第51話 事前に連絡してあげた方が
「いやー、暇ですなー♪」
「そうだな・・・」
「4人全員が暇って珍しくないですか!?」
「そうだな・・・」
「アンタが部活で忙しかったからでしょ」
「あっ!そうかも!?」
「そうだぞ・・・」
今日は久しぶりに4人全員に用事がなく俺たち4人はなんともなしにリビングにいた。すると突然・・・
ピンポーン
と、家のインターホンが鳴った。俺たちは一瞬でもお互いの顔を見合ったが、少しして俺が重い腰を上げて玄関の扉を開けた。するとそこにいたのは・・・
「お久しぶりね、カナタ君」
和葉たちのお母さんだ。俺は驚き混じりの声を上げる。
「えっ?和葉のお母さん?どうしてここに?」
すると3人の母親は俺の唇に指を当てて言った。
「和葉のお母さんじゃなくて、真菜さんって呼んでって言ってるじゃない」
「あっ、そうでした。すいません真菜さん」
「それでよし!で、あの子たちは今家にいるかしら?」
「アイツらなら3人ともリビングにいますよ」
「そう、それじゃあお邪魔します♪」
「あっ、ちょっと!?」
すると、真菜さんはズカズカと部屋の中に入っていった。そしてそのまま少し玄関で立ち尽くしていると、部屋の中から阿鼻叫喚が聞こえてくる。
『えっ!?ママ!?何でここにいるのよ!?』
『あら?お母さんが来てあげたのにそんな態度だなんてお母さん悲しいわ』
『そりゃそうだよ!?何で前もって連絡してくれなかったの!?』
『えー?だってその方が面白いじゃない、サプライズよサプライズ!』
やっぱり事前の連絡は入ってなかったか・・・俺は3人に助け舟を出すために割って入る。
「真菜さん、せめて事前に連絡してあげた方がいいと思いますよ?」
「えー?カナタ君までそんなこと言うのー?お母さんショックだなー」
「僕らも人を家にあげる準備しておきたいので次からはお願いします」
すると真菜さんは納得していないながらも頷いて答えた。
「うーん、確かにそうかも。次からは気をつけるわ」
すると、寝たふりをして難を逃れようとしていた和葉が顔をあげて言った。
「ところでお母さん、なんでここに来たの?」
すると真菜さんは手を叩いて言った。
「そうだった!皆んな、クリスマスは何か用事あるかしら?」
その瞬間、俺たちの時間が止まった。この人、まさか爆弾を投下してくるなんて!!
俺たちが何も言えないでいると双葉が先陣を切って話し始める。
「わ、私は特に用事は無いわよ?で、でもいきなりどうしたのよママったら」
双葉の言葉を聞いた真菜さんはホワホワと話し始める。
「あのね、最近あなたたち家に帰ってこないじゃない?だからクリスマスは家族みんなで団欒したいなって思ったのよー」
なるほど、ていうかアイツらそんなに帰ってなかったのか・・・俺は安心して口を開く。
「そうだったんですね。だったら家族水入らずで楽しんでください」
すると真菜さんは首を傾げながら言った。
「え?カナタ君も来るのよ?」
え?マジで?
俺が驚いているのも何のその、真菜さんは和葉と三葉に話を振る。
「2人はクリスマスどうなのよ?」
すると和葉は鼻息交じりに言った。
「わ、私、特に用事ない!だからみんなで過ごそう!」
その言葉に三葉も続いた。
「私も暇!だから一緒に過ごそうよ!ねえカナタ君!」
「えっ!?俺!?」
そう言われて周りを見てみると、三葉だけではなく和葉や双葉、そして真菜さんもこちらをジーッと凝視している。圧が凄すぎるっ!
そして俺は観念して話す。
「俺も暇だよ。だからクリスマスは真菜さんの家に行きますよ」
すると4人が一斉に喜び始める。
「「「「やったーーー!!!」」」」
「いやー、やっぱり3人より4人の方がいいもんね♪」
「そうよそうよ!やっぱり私たち4人は一緒の方がいいわよ!」
「楽しみましょうね!カナタ君!」
「お、おう・・・」
ごめんよ、高橋、委員長、お前らとのクリスマスは無しになりました。今度ご飯奢るから許してくれよな・・・
「ゔえっくしょーーーい!!!」
「どうした高橋?噂でもされたのか?」
「いや、多分風邪だな」
「そんなわけ無いだろう?バカは風邪引かないんだから」
「うるせーーーー!!!!」
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