第53話 乙女たちの会議

「行ってきまーす」


「あら?どこに行くのよ?今日は暇だって言ってたじゃない」


 するとカナタはバツが悪そうに言った。


「それがさ、ついさっき友達に誘われてさ・・・」


「なんだそういう事ね、それなら出る前に言っておきなさいよ」


「悪い悪い、でももう時間無いんだよ」


「そう、それじゃ行ってらっしゃい」


「おう!行ってくる」バタン


 ・・・・・・・


「ふわぁ・・・カナタ君、どこに行ったの?」


「友達に遊びに誘われたんですって。ていうか和葉、起きるの遅すぎよ」


「いやいや~、お布団からのラブコールが止まらなくて♪」


 なんて話しているとキッチンから三葉が顔を覗かせて言った。


「あっ!和葉やっと起きた!朝ごはん食べる?」


「うーん、いいや♪」


 ていうかカナタだけがいない休日って実は久しぶりかもしれないわね。だったらカナタがいるとし辛い話をするなら今なのでは?私は2人に話しかける。


「2人とも、ちょっとだけ時間いいかしら?」


 唐突な言葉に、和葉が尋ねてきた。


「おっと・・・随分と急だね♪何の用事かな?」


 その言葉を待ってましたと言わんばかりに私は息を吸って言った。


「それはズバリ!だれがクリスマスイブにカナタと過ごすかよ!」


「「な、なんだってー---!!!」」


 ・・・・・・・

「で、でもなんで急にそんな話をするのかな♪」


「別に急じゃないわよ、クリスマスイブまで一週間もないのよ!」


「え!もうそんな時期なの!」


「三葉はもう少しカレンダーを見なさいよ・・・」


 やっぱり和葉も三葉も他人の話あんまり聞かないのよね・・・まあ、信頼故にってことは分かるんだけど・・・


 なんて考えていると和葉が話題を本筋に戻してくれた。


「で、一体誰がイブにカナタ君と過ごすの?」


 私は和葉の目を見ながら言った。


「私、和葉に一緒に過ごしてほしいと思ってるの」


 その言葉に和葉は目を丸くして言った。


「ええ!!わ、私!何で私なの?」


「だって、この前カナタと和葉が二人で出かけた時に私と三葉が邪魔しちゃったじゃない?だからその罪滅ぼしも兼ねて・・・ね?」


 すると和葉は目を光らせて言った。


「ふ、双葉ー-!!」ギュッ


「ちょ、ちょっと和葉!抱き着かなくていいわよ!ただでさえこの部屋暖房で若干暑いのに!」


「えへへ~、ありがとね♪和葉♪」


「で、でも三葉は私がカナタ君と一緒に過ごすの反対じゃないの?」


 すると三葉は不思議そうに答える。


「え?全然嫌じゃないよ?だってさっき双葉が言ってたことは間違いないもん!」


「そっか・・・ありがとね三葉」ナデナデ


「えへへ~、そんなことないよ~」


 うんうん、これでいい・・・訳ないじゃない!私はビシッと和葉に指を指して言った。


「もしかして和葉、ただでデートできるって思ってるんじゃないかしら!?」


「へ?」


「デートをしてもいいけれど1つ条件があるわ!」


「う、うん」ゴクリ


「カナタに告白しなさい!」


「え、えー-----!!!!」

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