第47話 きたる冬休み

 「・・・っと、そういうことだから。それじゃあまた明日、あいさーつ」


 サヨーナラー


「・・・そろそろ冬休みか」


 俺はそう言いながら教室に置かれてるカレンダーを見る。そのカレンダーのある日に大きな丸が付いていてそこには冬休みと書かれている。


 そういえばアイツらって何か予定あるんだろうか?家に着いたら聞いてみるか。


「冬休みの予定ですか?私は何も無いですね」


「それに・・・テストがヤバすぎて冬休みが行われるかどうか・・・」


 言葉の重みがありすぎる・・・!


「こ、今回も俺が教えてやるからさ」


 すると三葉は俺に手を合わせて言った。


「ごめん!その事なんだけど、クラスの友達が教えてくれるって・・・」


「そ、そうか。それなら良かった。頑張れよ」


「はいっ!応援よろしくお願いします!」


 ・・・・・・・


「冬休み?そうね、特に決めてないけれどそれがどうかしたのよ?」


「いや、ただ何となく気になっただけだ」


「そう、じゃあ逆に聞くけどカナタは何か予定とかあるのかしら?」


 おっと、そうきたか・・・だが案ずることはない!俺は自信満々に答える。


「俺はちょくちょく友達と遊ぶ予定があるぞ」


 すると双葉が目を丸くして言った。


「えっ!?カナタ・・・友達いたの?」


「いるわっ!!それにお前も球技大会の時にちょっと会っただろ!?」


「ああ、あの人たちね。そう・・・にしてもあのカナタに友達が・・・!」


「三葉ー!今日はお祝いのお赤飯炊いてー!」


「双葉、もうやめて・・・」


 どうにか双葉内の俺のイメージを払拭しなくては!


 ・・・・・・・


「冬休みかー、何日かは友達と遊びに行く用事はあるけど基本は暇かなー♪」


「だって暇な方がカナタ君と遊びに行く用事作りやすいもん♪」


 こ、こいつ・・・こういう所が読めないんだよな。


「お前、そういうのやめろよ」


「へ?なんで?」


「そりゃ、和葉と俺は別にカップルじゃないんだからそういう思わせぶりな事するのは、和葉の運命の人?的な奴がいてもタイミング逃すかもしれないぞ?」


「そっかー・・・・・・」


「それにさ、俺が今、三葉と双葉から告白受けてるの知ってるだろ?だからさ・・・」


「・・・・・・・」


「だから今後そういうのは・・・え!?」


「・・・・・・・」ズモモモモモ


 めっちゃ圧が出てる!?何で!?理由がさっぱり分からない!


 俺は恐る恐る和葉に尋ねる。


「和葉さん?いかがなさいました?」


「カナタ君?それぐらいは自分で察してほしいかもしれないな」ニコッ


 これは・・・本格的にヤバい!?俺が何も言えずにいると和葉は笑顔そのまま言った。


「そっか♪それじゃ、私ちょっと双葉の部屋行ってくるね♪」


 そして和葉はリビングを去った。


 ・・・・・・・

 ♡

「いくらあの鈍感なカナタ君でもあの言い方はどうかと思うんだよね!双葉もそう思うでしょ!?」


「いやいや、カナタも確かに悪いけどアンタが思わせぶりでヘタレなのも悪いわよ」


「そんなあー・・・そこまで言わなくてもいいじゃん」グスン


 すると双葉のはどこか怒りまじりに言った。


「それに!アンタこの前私はこれでいいとか何とか抜かしてたじゃない!」


「そ、それは・・・私の気持ち、多少はカナタ君に伝わってると思ってたし・・・」


「それにカナタ君、恋愛ごとになると余裕無さそうで、告白されたことを話してるカナタ君はどこか悲しそうというか、悩んでるというか、そういう複雑な顔してて・・・」


「そんなカナタ君に私まで告白しちゃったらカナタ君きっと限界来ちゃうから・・・」


「・・・・・・・」


「双葉?どうしたの?」


「私、カナタがそんなに追い詰めてたんだ。そっか、私・・・わたし・・・!」


 そう言うと双葉は涙を流し始めた。私は双葉に優しく声を掛ける。


「べ、別に双葉が悪い訳じゃないよ!好きな人に告白したいのは普通のことだし、ねっ!」


「だけど、私は好きな人を追い詰めてたんだ!そんな、そんな私にカナタを好きになる資格なんてないんだ!」


「そ、そんなことっ!」


 私が双葉を慰めようとする途中、双葉はゆっくりと私に言った。


「和葉、ちょっと部屋出てくれないかしら?私ちょっと一人で考えたいから・・・」


 私はその言葉に何も言えずにそのまま部屋を出てしまった。


「大丈夫かな?双葉」


 この時、私がもっと頑張るべきだったんだ。この冬がこんな事になるだなんて。

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