第68話 次は私の番よ!
「終わりましたぁ・・・」
「お疲れ様、思ったより早く終わったな。あと3日は遊んで暮らせるな」
「はい!全部カナタ君のおかげです!ありがとうございます!」
そう言うと三葉は俺に深々とお辞儀をした。
「そ、そこまでされる程の事はしてねえよ」
「で、でも!私は感謝したかったんです!」
「そ、それでなんですけど・・・」
と、三葉がモジモジしている所、双葉が割り込んできて言った。
「はーい、宿題終わったなら私の番!」
「・・・は?」
「あっ!?ずるいよ双葉!」
すると双葉は三葉に冷たい目線を浴びせて言った。
「何よ、アンタ何日もカナタ君を独占しておいてまだ何かあるって言うの?」
「ぐっ!?」
「だから次は私の番よ、いい?」
「・・・はい」
「じゃあ、そう言う事だから明日空けておきなさいよね!
何か色々あったがまず俺が言うべきなのは
「俺に決定権は無いのか?」
すると双葉は、
「何よ?明日は何か用事があるのかしら?」
と言った。確かに用事はない、無いんだけど!
「無くても無い事を楽しみたい日があってもいいだろ?」
「いつもそうじゃ無かったかしら」
これに関してはぐうの音も出ない。俺はついに折れる事にした。
「はあ・・・分かったよ、じゃあ明日出掛けるって事でいいな?」
「えっ?あ、そうね、じゃあ明日よろしく」
「おう」
・・・・・・・
「それじゃ、行ってくるぞ」
「私がいないからってダラダラしてちゃダメよ!」
「はーい!分かったから早く行った行った!」
すると三葉は俺と双葉をグイと押し家から出すと勢いよく扉を閉めた。
「何よ今の!?もうちょっと見送る立場としての振る舞いってものがあるんじゃない!」
「まあまあ、せっかく出掛けるんだからもっと楽しんでいこうぜ」
「そうね、じゃあ切り替えていくわよ!」
「おー!」
・・・・・・・
「着いたわね!」
俺たちが着いたのはいつも良く寄るショッピングモールだ。俺は思った事を口にする。
「そうだな、って言ってもよく来る所だからあんま新鮮味はないけどな」
すると双葉はじとっとした目を俺に向ける。
「アンタ、そういうのをノンデリカシーって言うのよ?」
「そうか、すまなかった・・・」
すると双葉は俺の顔をじっと覗き込む、そして
「いいわよ、別に私そこまで怒ってないもの」
「その代わり・・・」
と言うと双葉は俺の手を握った。
「今日はずっとこれで行くからよろしく」
そんな双葉の顔はどこか紅潮していたような気がした。
・・・・・・・
「ここが今日の目的地よ!」
そして双葉はバッと手を店の方にやる。そこにはガーリーな雰囲気が漂っていた。
「ここって女向けの服屋じゃないか?」
「そうよ!」
「そうよ!って、何で俺がここに連れてこられてるんだ?」
すると双葉はフッフッフッと笑いながら言った。
「今日はここでカナタに服を選んで貰うわ!」
「なっなんだってー!」
・・・・・・・
「ねえ!これどうかしら?」
「お、おう・・・いいと思うぞ」
そうは言ったものの、正直言って何も頭に入ってこない!俺は今、圧倒的に雰囲気に負けている!そんな状況で冷静な審査なんてできるはずもない、そう思っていると・・・
「カナタ!ちょっとアンタ大丈夫?」
「あ、ああすまない。特に問題ないぞ」
「そう?まあ何かあったとしてもお店の雰囲気に押されて余裕がないとかでしょうけど」
「はっ!?」
「その反応は図星みたいね、アンタって下手したら三葉よりも分かりやすいわよ?」
「マジかよ、それは何か傷つくな」
「ウフフ、それは流石に失礼すぎよっ」
「確かにすまなかった」
そこまで話すと双葉は再び服を漁り始めた。俺は今の会話でなんだか楽になった。
「ねえ!カナタ!これはどうかしら?」
「そうだな、それよりだったら・・・」
「双葉はせっかく髪長いんだからこういう綺麗なのが映えるんじゃないか?」
「後は・・・こういうシンプルなのとかもバランス取れてていいと思うぞ」
俺が洋々と喋っている様子を双葉はただ微笑みながら見ていた。
「って感じだが・・・どうだ?お気に召したか?」
「そうね、全部買う事にするわ!」
「全部か!?結構な値段になるぞ!?」
「お金に関しては大丈夫よ、前から貯金もしてるしお年玉も貰ったもの。それに・・・」
「好きな人から選んでもらった服だもの、全部買いたいに決まってるじゃない」
そう言うと双葉は俺が選んだ服を手に取りレジへと向かっていった。
・・・・・・・
「いやー!今日は楽しかったわね!」
「そうだな、あの時断らなくて正解だった」
「でしょ?流石私よね!」
「はいはい、すごいすごい」
「何よ、何か文句あるわけ?」
「いやいや、そんなものはございませんよ」
「ホントかしら・・・?」
すると不意に双葉は俺の方を振り向いて言った。
「じゃあ明日は多分三葉と出かける事になると思うからよろしく頼むわね」
「・・・は?」
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