第44話 頑張れっ!
球技大会は2日目、俺のクラスのソフトボールの試合は第一試合だったのだが・・・
「三年生強過ぎんだろ・・・」
運悪く初戦から三年生に当たってしまった俺たちは見るも無惨な大敗を喫してしまった。
ベンチに座ってボーッと感傷に浸っていると横から声をかけられた。
「三年生熱入ってんなー、こんなん勝てっこねえだろ〜。なあスガワラもそう思うだろ?」
「えっ?あ、ああそうだね・・・」
確かコイツは高橋だったかな?この試合でピッチャーを務めて10点に抑えた大投手だ。高橋は尚を俺に話し続ける。
「いやにしてもスガワラ!アレはナイスバッティングだったな!野球とかやってたのか?」
「小学校の時に少しやってた。まあそれ抜きに運動は得意かな、高橋君もピッチャーお疲れ」
すると高橋は腕を組んで言った。
「ホントだよ!三年相手じゃ無かったら三振の山築いてやったのにさー!」
なんて話していると1人話に割り込んできた。
「何してんだお前ら?サッサと教室戻るぞ」
これはこれは、我がクラスの学級委員長、高森じゃないですか。俺がグラウンドを去ろうとする一方、高橋が委員長に噛み付く。
「何だよー、もう少しくらいここにいたっていいじゃんかよ!このケチ!」
すると委員長は冷たく言い放った。
「うるさい、長くいたかったらもっとマシなピッチングをするべきだったな」
「ガーン!それはいくらなんでも酷すぎんだろうがよー!」グルルルル
コイツら、こんなに仲良かったのか。なんか意外だな、俺は2人に尋ねる。
「2人、なんか仲良さそうだけど中学校とか一緒だったの?」
すると高橋が笑顔でコッチを向いて言った。
「おう!俺とコイツは小ちゃい時からの幼なじみなんだ・・・」
「僕とコイツは腐れ縁だよ。高校を選ぶ時だって僕が前から狙ってたここにアイツが前期推薦が来やがったのさ」ニコッ
「そ、そうか・・・」
コイツら、中々にクセがあるな・・・
その後、俺たちが校内を歩いていると目の前から三姉妹がやってきた。そして和葉が俺に話しかける。
「やっほーカナタ君♪試合お疲れ様♪」
「おう、結果は散々だったけどな」
すると双葉が俺に追撃をする。
「アンタ、他人に教えてたクセに初戦であっさり負けるのはどうなのよ?」
「うるせえ、三年相手にしては善戦した方だ」
「でもでもあのヒットは凄かったと思いますよ!」
そう三葉がカバーしてくれた。心ない言葉の後だから沁みるなあ・・・
その後少し立ち話をして俺と三姉妹は一旦別れた。
その別れ際、和葉が一つ忠告をする。
「あっ、因みに私の試合は1時半からだから忘れないでね♪」
すると高橋が俺に尋ねてきた。
「あれって大室さん達だよな?」
「うん、そうだね」
「前から思ってたけどスガワラって大村さん達と仲良くね?」
その言葉に俺は思わずギクッとしてしまったものの冷静に答える。
「ああ、大した理由はないんだ。ただ幼馴染ってだけ」
その言葉に委員長が反応する。
「それは本当かいスガワラ君!いいねえ、一体前世で何をしたらそんなにいい人達と幼馴染になれるんだ僕なんてこんな奴と腐れ縁になったってのに・・・!」
「アハハハ・・・」
委員長、どんだけ高橋が嫌いなんだよ・・・
その後俺たちは何ともない会話をグダグダと続けていた。俺は不意に嫌な予感を感じ、委員長に1つ質問をする。
「そういえば委員長、今って何時か分かる?」
すると委員長は腕時計を見て言った。
「今は・・・1時50分だね」
「マジか!」
確か和葉、試合1時半からって言ってたよな!?俺は慌てて教室を飛び出してグラウンドへと向かった。
すると試合は既に始まっていて、双葉と三葉もいた。俺は2人に声をかける。すると双葉が怒り心頭といった感じで言った。
「遅い!とっくに試合始まってるわよ!」
「悪い!それで今試合はどんな感じなんだ?」
「もう最終回よ、それで1アウト2、3塁で和葉の打よ」
「マジかよ、大一番じゃねえか・・・」
♡
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
何でこんな大チャンスで順番回ってきちゃうのかな?しかもカナタ君の教えをあんまり活かせてないし、ていうか何でカナタ君応援にきてないの!?ショックだよ!双葉の応援も三葉の応援にも来てたのに・・・
でも、もうやり切るしかない!
・・・・・・・
もう2ストライクだぁーーー!!??
終わりだ・・・戦犯だ・・・お終いだー!
はあ、カナタ君も来なかったし最悪だ・・・このままサッサと終わらせ・・・
「頑張れ!和葉!」
その言葉を方を向くとそこにはカナタ君がいた。そっか、来てくれたんだ!でも遅刻は許せないけどね!けどなんか冷静になってきた。
「えっと確か・・・」
ボールに当てにいかない。だよね!あっ、ボールくる!
カキーン!
・・・・・・・
「お疲れ様、和葉」
和葉の打った球は運良くライトとセンターの間に落ち、ヒットになり無事勝利を収めた。
和葉は少し拗ね気味に言った。
「それは嬉しいけどカナタ君が遅れてくるのは流石の私も怒っちゃうな」
「すまん、友達と意外と盛り上がっちまって」
すると和葉は目を丸くして言った。
「え!カナタ君友達出来たんだ・・・うぅ、私は嬉しいよ」オヨヨ
「うるせー!いるわい!」
「アハハッ!ごめんごめん♪」
「ホントに失礼だな全く・・・」
なんて話していると双葉が話に割り込んできた。
「それにしても、まさかカナタが遅刻するなんて、これは和葉に何かしらしないといけないんじゃないかしら?」
すると和葉が俺の方を見て言った。
「そうだな♪それじゃあさカナタ君」
「今週の土曜日、一緒に遊びに行こうよ♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます