第59話 止まんないなこの人
「うわー!すごいですね!これ全部真菜さんが作ったんですか?」
「そうよ?こう見えても私、料理は得意なのよ?」
そう言うと真菜さんはフフンッと鼻を鳴らす。それにしてもすごい料理だ。俺たちの家では普段絶対に作らない、作らないような料理がずらりと並んでいた。
俺は扉の方を向いて言った。
「おーい、お前らもこっち来いよ!」
そこには扉を少し開け、そこから顔をチラリと覗かせている3人がいた。やっぱりあんな格好させられた後だと警戒するよな。
すると一番下で顔を覗かせていた双葉が真菜さんを警戒するように言った。
「ママ?料理には何もないわよね?」
「あら?そんなにビクビクしなくても大丈夫よきっと。何も入ってないから」
「じゃあ、カナタ君それ食べてくれるかな♪」
と、双葉の上から顔を覗かせている和葉が言った。
俺は躊躇うことなく料理のうちの一つを口へと運ぶ。
「うん!美味いっ!それすごい美味しいです!感動しちゃいました!」
「あらあら、そんなに褒めたって何にも出ないわよ〜」
その様子を見てか、一番上の三葉がなんだかウズウズとし始めた。後一押しだ、俺は追撃をする。
「早く皆んなで食べようぜ!俺もう腹ペコだ」
すると3人は扉を閉め、何やらヒソヒソと会議を始め、やがて静かになるとキイ・・・とゆっくりと扉を開けた。曰く
「ま、このままでいてもお腹が空くだけだものね!仕方なくよ!」
「カナタ君が美味しいって言うんだからきっと何も無いだろうしね♪」
「わーい!ご飯だご飯だ!」
という事らしい。約1名何も考えてない気がするが・・・
そして、3人が席に着くや否や三葉が叫んだ。
「いっただきまーす!」
やっぱりコイツ何も考えてないな。三葉に先手を取られながらも各々、食べたいものを食べ始める。
「んー!ママこれ美味しいっ!どうやって作ったの?」
「それ?それはねー、鶏肉と材料を混ぜて少し放置してから焼くだけよ?後でレシピ送ればいいかしら?」
「ホントにっ!?ありがとうママ!」
そして双葉は和葉の方を見るとニヤニヤしながら言った。
「レシピがあればアンタでも多少は上手にできるかもしれないわね」
和葉は心外だと言わんばかりに頬を膨らませながら言った。
「もー!私だってレシピがあれば上手に作れるもん!」
するとそれはみた真菜さんが俺たちに尋ねてきた。
「そういえば、あなた達は誰が普段料理するのかしら?」
その質問を俺は真っ先に答える。
「基本的には和葉以外の3人で当番制にしてますね」
「そうなの?たまには和葉にも料理させてあげてちょうだい?」
「それは・・・そうなんですが、僕らも食べれるものを食べたいので・・・」
「もー!カナタ君までー!?」
憤慨する和葉を治めるように真菜さんは和葉に話しかける。
「でも、料理はちゃんと出来ないとダメよ?じゃないとお嫁に行ったときに苦労するわよ?」
「いいもん!私、料理できる男の人と結婚するから」
「じゃあ、和葉は何をするの?」
「それは・・・」
「やっぱり料理はできた方がいいんじゃないかしら?」
「はい、頑張ります・・・」
そしてその後、俺たちがケーキを食べ終えゆっくりとしていると、真菜さんが何やら荷物持って部屋へと入ってきて言った。
「それじゃあこれから皆んなにクリスマスプレゼントを渡したいと思いまーす!」
突然の言葉に俺は唖然としていたが、三姉妹にとっては普通のことらしく普通に盛り上がっていた。
「それじゃあまずは・・・みつはー!」
「はーい!」
「三葉、毎日運動頑張ってて偉いわね、来年も自分に無理せず頑張ってね♪」
そう言うと真菜さんはとある箱を三葉に渡す。
「わあ!!これもう開けていいの!?」
「いいわよ〜」
すると三葉はすぐさま箱の中を確認する。
「わあ・・・このスニーカーすごい可愛い!ありがとうお母さん!」
「どういたしまして、それじゃあ次は・・・ふたばー」
「はーい」
「双葉は学校で学級委員長頑張ってるらしいわね、このままあなたらしく頑張ってちょうだいね?」
「分かったよママ」
そしてそのまま双葉はプレゼントの中身を確認する。
「これチョーカー?すごいオシャレ!」
「そう?だとしたら選んだ甲斐があるわ、そしたら次は和葉ね」
「はいよー♪」
「和葉、お勉強の成績いいみたいじゃない?このままの調子で頑張りなさいね、あと料理はもうちょっと頑張りましょうね?」
「うっ!?最後の一言が刺さるなあ・・・」
そして和葉も例に漏れずその場で中身を確認する。そして一瞬笑顔になった後、和葉の動きが固まった。
俺は何事かと和葉のプレゼントを見る。どうやら二つあるらしく、一つ目はイヤリングだ。これは別に問題ないしいいプレゼントだろう。そしてもう一つは・・・レシピ本だ。真菜さん、あの一瞬であれを準備したのか?俺は和葉の肩を叩き宥める。
「まあ、頑張ろうぜ」
「はい、頑張りますぅ・・・」
「あらあら、そして最後はカナタ君ね?」
「へ?俺の分もあるんですか?」
「当たり前よー、でも男の子が何で喜ぶか分からなくて、これでよかったかしら?」
そうして真菜さんは包装された小さめの箱の俺に渡してきた。
俺が包装を解くと中にはコンドームが入っていた。俺は思わずその場で固まってしまった。
それを気にしてか、3人が俺の元へ寄ってくる。
「カナタは何をもらったのかしら?」
「え!?いや、特になんてものでもないよ!」
「それじゃあそれを見せてくださいよ!」
「無理だ!絶対に無理だ!」
「えー?カナタ君、私のプレゼント勝手に見たくせに♪」
「それとこれとは別問題だ!」
その後も3人からの見せて攻撃は続いた。
「もうやめてくれーーー!」
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