」
そう言って一拍置くと、和葉はどこか遠くを見るような顔をして話し始める。
「でももう来週には夏祭りだね♪」
「おう、気づけばあっという間だな」
「カナタ君は、あれから誰を選ぶか変わってたりするの?」
「正直に言ってもいいけど・・・まあ秘密にした方がいいだろ。あの2人にも言ってないことだからな」
すると和葉は、何か言いたそうな表情をした後にすぐ明るい表情を作って言った。
「そっか♪確かにそれだと不平等になっちゃうかも♪」
そして立ち上がり言った。
「それじゃあそろそろ買いに行こっか♪」
・・・・・・
「着いていきなりだけど・・・カナタ君はどれがいい?」
「ホントにいきなりだな・・・正直言ってこういうのの良し悪しはよく分からんから、和葉に任せるよ」
「まあそう言うと思ってたよ♪だったらそうだなあ・・・これなんてどうかな♪」
そう言って和葉が手にしたのは、2つのハートがあしらわれたネックレスだった。
「ハートか、俺には似合わないんじゃないかと思うんだけど・・・」
「大丈夫♪カナタ君、意外とこういうタイプの方が似合うと思うよ♪」
「そうか・・・じゃあそれで」
俺がそう言うと、和葉はどこか上機嫌でレジへと向かった。そして買い終えた和葉は俺に袋を渡して言った。
「はいっカナタ君♪来週、頑張ってね♪」
そう言わせた俺は何も言わずにただ俺を受け取り頷いた。いよいよ来週は夏祭り当日、その時は着実に近づいていた・・・
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