第97話 最後の会議
♡
「ふあぁ・・・良く寝たな♪」
私は目覚まし時計を止めてそう呟く。昨日あんな事があったとは思えないくらい良い朝だ♪
気持ちのいい陽射しにご機嫌になりながらリビングへ向かうと、そこにはもう双葉の姿があった。双葉は私の顔を見ると、驚いた表情を浮かべて言った。
「えっ、何でアンタがもう起きてるのよ?槍でも降るのかしら?」
「心外な!私だって早起きするよっ!・・・多分」
絶対じゃないのが我ながら情けないなぁ・・・すると双葉は、思い出したように言った。
「ところで和葉、今日時間あるかしら?」
「今日?今日は特に用事ないよ♪」
私がそう言うと双葉は私の目を見ながら落ち着きのある声で言った。
「それなら今日の放課後、そのままクラスに残ってて。カナタ君とのことについて話しておきたい事があるの」
・・・・・・
「あれっ!和葉も双葉に言われてここにいるの?」
「うん、そうだよ♪」
どうやら三葉も双葉に呼ばれているみたいだった。まあ、カナタ君に関することで三人の内誰かが欠けることのほうがおかしいんだけど。
「でも双葉、今日に限って遅くない?」
「双葉なら委員会の仕事が入ってから少し遅くなるって言ってた!」
「そっか、それじゃあ双葉が来るまでゆっくり待ってよっか♪」
そうして私と三葉が駄弁りながら20分ほど待っていると、二葉が少し息を切らしながら教室に入ってきた。
「ごめん!待ったかしら!?」
「ううん!全然大丈夫だよ!お疲れ双葉!」
三葉そう言うと双葉は手を団扇みたいに仰ぎながらだるそうに言った。
「ホントに疲れたわよ!何で急に仕事降るのかしらね?」
「ま、まあそれだけ双葉が頼りになるからってことじゃないかな?」
「それなら、いいんだけど!」
そう言いながら双葉はぶっきらぼうに私たちの前に座る。
「で、何で改まってこんな所に私達を呼びつけたのかな♪」
「それは・・・どうやってカナタ君の告白するタイミングを作るか、よ!」
私はその双葉の言葉に正直な感想を口にする。
「そ、それはカナタ君の好きにさせていいんじゃないかな♪」
「いいえ、それじゃダメよ・・・」
「えっ!何でよ双葉!」
その三葉の言葉に双葉は1つため息をついて言った。
「だってあれだけ大事なことを勢いで言っちゃうのよ?当日のことなんて考えてる訳ないじゃない!」
「それは・・・どうかなあ?」
否定できないなぁ・・・
すると三葉がごもっともな事を言い出した。
「でもそれを決めるとして、一体何がいいのかな?」
それもすでに想定済みなのか、双葉は声高らかに言った。
「大丈夫よ!私に1つ考えがあるの!」
「まず初めに私たちが順番でカナタ君とデートをする。その時にそれぞれがカナタとお揃いのアクセサリーを買う」
「そして夏祭り当日、ひとしきり私達4人で楽しんだ後、私たち3人が去年一緒に花火をした所に集まって、最後にカナタが選んだ相手のアクセサリーを付けて私達の元へやってくる」
「そうすることで私達も直前まで緊張せずに済むし、カナタも覚悟を決めれると思うのよ」
なるほど、それなら確かにお互い無駄な緊張をせずに済むかもしれない。だけどそれをするには・・・
「誰かがカナタ君にそれを言わないとその作戦は成立しないと思うけど、誰が言うの?」
すると途端に双葉の動きが固まった。少ししてやっと話し始める。
「ソ、ソレハサイショニデートシタヒトガイエバイイトオモウワ?」
カタコトっ!?それに疑問系だ!絶対今考えたよこの妹!
「はぁ・・・でも分かったよ。じゃあ誰が最初にデートするの?」
すると三葉が元気いっぱいに言った。
「それは勿論ジャンケンでしょ!?」
そして三葉は自分の拳を私たちの前に突き出す。
「そっか、そうだよね♪私たちはいつもこういうのはそうやって決めてきたもんね♪」
そう言いながら私も拳を前に突き出す。双葉はこの事態に少し困惑していたけれど、決心を決めたように拳を前に突き出して言った。
「分かったわよ!恨みっこ無しの1回勝負!それでいいわね!?」
「うん!」
「それじゃあいくわよ!さーいしょはグー!」
「「「ジャーンケーンポイッ!」」」
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