第72話 変わってしまった1日

 ピンポーン


「誰だ?こんな朝から?」


「あっ!私が出とくよ♪」


 そう言うと和葉は玄関の方へと向かった。にしても本当に誰がきたんだろうか?真菜さんが何か送ったのか?


「ちょっ!ちょっと待ってよ!」


 そう和葉が大きな声を上げ、それと同時にドダドタと大きな足音がコチラに近づいてきた。


「ん?どうしたんだ和・・・はあ!?」


 そこにいたのは和葉ではなく西園寺さんだった。


「さ、西園寺さん!?何でここに!?」


「それは・・・カナタ君と一緒に学校に行きたくて」


 そう彼女は体をくねらせながら言った。これだけ見ると可愛くないこともないんだが・・・


「ところでカナタ君・・・」


「どうしてカナタ君の家に私以外の女がいるのかな?」


 こういうところ可愛くない!怖い!!


 俺が何も言えずにいると和葉が代わりに説明しようとする。


「えっと、それはね♪」


「アナタは黙っててよ!」


 そして西園寺さんは私の後ろに立ち覗き込むような体勢をとる。


「ねえ・・・何でなの?教えてよ?」


「そ、それは・・・」


 どう答えるべきだ!?答えによっては俺だけではなく和葉たちにも被害が及びかねない。俺はゆっくり、丁寧に説明をする。


「俺と大室さんは親同士が仲良かったんだけど、大室さんの親が遠くに赴任することになっちゃって、それで俺の家に住まわせてるんだ」


「ふーん、そうなんだね」


 分かってくれたか・・・すると西園寺さんは和葉ね近づいて言った。


「私のカナタ君に手を出したら・・・許さないから」


「え・・・え?」


「ユルサナイカラ」


「・・・・・」


 ・・・・・・・


「おい!カナタ!一緒に飯食おうぜ!」


「おう高橋!いいz・・・いや、やっぱり今日はやめとくよ」


「何でだよ!まさか金欠かあ?」


「いや、そうじゃなくて・・・」


「だったらなん・・・うおっ!?」


「こんにちは、高橋さん。カナタ君!一緒にご飯食べましょう?」


「おう、分かったよ・・・」


 ・・・・・・・


「今日のHRはここまで、それじゃあ挨拶!」


「起立、さよーなら」


 サヨーナラ


 そう挨拶するや否や俺はダッシュで玄関へ向かった。これ以上西園寺さんには付き合いきれなかったからだ。


 しかし、俺は不意にその足を止めた。


 もし仮に家に帰ったとして西園寺さんが来ないとは限らない。じゃあこのまま家に帰るのは良くないのではないか?あの時はたまたま双葉と三葉が早く出ていたから良かったが・・・そうじゃなかったらきっと事態はもっと深刻になっていただろう。


「じゃあ俺はどうすれば・・・」


 ・・・・・・・


「カナタ君、遅いです!」


「そうね、アイツどこほっつき歩いてるのかしら?」


「そうだね・・・」


 ラインッ


「あっ、LINE・・・カナタ君からだ!」


「えっ!ホント!?」


「えっと、『お前らに迷惑かけられないから今日は家行かない』・・・だって」


「はあ!?何よそれ!」


「それって西園寺さんの事だよね・・・」


「多分そうだと思うわ」


「・・・私、カナタ君探してくる。双葉と三葉は家で待ってて」


「ちょっと和葉!?本気で言ってるの!?どこにいるのかも分からないのに・・・」


「それは、カナタ君が行きそうな所をしらみ潰し的にさがすよ」


「だとしたら尚更私たちも協力した方がいいに決まってるわ!」


「もし仮に見つかっても西園寺さんに関する事が終わらないときっとカナタ君は家に帰ってこない」


「じゃ、じゃあ私たちにはどうにも・・・」


「大丈夫、私に作戦があるから♪」


「だから任せてよ♪」

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