第76話 林間学校だぜ?
「はい、それじゃあA組からバスに乗ってけー」
いよいよ今日から林間学校だ。俺は周りに興奮を悟られないよう冷静を装っていたが・・・
「おっ!カナタ何か楽しそうじゃんか?」
この男にはバレるか・・・
「まあ、行事事だからな。ワクワクしない方が無粋だろ?ていうか、むしろお前は興奮しすぎだ」
「そうかあ?だって林間学校だぜ?興奮しない方がおかしいだろ!」
「初日の肝試しに2日目のスキー、そんで最終日のキャンプファイヤー!こんな青春殺しみたいな体験は後にも先にもねえよな!」
「最終日の陶芸体験を外すなよ」
「あっ、委員長。おはよう」
「おはようカナタ君」
「えー?だって陶芸って難しそうじゃん!」
「そうだな、バカなお前には無理かもな」
委員長、それは流石に地雷なんじゃ・・・
「んだとー!やってやろうか!?」
「あー嫌だ嫌だ、野蛮人間はこれだから困る」
始まってしまった・・・これを止める方法は、おっ!ナイスタイミング!
「そ、そろそろバス俺らのクラスだから早いとこ乗ろうぜ?」
「「おう・・・」」
・・・・・・・
♡
「うわー!見なよ和葉!めっちゃ綺麗!」
葵はそう言うと私のことを呼び寄せる。
「えっ?私が?」
「私、そういうの良く無いと思うよ」
「そ、そうだよねー♪ごめんごめん」
「にしてもホントにすごい景色だね♪バスでまだ1時間くらいじゃ無いかな?」
「そうね・・・もうちょっとで1時間経つくらいかな」
そう言いながら葵は外の景色の写真をひたすらに撮っていた。
「にしても林間学校楽しみだよね♪」
「そうね、色々あるけど一番は・・・」
「キャンプファイヤー!」 「肝試し♪」
「「・・・えっ?」」
・・・・・・・
♢
「麗香、車酔いはまだ大丈夫かしら?」
「うん・・・まだ大丈夫そう」
「何かあったらすぐに私にいってよね」
「ありがとうふたちゃん・・・」
「ふたちゃん、景色・・・すごい綺麗だよ」
「ホントね!でも・・・」
「でも・・・?」
「麗香の方がずっと綺麗よ」
すると麗香は顔を真っ赤にして言った。
「ちょ!ちょっとふたちゃん!そういうのは好きな人に言うんだよぉ・・・」
「アハハッ!悪かったわね、ごめんなさい」
「あっ、そういえばふたちゃん」
「どうしたのかしら?」
「最終日のキャンプファイヤーは誰と過ごすの?やっぱりあのカナタって人?」
この子、可愛い顔してなんて鋭利な質問を!?私は思わず固まってしまった。和葉と三葉からは気にしないでとは言われているけど、あんな棚ぼたでこんな事してもらって良いのかしら?
「どうしたのふたちゃん?」
「えっ!?ああ、まあそうね。カナタとある予定よ・・・」
「そっか、楽しんでね!」
うっ、純粋な笑顔が刺さるっ!
・・・・・・・
♧
「見てよ愛菜!!景色すっごい綺麗!!」
「言われなくても分かってますよー」
「むう、愛菜冷たーい!雪より冷たいよ!」
「どうせ私は雪女ですよっと」
そう言いながら愛菜はリュックからお菓子を取り出して食べ始める。
「いいなー、私にも頂戴!」
「人のこと冷たいって言う人にはあげません」
「いけずぅ・・・肝試し係になってそのまま幽霊になっちゃったの?」
「なんじゃそりゃ?」
「あっ、そういえば三葉さ」
「どうしたの愛菜?」
「アンタのお姉ちゃんに双葉さんっているじゃん?」
「いるよ!すごいしっかりしてて、和葉よりも長女っぽいんだ!」
「そ、そうなんだ・・・」
「それで双葉がどうかしたの?」
「あの人って付き合ってる人とかいる?」
私は一瞬言葉の意味を理解できなかった。
「ど、どうして急にそんなこと聞いたの?」
「いやさ、この前係の集まりがあったときに双葉さんと誰だったかな?えっと・・・菅原カナタさん?がすごい仲良さそうだったからそういう仲なのかなって思って」
「絶対そんな関係じゃ無いよ!」
「え、えらく食い気味だね・・・」
「だって、カナタ君は・・・」
でも、この前も私に何も言わないで遅れてカナタ君と帰ってきた。それに和葉も西園寺さん絡みとはいえ1人で私達がついて行くのを止めてカナタ君のところに行ってた。だけど私は何も出来てない・・・そんな私を、カナタ君は好きになってくれるんだろうか・・・
「ちょっと、ちょっと三葉!」
「えっ!?な、何?」
「これで涙拭きな」
そこで私が涙をこぼしていることに気づいた。私はすぐに涙を拭く。
「ちょっと、申し訳ないこと聞いちゃったのかな・・・」
「大丈夫だよ!なんて事ないから!」
「泣かれちゃうと何も説得力ないよ・・・」
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