第77話 肝試し、肝試され

「それでは、肝試し係の人たちは各自ポジションに着いてくださーい」


「おっ!カナタ呼ばれてるぜ!行ってこいよ」


「おう、料理は任せるぜ」


「いい肝試しを期待していますよ」


「わかってるよ」


 それじゃ早速移動しちゃうか・・・っとその前に


(ここがアイツのクラスの場所だよな)


「ちょっといいかな?」


「えっ、あっ!ふたちゃんの事ですか?」


「ふた・・・ちゃん?」


「あれ?違いましたか?双葉ちゃんに用事ですよね?」


「アイツ、ふたちゃんって呼ばれてるのか?」


「いいえ、私が呼んでるだけです・・・」


「そうなのか、まあ双葉のこと呼んでくれよ」


「分かりました」


 ・・・・・・・


「ふたちゃーん!」


「どうしたの麗香?」


「カナタ君が呼んでたよ」


「ふえっ!?あ、ああ。カナタね分かったわ」


 動揺してる。何か可愛いなあこのふたちゃん


「応援してるよ!ふたちゃん!」


「えっ!別に応援される事なんてないわよ!」


「肝試し頑張ってねってことだよ?」


「えっ!?もう・・・紛らわしいこと言わないでよお・・・」


 塩らしいふたちゃんも可愛い!これは・・・私だけの秘密だね。


 ・・・・・・・

「確かここら辺だったわよね!」


「そうだね、地図を見る限りあってるはず」


「それじゃあ、早速・・・」


「メイク始めるわよ!」


 そう言って双葉は自前のメイク道具とその他小道具を取り出した。


「ホントにするんですか・・・」


「ホントにするわよ!しなかったらこの小道具たちが浮かばれないわよ!」


 浮かばれないときたか・・・八百万の神も小道具なんていう雑多にまとめられるとは思わないだろうな。


「分かったよ、その代わり手短に済ませろよ」


「分かってるわよ」


「・・・ホイッと、これで完成ね!」


「おお・・・!!」


 まさか20分かからずここまでとは・・・確かに時間の短さ特有の荒さもあるがそれ以上に恐怖に目がいくだろう。


「まさかこんな短時間でここまで出来るとは」


「当たり前よ!私の力を舐めないでよね!」


「それじゃっ!私の分もやるから待っててちょうだい?」


「おう!」


 ・・・・・・・


「そろそろ和葉が来る番ね!」


「そうだな、アイツは怖いの苦手だよな?」


「そうだけど、私達相手だから何するか分かったもんじゃ無いのが難点よね」


「それは・・・確かにそうだな」


 なんせ相手は大室家のトリックスター、大室和葉だ。何を仕込んできているか俺のような凡人の脳では理解できない。


「噂をすればそろそろ来るわね!」


「おう、そうだな!」


 俺たちは林の影に身を潜める。そしていよいよタイミングが来た!俺と双葉は勢いよく飛び出す。


「「うおーーーー!!!」」


「なぐごはいねがーーーー!!!」


 ナマハゲっ!?まさかのナマハゲ!?唐突は神の襲来に固まってしまった。一方で双葉は、


「きゅぅぅ・・・」


 倒れてる。俺は双葉を起こし和葉に質問をする。


「なんでそんな装いなんだ?」


「あれっ?怖く無かったかな?どこがダメだった♪」


「え?あっと・・・困惑Winって感じかな?」


「そっか、次に活かすよ♪」


「そうしてくれ・・・ってそうじゃなくて!何でそんな衣装持って来てるんだって話だ!」


「それは・・・悪戯?」


「そうかよ、じゃあ早く次行け」


「はーい♪それじゃね♪カナタ君」


 ・・・・・・・


「ホンッットに信じらんない!!」


「まあまあ、ああいう奴だったろ?」


「だとしてもやりすぎなのよ!」


「アハハ・・・」


 それは否定しないでおこう・・・


「そ、それよりそろそろ三葉がくる番じゃないか?」


「そうね、和葉にしてやられた分やってやるわよ!」


 随分と燃えてるなあ・・・まあついていく他にないか。


「来たわね!」


 そして、俺たちは再び林の影に隠れる。そして程よいタイミングで・・・


「「うがーーーーー!!!!」」


「ぽりゃぴぎーーーーー!!!!!???」


「うわーーーー!」


 うんうん、上々な反応だ。


「・・・って、双葉さん?」


「あっ!愛菜さんじゃん!」


 愛菜さん・・・確か三葉が出て行った時に泊めてもらってた人だよな。


「ああ、三葉がいつも世話になってます」


「あっ!あなたがカナタ君!?三葉からいつも話聞いてるよ!」


「そうなのか・・・具体的な話は一旦は聞かないでおくよ」


「じゃっ、私はそろそろ行くね!」


 そこで俺は一つマズイことに気づいた。


「三葉、どこに行った?」


「え?」    「へ?」


 これは・・・結構とんでもない事態なのでは?

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