第49話 じゃあ私はどうすれば・・・

「今日は久しぶりに姉妹3人だけ暇だね!」


「そうだねー♪カナタ君、球技大会の後からなんか仲良い友達できたみたいだしね♪」


「えっ!そっかあ・・・感動的だなあ」


「そ、そこまで言わなくてもいいんじゃないかな?多分」


 なんて話している横で双葉がジッとこっちを見つめていた。双葉、3日くらい前からこんな感じだ。何か言いたいことがあるんだろうけど、今まであんな双葉見たことなくて、私も和葉もどうすれば良いか分からないでいた。


 すると和葉が意を決したように双葉に声をかけた。


「ねえ、双葉?最近なんかおかしいけどどうかしたの?」


 すると双葉はゆっくりと口を開いた。


「そうなのよ、私、どうかしちゃったのかな?ちょっと2人に聞いて欲しいんだ」


 その言葉に私は思わず背筋が凍りついた。だけどその一方で和葉は何かを悟ったような顔をしていた。何か知ってるのかな?


 私たち3人がそれぞれ席に着くと双葉は自分の中で整理するように話し始めた。


「えっと・・・まずは結論から言うんだけど、私この前カナタへの告白を無かった事にした」


「えっ・・・!」


 そんな、まさかそんなことが!?双葉、あんなにカナタ君のことが好きだったのに・・・


 双葉の言葉を受け、和葉が自分自身を納得させるように噛み締めながら言った。


「そっか、そうなんだね・・・それって私のせいかな?」


 双葉はふるふると首を横に振って言った。


「いや、和葉のせいではないよ。確かにアレは1つきっかけではあったけど・・・その前から自分でも何となく勘づいてた」


 なんか、双葉と和葉だけ何か知ってるのかな?でも私は何も知らないよ!私は思い切って2人に聞いてみた。


「ね、ねえ2人とも!私、ことの顛末がよく分かってないんだけど・・・」


 すると双葉は一つ質問をした。


「ねえ、三葉はカナタのこと好きなのよね?」


「えっ!?いきなり何?」


「いいから!好きなのよね?」


 圧がすごい!でも・・・いつもの双葉とは何か違う圧だ。私は思ったままに答える。


「もちろん、大好きだよ!」


「そう、じゃあカナタが私たちの告白を足枷に感じてるって知ってるかしら?」


「うん、多分そうだろうなとは感じてる」


 私がそう答えると双葉はキッとこちらを睨んで言った。


「だとしたら!何でそんなにのほほんとしてるのよ!」


「えっ?」


「私は、これ以上カナタの負担になりたくないのよっ・・・!」


「双葉・・・」


 まさかこんなに双葉が思い悩んでたなんて知らなかった・・・でもだからってこれじゃあ


 私は双葉に1つ質問をした。


「それは、カナタ君がそう言ってたの?」


 すると双葉は虚な表情で言った。


「言ってないわよ。だけどアンタだって何となく察してるんじゃない?」


「私もそうだとは思うよ。だけど逆にそんな足枷になるくらいにはしっかり考えてくれてるんだと思うよ」


 すると双葉は声を荒げて言った。


「そ、そんなのアンタの勝手な想像じゃないのよ!」


「うん、そうだよ。だけどあそこまで考えてくれるのはカナタ君の誠実さの表れだよ。それにカナタ君はそういうのをウジウジして先延ばしにする人じゃないよ!」


「そ、それは・・・」


「ねえ、双葉、双葉に一つ質問するね」


「双葉はカナタ君のことが好きなの?」


「私、わたしは・・・」


 そう言う双葉は今にも泣きそうな表情を浮かべている。だからって引くことはできない。私は言葉を重ねる。


「ハッキリ言って!じゃないと何も始まらないよ!」


「好きよ!」


「私もカナタが好きよ!好きで好きでどうしようもないくらいよ!」


「そうだよね、知ってるよ」


「でも、好きなら好きな人を信用してあげようよ、ねえ双葉」


「うん、うん・・・」


「だから、カナタ君が帰ってきたら仲直りしよう」


「分かったわ・・・ありがとう三葉っ!」


 そして双葉が私に抱きついてきた。そしてそのままの状態でいると和葉が手を叩き話し始めた。


「はいはい、これで一件落着♪私もうお腹ぺこぺこだよー♪だからホラッ2人とも料理お願いしまーす♪」


 そう言われて私がキッチンへ向かおうとすると双葉がそれを制止して言った。


「いいよ三葉、ここは私にやらせてよね」


「えっ、でも今日の当番私だよ?」


「いいのよ、さっきの感謝させなさいよね!」


 そう言って双葉はキッチンへと向かった。


 私は、手持ち無沙汰になったなあなんて思っていると和葉が話しかけてきた。


「ありがとね、三葉♪」


「えっ?何が?」


「何って・・・双葉の気持ちを前向かせてくれて♪」


「正直、私、話しかけたけど解決できる気がしなかったんだよね♪」


「えっ、えー!?」


「だから話だけは聞いてあげようって感じだったんだけど、まさか三葉がここまでしてくれるなんてね♪」


「ああ、それはね、前に私が家出した時に双葉が私を説得してくれたから、だから今回は私が力になるんだって思って!」


「そっか、三葉はいい子だね♪」


「えへへ、そうかな?」


「にしても双葉、ちゃんと仲直りしてくれるかな?」


「それは多分心配ないよ。双葉はやるって言ったらやる子だし、それにカナタ君だってこのままじゃ嫌だって思ってるはずだから♪」


「そっか!そうだよね!」


 そうだ、2人ならきっと仲直りできるはず!だから頑張れ!双葉!

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