第98話 双葉とデート
それは、なんてことのない平和な土曜日でのだった。
「カナタ!今日は暇かしら?暇よね?」
朝飯を食っていた俺は双葉に半ば無礼な質問をされた。俺はぶっきらぼうに答える。
「別に何もねえよ。てか来週からテストなんだから予定の入れようがねえよ」
すると双葉は俺にグイと顔を近づけて言った。
「だったら、今日デートするわよ!」
「えっ?何でだ?」
「それは・・・何でもよ!ホラ早く準備しなさい!時間なくなるわよ!」
・・・・・・
「で、場所はやっぱりここな訳か」
そう言いながら俺はショッピングセンターを見上げる。
「し、仕方ないじゃない!?今日いきなりで来るならここが1番なんだし・・・」
そんな双葉の言葉は何やら自信なさげだった。告白するかしないかはさておきデートはデートだ。女性を悲しませるのは良くないだろう。俺は双葉の手を取って言った。
「まあそんな暗い顔すんなよ!とりあえず来たからには楽しもうぜ!」
「へっ!?あっ、うん」
・・・・・・
適当に中をブラつきながらそれは質問をする。
「でも何で急に俺をデートに連れ出したんだ?」
「へっ!?そ、それは・・・」
すると双葉は真面目な顔をして言った。
「それは話せば長くなるの。だから、まずはゆっくり座りましょう?」
そして、俺たちは有名なコーヒーのところに入った。双葉は期間限定のフラッペ&カプチーノ、俺はそれのバニラを頼む。そして俺たちは空いている席に腰掛ける。
「にしても、何でこの店ってSとかMとかじゃなくてトールやらグランデやらよく分かんないのにするんだろうな?」
「それは・・・オシャレだから何でも良いじゃない」
「でもそれで利便性を失ってたら時代の進歩への侮辱だろ」
すると双葉は、どこか冷たい目で俺を見ながら言った。
「カナタ・・・そういうのはあんまり女の子の前で言わない方がいいわよ?」
「あっ、それはそうかもな。すまない」
「まあ私は別に気にならないけど・・・」
そこまで言うと双葉は、ハッとした顔をすると俺の方を向いて言った。
「じゃなくて!何で私がデートに誘ったか?だったわよね」
「お、おう。お前はわざわざテスト前に呼び出すことはしないだろ?」
「それは分かってくれるのね・・・」
そう言うと双葉は、俺に事のあらましを話し始めた。
・・・・・・
「ていう事だから」
「そうか・・・でも何でそんな急にな事を?」
「それは、これまでカナタ君が全部決めてくれてたから。少しは私たちで決めなきゃって。それに・・・」
「あの時、わがまま言って出ていった事を償いたくて・・・」
そう言う双葉の目には僅かに涙が浮かんでいた。
「お前っ・・・」
「し、仕方ないじゃない!?あと3週間もしたらアンタとこんな気軽に一緒に居られなくなるんだから!」
そして双葉の目から涙が溢れ始める。俺は優しく双葉に話しかける。
「それは、確かにそうかもしれない。けど、それは選ばれなかった2人を無下に扱うって事じゃない」
「だから結果がどうあれ、そんな落ち込む必要はどこにもねえよ」
「うん、ありがとうカナタ・・・」
・・・・・・
「で?そのアクセサリーは何にするんだ?」
「そうねぇ・・・あっ!これなんてどうかしら?」
そう言いながら双葉が俺に見せたのはダイヤの見た目を模したガラス?のネックレスだ。
「いいんじゃないか?お前に似合うと思うぞ」
すると双葉はため息をついて言った。
「はぁ、いい!?私に似合ってるかどうかはどうでもいいの!大事なのは・・・」
「アンタに似合うか、よ?」
双葉はそう言いながら俺にそのネックレスを付け、そして言った。
「うん!案外似合うわよ」
そして、俺たちはそれを購入して帰りについた。その途中、双葉は俺に言う。
「あっ!次は三葉の番だから頼むわよ」
「えっ・・・えぇ?」
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