第34話 いざ勝負!

 それはあまりにも突然の出来事だった。


 今日は三葉が部活でいないが珍しく和葉も双葉の両方が家にいる状態だ。おそらく時間的にそろそろ三葉も帰ってくることだろう。


 ガチャッ


 ほら来た。そして少しするとリビングの扉が開いた。そしてそれと同時に三葉が大きな声で言った。


「みんな!ゲームやりましょう!」


 そう言う三葉の手にはゲームソフトが握られていた。


 俺が状況を飲み込めずにいると双葉が代わりに三葉に話しかける。


「ずいぶんと急ね?というか、何よそれ?」


「知らないの双葉?髭男カートだよ!最近流行ってるらしいよ!」


 すると自分の部屋から来たであろう和葉が来て言った。というかコイツ髪ボサボサだが、まさか今まで寝てたのか?もう昼近いぞ?


「ふわぁ・・・どうしたの三葉?っていうかそれって髭カー!?三葉それどこで手に入れたの?」


「それが先輩が飽きたから貸してあげるって」


「そうなんだ♪じゃあ皆んなでやってみようよ♪」


 するとすかさず双葉からツッコミが入る。


「今野その話をしてたのよ。全く、こんな時間までぐうたらしてるから話についていけないのよ!」


「あれ?そうだったんだ♪」


 双葉は不服そうだったが俺は2人に割り込むように言った。


「そ、それじゃあ早速やってみようぜ』


 そして俺はゲームの電源をつける。そして三葉から渡されたソフトを挿入する。すると元気な男の声と共にゲームが起動した。


「これが髭男カートか、動画では見たことあるけど、生で見るとなんか気分が上がるな」


 すると三葉がゲームをコントローラーをしながら言った。


「そうですよね!あっ個人戦でよかったですか?」


「そうだな、それでいいんじゃないか?」


 すると和葉が恐ろしいことを言ってのけた。


「そういえば、一位の人になんかあったりするのかな♪」


 な、なんて恐ろしいことを・・・俺が即座に断ろうとするよりも先に双葉が言った。


「それもそうね、それじゃあ最下位の人が一位の人の言うことをなんでも聞くってのはどうかしら?」


「それいいですね!それじゃあそれでいざ勝負です!」


 ここまで俺の発言ゼロ!なんとまあ自分勝手な奴だ・・・でもまあこうなってしまったら仕方がない。いざ勝負!


 1戦目、俺は先頭を走っていた。が、それをアイツらは許さなかった。俺は和葉から赤い甲羅を食らった。追い越されると同時に和葉が言った。


「まんまと食らったね♪それじゃお先ー♪」


 そしてその直後、双葉にも追い越された。ヤバイ!このままじゃ俺が最下位の恐れが・・・!しかし俺はその後三葉に越されることなくゴールした。

 4人のポイントはそれぞれ


 和葉15pt

 双葉12pt

 俺 9pt

 三葉6pt


 少し上下が分かれたような気がするが・・・1戦目だからまだ可能性はあるか。


 そして俺たちは2戦目3戦目と熱戦を繰り広げついに最終試合の4レース目になった。そして4人の得点が


 和葉32pt

 双葉30pt

 俺 29pt

 三葉27pt


 と、場合によっては暫定一位の和葉が最下位になる可能性もあるほどの接戦だ。この一戦、是が非でも勝たねば!


 そうして最終レースの幕が上がった。俺はあえて先頭を取らずに後方からスタートした。これまでの3レースを見るに早いうちに先頭に立つと他の奴らから狙われてしまう。案の定先頭の双葉が妨害を食らっており、不満が爆発していた。


「あっ、ちょっと2人とも!そんなに私のこと狙わないでよね!」



「そんなこと言われても私だって1位でゴールしたいんだよねえ♪」


「ごめん双葉!それじゃ!」


 俺の想像通り先頭はごちゃついてる。ラスト一周、そこで一気にアイテム使って前にでる!


 その言葉通り俺はラスト一周、アイテムをフル活用して先頭に躍り出る。


「しまった!」


「いやー、してやられたね♪」


「でも、まだ負けてませんよ!」


 そしてレースは終盤、俺は依然先頭だったがアイテムは弱いものだった。だけどこのまま逃げ切れるはず!


 しかし、そんな俺の希望を打ち砕く言葉を和葉が放った。


「あっ、カナタ君♪青トゲトゲ投げといたから気をつけてね♪」


 その瞬間、俺の顔が青ざめていくのが自分でも分かった。青トゲトゲは1位を狙い撃ちするアイテムで、俺が今持ってるアイテムでは防ぐことはできない。俺はなす術なく和葉の攻撃を食らうと一気に下位まで後退して、そのままゴールとなった。


 そして得点は


 和葉47pt

 双葉43pt

 俺 38pt

 三葉40pt


 となり、一位が和葉、そして最下位が俺という結果になった。俺が呆然としていると和葉がルンルンと話し始める。


「やったー♪私が一位だ♪そして最下位わ〜」


 くそっ!これ見よがしに煽ってきやがって!俺はぶっきらぼうに言った。


「俺だよっ!!」


 すると和葉がニコニコ笑顔で言った。


「そうなんだ〜♪じゃあ罰ゲームはどうしよっかな〜♪それじゃあ」


「私とデートしてよ♪」


 俺は思わずその言葉に動揺してしまった。俺が何か言う前に双葉が口を開く。


「そ、それはずるいわよ!」


「え、そうかな?」


「うん!ずるいよ和葉!」


「三葉まで・・・分かったじゃあこの約束は無しでいいよ」


「だから、この後の買い物付き合ってよ♪」


 買い物か、それなら安いもんだな。俺は快諾する。


「分かった、それじゃあ行くか」


 そうして、俺と和葉は買い物に行った。だけどこれがまさかあんな事態を引き起こすなんて俺は知る由もなかった・・・

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