第28話 文化祭① 文化祭が始まる!

 今日は待ちに待った文化祭の当日だ。と言っても今日は生徒限定の前夜祭だ。そしてこの前夜祭は俺の管轄では無かったためどういったものが見られるか知らない。

 そこであの3人を前夜祭に誘ったのだが・・・


「ごめんねカナタ君♪私、前夜祭は少し用事があって♪」


「生憎だけど前夜祭の時は用事があるのよ、だけど本番の時は一緒にまわるからその気でいてよね!」


「ごめんなさい!カナタ君!その時、私は用事があるので!それが終わったら合流します!」


 と、見事に三球三振と撃沈してしまっため、俺は1人で前夜祭を過ごすことにした。そこで俺は、学校でアイツら無しで過ごすことが久しぶりであることに気づいた。春先は一緒にいるのを躊躇っていたが気付いたら3人のうちの誰かといることが当たり前になっていた。それだけ俺とアイツらの仲が良くなったって事だろう。


 などと考えているとステージ上の熱井先輩が大きな声で開会宣言を行った。


「これより!第53回文化祭を開催する!」


 そして先輩と入れ替わりで司会の人がステージへ上がる。


「それでは早速参りましょう!前夜祭のトップバッターを務めて貰うのはフレッシュな一年生のダンスグループ、sun☆flowerです!」


 そう言うと司会はステージを降り、代わりに上がった女子たちが各々の配置についた。そしてその中に見覚えのある顔があった。三葉だ。


 俺が唖然としているはお構い無しに体育館全体に曲がかかり、三葉たちが踊り始めた。三葉の踊りは、とても素晴らしいもので俺もうっかり見惚れてしまっていた。そして曲が終わると割れんばかりの歓声が響き渡った。


 そして三葉と俺の目が合うと三葉は俺に向かって投げキッスをしてきた。


 次のグループの発表を見ていると前から三葉がやってきた。終わってすぐ来たからか少し汗ばんでいた。


「カナタ君!見てくれたました!?」


「ああ、お前踊りも出来るんだな」


「はいっ!すごいですよね!?すごいんです!」


「そうだな、流石体を動かすことは一流だな。体を動かすことは」


「むぅ、何でわざわざ2回言ったんですか?」


 俺の失言で少し機嫌が悪くなった三葉だったがすぐにいつもの調子で話し始める。


「あっ!次のグループ、双葉が出るんですよ!」


 そう言われステージの方を見るとマイクの前に立つ双葉の姿があった。俺は三葉に尋ねる。


「双葉ってバンドやってたのか?」


「いえ、でもなんか友達に誘われて仕方なくって言ってました」


「そうなのか・・・」


 などと言っていると演奏が始まった。そして双葉が歌い始める。その瞬間、俺の中での世界が光り輝いた。双葉の声に俺は魅了されたんだ。そこから演奏終了まではあっという間だったが、俺は余韻に浸っていた。そんな俺を三葉が現実に引き戻した。


「カナタ君、カナタくーん。大丈夫ですか?」


「お、おう大丈夫だ。それにしてもアイツ、歌上手いんだな」


「知らなかったんですか?双葉は昔から3人の中で一番歌が上手いんです!」


 などと話してると双葉やってきた。


「ふー、疲れたわ」


「双葉お疲れ様!すごい良かったよ!」


「当たり前でしょ!私なんだから」


「・・・で?カナタからは何かないわけ?」


「あ、ああ良かったぞ。正直言って今でも余韻に浸れるくらいだ」


「フフッ、ありがとっ」


「そういえば、和葉はどこにいるんだ?」


「和葉なら・・・ちょうど出番のはずよ」


 双葉がそう言うのとほぼ同時に司会の人間が高らかに言う。


「それでは最後に、ミスコンを行いたいと思います!」


 すると会場は今日一番の盛り上がりを見せた。そして学校のミスコン候補がずらりと一同に介した。そしてその中に和葉の姿があった。


 俺は驚きの声を上げる。


「えっ!和葉ミスコン候補だっのか!?」


「そうよ、一応私も誘われたんだけどバンドがあるから断ったわ」


「私もダンスのために理っちゃいました!」


「そうなのか、それにしても・・・」


「一番ミスコンとかけ離れた生活してるやつが引き受けたんだな」


「そうね、あれは美人がしていい生活ではないわね」


「アハハ・・・そうかもね」


 などと話してるうちにあっという間に結果発表の時間になった。


「それでは発表します。第53回文化祭ミスコンの優勝者は・・・」


 ホウカゴー


「和葉、ミスコン惜しかったね!」


「いやー、あと一票入ってたら優勝だったんだけどね♪」


 結果、和葉は優勝者と一票差の2位だった。しかし当の本人は楽しそうだ。


「まあ、こうやって大勢に見られることってないしいい経験になったよ♪」


「でもあんなぐうたらな生活してる人にミスコンはあげたくないわよね」


「双葉ぁ、そんな酷いこと言わないでよー」


「案外そういう日頃の行いの差かもしれんぞ」


「もー、カナタ君まで!」


「でもまあ、あそこにいるお前は普段よりも眩しく見えたよ」


「にしし、ありがと♪」


「それにしても、文化祭もいよいよ始まりますね!」


「そうだな」


「それじゃあ、明日からの本格的な文化祭も頑張っていこー♪」


「「「おー!」」」

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