第84話 様子見守り隊

 私は今、カナタ君と双葉の様子を観察してる・・・してるんだけど・・・


「こちら三葉!2人の姿を確認!オーバー?」


「こちら琴音、了解です、オーバー!」


「2人とも・・・何してるの?」


 横にはいかにも迷彩してますと言わんばかりの格好をしている三葉と琴音ちゃん・・・西園寺さんがいた。


 三葉と琴音ちゃんは私がスキーで悪戦苦闘しているうちに仲良くなっていたらしい。一方で私には、あの時のこともあってか何だか距離がある。


 まあ、双葉とカナタ君から話は聞いているから私自身は琴音ちゃんに対して、特別壁があるわけでは無いんだけど。


「何って、こっそり見守るんだったらこれぐらいしないと!」


 何と力強く訳のわからない説明っ!言いたいことは分かるんだけど手段が問題じゃないかな。


「そうですよ和葉さん!やるからには徹底的にですよ!!」


 琴音ちゃんまで!?琴音ちゃんってもしかして私が思ってるよりアホの子なのかな?


「だとしても2人ともやり過ぎだよ♪」


「よく言うでしょ?木を隠すなら森って♪」


「「・・・?」」


 やっぱり2人はアホの子同士なのかも知れない。


 ・・・・・・・


「やっぱり普段の格好が1番だね!」


「はい!そうですね!」


 どうにか普段の格好になってくれた・・・


「そうだね・・・それより、あの2人いい感じじゃ無い?」


「ホントだ!いいねいいね!」


 そして、私たちはしばらくカナタと双葉の様子を見守っていた。すると不意に琴音ちゃんが話しかけてきた。


「そう言えば、お二人はカナタさんのことどう思ってるんですか?」


 私と三葉はその言葉に思わず固まってしまったが、すぐさま答えた。


「私はカナタ君のことが好きだよ。勿論恋愛的にね♪」


「私もカナタ君のことが好き!友達としてもだけど・・・勿論異性としても!」


 すると、琴音ちゃんの顔が見る見るうちに青ざめていった。そして、


「ご、ごめんなさい!もしかして私・・・とんでもないおせっかいを双葉にしてしまいましたか?」


 どうやら、カナタのキャンプファイヤーの相手を勝手に決めてしまったことを謝っているようだった。


「ぜんぜん気にしないでいいよ♪私達の中でも誰がカナタ君とこの時間を過ごすかはある種の懸案事項みたいなものだったから」


「そうそう!むしろ他人に決めてもらえてラッキーだったよ!」


「そ、そうですか?それなら良かったです!エヘヘ」


 笑ってる顔はすごく可愛いんだよなあ・・・


 すると突然三葉が叫んだ。


「あっ!?見てよ2人とも!!」


 そう言われてカナタ君達の方を見るとなんとびっくりカナタ君が双葉の胸を触っているじゃないですか!私は図らずも顔が赤くなってしまった。


「なっ!?なな、何してるのあの2人!?」


「なんだか・・・いやらしいことをしている気がします!」


「そんなの分かってるよ!分かってはいるんだけど・・・」


 まさか双葉がこんなにアグレッシブな人だったなんて・・・ちょっとビックリだ。


 すると、三葉が冷静を装いながら言った。


「も、もしかしたら私たちが何か勘違いしてるんだよ!いくら双葉相手でも流石にこれは犯罪だよ!」


 しかし、その予想も瞬く間に崩れ去っていった。なんと双葉が服の内側からカナタ君の手を入れようとしていた。私は思わずその様子を生唾を飲み凝視してしまった。


「和葉ー!おーいかずはー!」


「・・・・・・・・」


「ダメみたいですね・・・」


「和葉、案外ウブなところあるから大丈夫!」


「そう、なんですね」


 どうだ、何が起きるんだ・・・!?


 そんな期待をしたものの、実際には何か起きる前にカナタ君が双葉を止めてしまった。私がそこで大きく1つ息をつくと三葉が話しかけてきた。


「和葉、ずっと2人のこと見てて何を期待してたの?」


「えっ!?えっと・・・それは・・・」


「も、もしかしてエッチなことですか?」


「こ、琴音ちゃんまで!っていうか全然そんなことじゃないよ!」


「ホントかなぁ?何だか普段よりも息遣いが荒かったよ?」


 そんなまさか!私は思わず動揺してしまった。しかし、それを三葉と琴音ちゃんは見逃さなかった。


「あっ!和葉動揺してるでしょ?ていうことはやっぱりエッチな展開を期待してたんだ?」


「和葉さんって意外とそういう事に興味津々なんですね」


「えっ・・・あっ、そのっ・・・!」


「ホラホラ和葉!素直に言っちゃいなよー」


「そうですよ和葉さん!私はムッツリですってハッキリ言っちゃいましょう!」


「ふ、2人ともぉ・・・」


「もう、いい加減にしてーーー!!!」

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