第50話 突然の展開

「・・・・・・・」


 ヤバイ!覚悟は決めてるんだけどメチャクチャ緊張してきた!


 私が緊張でガチガチでいると和葉が肩を叩いて話し始めた。


「双葉ぁー♪なに?緊張してるの?」


「当たり前でしょ!?だって正面切ってあんなこと言っちゃったのに今日になってやっぱり無しのやつ無しなんて・・・」


「まあ、何だこの女とは思うだろうね♪」


「和葉!?なんで急に梯子外すのよ〜・・・」


「ごめんごめん♪大丈夫、カナタ君も鬼じゃないんだからきっと許してくれるよ♪」


「うぅ・・・」


 なんて話していると玄関の方で扉の開く音がした。


 私と和葉はお互い見合ったまま固まっていたけど少しして和葉は


「じゃあ、私は部屋に戻るから♪」


 そう言って和葉はウィンクをして部屋へと戻っていった。


 そして少しするとカナタが部屋に入ってきた。カナタは私のを見ると言った。


「おう、双葉か・・・ただいま」


「お、おかえり・・・遅かったじゃない」


「ま、まあな。少し長引いちまった」


「・・・」       「・・・」


 な、何やってんのよ私わー!!こんな気まずい雰囲気にしちゃったら言いたいことも言えないじゃないのよ!


 け、けどこのままじゃダメよ!私は意を決して口を開く。


「「あのさ!」」


 か、被った・・・もう、何にも上手くいかないじゃない!!


 私が絶望に陥っていると、カナタがおずおずと私に話しかけてきた。


「えっと・・・先に双葉からでいいぞ」


「えっ!?あっ、そう・・・」


 そう言うと私は1つ大きく深呼吸をして冷静を装って言った。


「えっと・・・私この前、告白は無かった事にして欲しいって言ったじゃない?」


「そ、そうだな・・・」


「アレやっぱり無しにして欲しいの!」


「え?えっと・・・つまり?」


「要するに、まだ私はアンタに告白してるってことよ!」


「そ、そうか・・・」


「だめ・・・だったかしら?」


 私がそう言うとカナタは首を横に振って言った。


「いや!全然ダメじゃない!ダメじゃないんだけど・・・」


 するとカナタはゆっくりと話し始める。


「俺、あの後何度も考えたんだ。俺の双葉への気持ちは一体何なのか。そしてそれをどうやって伝えるべきか・・・」


「だけど、何の結論も得られなかった。だからしっかりとお前に謝らなきゃって思って」


 あの時私に話しかけようとしたのはそれを伝えるためだったのね・・・


 私はカナタを優しく抱き寄せて言った。


「もう忘れたのカナタ?私、すぐに答えを出さなくていいって言ったじゃない。何急いじゃってるのよ」


 その言葉にカナタは涙を流しそのまま言った。


「だ、だって・・・俺が・・・俺がもっとしっかりしてたら・・・双葉にこんなこと言わせなくても良かったから・・・!」


「カナタは悪くないわよ。これはカナタのことを勝手に心配して勝手に見限った私のせい。だけどもう私は引かない・・・だからカナタ、もう一度言わせて欲しいの」


「・・・うん」


「好きよ、カナタ・・・」


「分かった、ありがとう・・・」


 そして私はカナタの唇にキスをした。カナタは最初少し抵抗したけど、私が強引にそれを阻止し、そのまま舌を入れる。カナタは一瞬驚いたように私の方を見たけど、抵抗すらさせなかった。


 そしてしばらくして私はカナタの唇から唇を離す。カナタの唇からは私の唾液がらしきものが付いていた。きっと私にも逆のことが言えるんだろう。


 そして少ししてカナタが話し始めた。


「き、急にどうしたんだよ?」


「私がただ単にしたくなったのよ」


「で、でも俺たちはまだ・・・」


「でも、カナタも興奮したでしょ?」


 するとカナタは顔を真っ赤にして頷いた。それを見て私は耳元で言った。


「ちなみに私はかなり興奮したわよ。それじゃあ、おやすみ」


 そうして私たちはいつも通りの関係に戻った。

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