第78話 どこだろう・・・ここ

 ♧

「ひえーーーー!!!!」


 この肝試し本気すぎます!!私がそのまま気絶したらどうかしてくれるんですか!?


「はあ・・・はあ・・・」


 随分と走っちゃいました・・・でもこれで恐怖は去ったはず。でも・・・


「どこだろう・・・ここ」


 夢中に走ってしまってコースから外れてしまいました。その事実を理解した瞬間、恐怖が私の全身を覆いました。私はその恐怖に為す術なくただただその場にうずくまりました。


「怖い・・・助けて・・・誰か・・・」


「あっ!そうだ携帯!」


 そして私は携帯を取り出しました。しかし、画面には圏外の文字が映されていました。


 その瞬間、私の恐怖は絶望に変わりました。このまま誰も助けに来てくれなかったら・・・


 ・・・・・・・


「ダメっ!繋がらないわ!」


「三葉、コース出ちゃったのかな?」


 そう言う双葉と愛菜さんには焦りの表情が浮かんでいた。けど、焦るのは当たり前だ。今回のルートに圏外の所はないし、三葉は基本的に携帯にはすぐ反応するタイプだ。てことはやっぱり・・・


「迷子になってるんだろうな・・・」


「そんな・・・私・・・!」


「双葉のせいじゃない、確かに俺たちが驚かしたのが原因だけど、元々そういう企画だ」


「でも!三葉は今どこに・・・」


 本来は先生に誰かに言いに行くのが一番だろうが、事は急を要している可能性がある。となると最適解は・・・


「俺が探しに行くよ、愛菜さん、俺の代わりよろしく」


「分かりました!三葉のこと、よろしくお願いします!」


 そして俺が順路とは違う方向へ進もうとしたところを双葉が止めに入った。


「ちょっと待ちなさいよ!」


「もしもカナタが探しに行ってカナタも迷子にあったらどうするのよ!」


「問題ない。時間がヤバくなったら単体でも帰るから」


「でも・・・」


 俺は双葉の頭に手を置いて声をかける。


「大丈夫、俺を信じて」


「うん、分かったわよ・・・」


 そして、俺は未知の道を進み始めた。


 ・・・・・・・

 ♧


「・・・寒い」


 迷子になってから何分が経っただろうか。1時間かもしれないし5分かも知れない。けど、1つ正確なことは私にとってこの時間が人生で一番恐ろしい時間だということ。


「怖いよ、辛いよ・・・」


 その時、林の陰からガサガサと音がした。私は咄嗟にいろんな可能性を考えた。幽霊?それとも動物?それとも・・・宇宙人!?


 幽霊だったらお願い聞いてくれるかな?ダメでもせめて命は助けてもらおう!動物は、猪までだったらどうにかなるかも?あと宇宙人は写真を撮らせてもらおう!


「さあこい!!」


 そうして林の陰から出て来たのは顔が血だらけの・・・


「ゾンビィーーーーー!?」


 ゾンビってどれ!?幽霊?動物?まさかの宇宙人!?


「お助けーーーー!!!!」


 そうして逃げようとした所をゾンビに腕を掴まれてしまった。これって一巻のおしまい!?


 するとそのゾンビはまさかの日本語を話し始めた。


「おい三葉!!」


「お助けお助けお助け・・・」


「落ち着けっ!!俺だ!俺だよ!」


「・・・もしかして」


「カナタ君!?」

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