第23話 ここにいたのか

 昨日、三葉の告白の露呈によって俺たちはバラバラになってしまった。しかし、俺は和葉の協力のもとまた4人で集まるために奮闘することにした。


 だがまあ、初めに何をするべきなのだろうか?俺が頭を悩ませていると和葉が俺に話しかけてきた。


「色々悩む事はあると思うけど今日はもう遅いよ。2人も子供じゃないんだからきっとどこかしら雨風凌げるところにいるはずだよ。だから今日はもう寝て、明日から探すことにしようよ」


 そうは言っても万が一というものがある。なのにこちらから何もせずというのはどうなんだろうか?

 俺の気持ちを察したのか和葉が言葉を続けた。


「それにさ、明日にはケロッとした顔して戻ってくるかもしれないじゃん♪」


「そうか・・・分かった、今はお前の言葉を信じるよ」


「良かった、それじゃおやすみ♪カナタ君」


「ああ、おやすみ」


 ヨクジツ


 次の日、俺は学校へ着くと真っ先に三葉と双葉のクラスへと向かった。三葉はまだ学校に来ていないようだったが双葉は学校に来ていた。

 俺は双葉との接触を試みる。


「よお、双葉。ちゃんと学校来てたんだな」


「・・・何よ。私はもうあの家には戻らないわよ」


「な、なんで!」


「何でって、アンタには分かりっこないわよ!だからもう私に関わるのはやめて」


「そんな、俺は別に・・・」


「もう時間よ、アンタもさっさと自分の教室戻って座んなさいよ」


「・・・分かったよ」


 俺はこの後も双葉の説得を試みたが双葉はそれを避けるように毎回どこかへ行ってしまっていた。

 そうして、昼休みの時間がやって来た。俺は1人で弁当を食べようとした。その時、教室の扉が開かれ、そちらを向くと和葉がいた。和葉は俺を見つけると言った。


「カナタ君、ちょっといいかな?少しお話があるんだけど」


 そう言われ、俺は弁当をしまい和葉に連れられ空き教室へと入った。そして和葉は教室の近くの椅子に座ると言った。


「2人のこと、何か収穫あった?」


 やっぱりそのことか、俺はありのままを伝える。


「いや何も。双葉とは一応話す事はできたんだけど取り付く島もなかった。それに三葉とは一度も会ってない」


「そうだよね・・・でも私は双葉と話すことすらできなかったから、双葉の説得はカナタ君に任せるよ。三葉に関しては私が情報を集めてみる」


「分かった、でも一体どうすれば・・・」


 そう言うと和葉はニヤリと笑うと言った。


「正攻法がだめならやる事は一つだよ♪」


 そして俺は今、バレないように双葉の後ろをついて行っている。学校で逃げられるなら逃げ場のないとこで。というのが和葉の作戦らしい。やっぱりアイツの作戦は恐ろしい。などと考えていると双葉はとある家へと入っていった。


「ここは・・・」


 双葉が入っていったのは双葉の両親の家、つまり3人が俺と住む前に住んでいた家だ。アイツここにいたのか。俺は迷わず家のインターホンを鳴らす。すると3人の母親が扉を開けた。


「はいはい、あら?どちら様かしら?」


「あっ、お久しぶりですおばさん。菅原彷徨です」


 そう言うと3人の母親は目を丸くして言った。


「あー!カナタ君!久しぶりねえ、でもいきなり何の用事かしら?」


「俺、双葉に会いに来たんですけど、いますか?」


「いるわよ、あの子ったら急にここに戻って来て驚いたわよ。ちょっと待っててちょうだい」


 そう言うとおばさんは家に戻っていった。そしてしばらくして戻ってくると残念そうに言った。


「ごめんなさいね。あの子、今はカナタ君に会いたくないんですって」


 やっぱりか、俺は力強く答える。


「知ってます!だからこそ俺は双葉に会いに来たんです!」


「そんなこと言われても、あの子が会いたくないって言っているから通すわけには・・・」


「そこをどうか!お願いします!俺、またアイツと一緒にいたいんです!」


 それを聞いたおばさんは少し驚いた様子を見せたが少ししてため息をつき話し始めた。


「分かったわ。でも、もしあの子に何かしたら許さないからその気でね」


「はい!ありがとうごさいます!」


 俺はそう言うと家へと入っていった。


 そして俺はおばさんの案内で双葉の部屋の前まで来た。俺は双葉の部屋の扉をノックして言った。


「双葉、ちょっといいか?」


 すると部屋の向こうから双葉の声が聞こえた。


「お母さんに家に入れるなって言ったはずよ。どうしてここにいるのよ?」


「おばさんから許可をもらった。なあ双葉、何で戻って来てくれないんだよ!」


 すると部屋の向こうから叫ぶような声が聞こえてきた。


「だからアンタには分かりっこないって言ってるじゃない!だからさっさと帰りなさいよ!」


「そうだとしても!俺は・・・またお前ら3人と一緒にいたいんだよ・・・なあ、頼むよ」


 俺はそう言うと扉に体を預け、膝から崩れ落ちた。しかしその時、部屋の扉が開かれ、俺は双葉の部屋に倒れ込んだ。俺は驚き、顔を上げるとそこには当たり前ではあるが双葉が立っていた。


 そして双葉は俺に向かって言った。


「何してるのよ、早く立って部屋に入りなさいよ。少しなら話し聞いてあげるから」


「あ、ああ分かったよ」


 そうして俺は絶対に説得してみせると心の中で誓い、双葉の部屋へと入っていった。


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