第69話 新たな趣向?です!

「今日は私の番ですね!」


「そーですね」


「カナタ君?もっと元気出してください!」


「それじゃあ、もう一度いきますよー!」


「今日は私の番ですね!」


「そうですね!」


「よくできました!」


 なんなんだこれは・・・


 昨日双葉から言われた通り、今日は三葉に自由にされる日だ。まあ、これに俺の意志が介入してない事は一旦さておいて、


「お前の番なのは分かったが何するんだ?出掛ける準備何もしてないぞ?」


 俺は今日の三葉のプランを聞いていない。正直外に出るのはメンドくさいし、時間はちょうど12時を回ったところで外に出るのに十分な時間があるとは思えない。


 すると三葉は腕を組むと誇ったような表情で言った。


「今日の計画はズバリ!お家デートです!」


 なるほど、そうきたか・・・それなら今の今まで準備していないのも頷ける。しかし、


「だとしてもその格好はどうなんだ?」


「はぐぅ!?」


 コイツの今の格好は寝間着のまんま朝から変わってない。


「すいません・・・着替えてきます」ズーン


「す、すまん。そこまで刺さるとは思ってなかった!でもまさかデートをその格好ですると思わなかったんだ」


「ふぐぁ!?」


「いいですよ・・・所詮私は寝間着でデートするズボラ女ですよ」


「あー!すまん!すまん!」


 ・・・・・・・


「ホラッ!炒飯作ったからこれ食って元気出せよっ!なっ?」


「わーい!ありがとうカナタ君!」


 なんとまあ、単純なやつだ。でもまあ、これがコイツの美点だろう。


「で?何で急にお家デート?なんてものを計画したんだ?」


「何でと言われると、新たな趣向?です!」


「さいですか・・・」


「ん!これすごい美味しいです!」


「そうか、それなら良かった」


「カナタ君って料理上手ですよね!」


「まあ、一応一人暮らしする予定だったから料理はそれなりにできないとと思ってそれなりに練習したんだ」


「そうなんですね!きっとカナタ君は優秀なお嫁さんになれますね!」


「嫁か・・・出来れば嫁よりは婿になりたいけどな」


 すると不意に三葉が興味深々といった面持ちで俺に聞いてきた。


「ところでカナタ君は、結婚の願望とかあるんですか?」


「結婚?特に考えたこともなかったな。まあこのまましないで死ぬよりはして死んだ方がいいとは思うな」


「何か、すごい厭世的ですね・・・」


「そういう三葉はどうなんだ?」


「私はもちろんしたいですよ!結婚は女の子の夢ですから!」


「それは・・・何か恥ずかしいので言わないでください」


「でも・・・」


「でも?」


「好きな人と結婚したいって夢は変わらないですよ?」


「そ、そうか・・・」


 何でコイツはこんなに小っ恥ずかしいことを飄々と言ってのけれるのか・・・そういう裏表の無さというか、猪突猛進さはすごいんだよなホントにあと学業が出来れば完璧なのにな。


「ホントに、勉強さえ出来ればなあ」


「急にディスですか!?」


 ・・・・・・・


「ただいまー♪」


「あっ!和葉が帰ってきましたね!」


「そうだな」


「おっ♪お二人とも何してるの?」


「ゲームをしてたんだけど・・・カナタ君が強すぎて全く勝てない!」


「そうかそうか♪それじゃあお姉ちゃんが成敗してあげよう♪」


「あっでも三葉?デートはもういいの?三葉があれだったら一旦また外出るけど?」


「大丈夫!もう十分楽しんだから!」


 そう言うと三葉は晩御飯のためにキッチンへと向かった。


「ねえカナタ君、三葉とのお家デートは楽しかった?」


「お、おう。楽しかったぞ」


「そっか♪それならお姉ちゃん満足だよ♪」


「それより、カナタ君は明日の準備してる?」


「おう、多分大丈夫なはずだ」


「明日からの新学期、頑張ろう!」


「おう!」

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