第43話 三葉!見参!
双葉の試合を観戦した俺たちは共に昼食をとっていた。
「次この4人で試合ある奴っていたっけ?」
俺がそう言うと三葉が頬を膨らませながら言った。
「むー、次は私ですよ!ちゃんと確認してくださいよ!」
「悪い悪い、つい誰かに聞けばいいか思っちまってさ」
すると和葉が俺を追撃する。
「そういえばカナタ君、双葉が何の種目に出るのかも把握してなかったもんね♪」
「ばっ、バカそれは言うなよ!」
すかさず双葉が俺を問い詰める。
「ちょっと!それは一体どういうことよ!?」
「いや、これは、そのー・・・すいません」
「もう、しっかりしなさいよね!」
そう言うと双葉は黙々と弁当を食べ始める。しかし不意に手を止めて言った。
「あっ、これは美味しい!」
「ホントだね!今日のお弁当係って確かカナタ君でしたっけ?」
俺は頷きそして答える。
「おう、今回はせっかくだしと思ってちょっと頑張ったんだよ」
すると双葉はぶっきらぼうに言った。
「そう、カナタのくせに中々やるじゃない」
「はっ?なんだよそれ、そんな言い方する奴の弁当没収したっていいんだぞ?」
「何よ!そこまでしなくたっていいじゃない!この鬼!悪魔!カナタ!」
そんな具合に揉めていると、和葉が仲裁に入った。
「ま、まあまあ2人とも。痴話喧嘩はそれぐらいにしなさんな」
すると双葉は顔を真っ赤にして言った。
「だ、誰の何が痴話喧嘩よっ!?そ、そんなことしてないわよ!」
「えー?私にはそう見えたけどなー♪」
「もー!和葉ぁ!」
すると三葉が立ち上がり言った。
「それじゃ!私ご飯も食べ終わったので行きますね!カナタ君、くれぐれも忘れないで応援に来てくださいね!」
「えっ?もう食べ終わったのか?お前の分は少し多めに作ってるはずなんだが・・・」
見ると三葉の弁当箱は確かに空っぽになっていた。こいつ、運動だけじゃなく胃の大きさも無限なのか?
三葉は首を傾げながら言った。
「そうですかね?私、まだまだ食べられます!」
すると双葉が冷たく言った。
「アンタ、そんなに食べてると、今はいいかもしれないけど運動しなくなった時に痛い目みるわよ」
「いいもん!私の運動好きだから大丈夫だもん!」
「じゃあ私そろそろ行くから!」
そして三葉は駆け足で体育館へと向かっていった。
それを見ながら和葉がしみじみと言う。
「ホントに三葉は元気だよねえ・・・」
「そうね、できればもう少しお淑やかになってほしいところだけれど」
「まあそれはそうかな、アハハ・・・」
「と、とにかく俺たちもサッサと食べて体育館行こうぜ」
・・・・・・・
そして俺たちは体育館に着いた。そこで和葉から問題を出される。
「ところでカナタ君、ここで一つ問題♪」
「三葉は一体何の種目に出るでしょうか?」
やはり来たか・・・しかし恐ることはない!俺はここに来る途中で調査済みだ!俺は自信満々に答える。
「簡単だな、答えはズバリ、ドッジボールだ!」
すると和葉は少しいじけながら言う。
「なーんだ、カナタ君もう知ってたのか」
それ聞いた双葉がツッコミを入れる。
「アンタ・・・何で少し残念そうなのよ」
和葉は取り繕うようにして言った。
「えっ!?それは、そのーなんとなくかな?」
なんじゃそりゃ?俺は2人を引き連れ三葉達のクラスの試合が見やすいところまで向かった。
そしてそこへ辿り着くと丁度試合が始まった。
和葉がどこか高揚しながら言った。
「あっ!もう始まるよ!」
俺は和葉を落ち着かせるために言う。
「見れば分かるよ、だからお前は少し落ち着けよ」
そんな俺たちを尻目に試合が進んでいく。そしてその試合の中心人物は間違いなく三葉だ。三葉は男子と同等、いやもはや男子よりも速い球を投げ、そしてキャッチしている。
それを見ていた双葉が思わず声を漏らす。
「これじゃ、ドッジボールじゃなくてもはや虐殺ね」
そしてその言葉に和葉も反応する。
「そうだね、大活躍は間違いないんだけどこれは余りにも凄すぎるね・・・」
「俺、少しアイツのことが怖くなってきたな」
・・・・・・・
そのまま試合は三葉の虐殺祭りの様相を呈したまま終了した。
そして少しすると三葉がやって来た。そしてそのまま三葉は笑顔で話し始める。
「勝てたよ皆んな!どうでした?私、大活躍だったでしょ?」
「お、おう。凄かったぞ・・・」
「なんか皆んなテンション低くないですか?」
俺が正直に答えられずにいると双葉が代わりに説明を始めた。
「アンタ、大活躍はそうなんだけど少しやりすぎよ、あれじゃあ虐殺よ虐殺」
「えっそんな!?まさかカナタ君と和葉もそう思ったんですか!?」
その言葉に俺と和葉はほぼ同時に首を縦に振る。
そして三葉は大きな声で言った。
「そ、そんなあーーーーー!!!」
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