第21話 何でこうなるのよ!
♢
今日は私のクラスでは文化祭の出し物を決める話し合いが行われる。普段は学級委員長の立場だからこう言った話し合いがあると忙しいのだけれど・・・今回は違うわ!何故なら話し合いを取りまとめるのは実行委員の仕事だもの。だから私はゆっくり・・・
そのはずだったのに・・・
「頼む双葉さん!俺ではもう手がつけられない!」
どうやらそうは行かないみたいね・・・理由は単純で演劇派と喫茶店派の2つの意見が真っ向からぶつかっているから。私は実行委員の代わりに壇上に上がり双方の意見を聞くことにした。
「まずは皆んな落ち着きなさい!いいわね?それじゃまずは演劇派の意見を聞きたいのだけれどいいかしら?」
そう言うとうちのクラスの演劇部の人が立ち上がり話し始める。
「演劇といえば文化祭の定番じゃない?それに演劇は事前の準備さえ出来ていれば当日は劇のタイミング以外は自由行動が取れるから良いと思う!」
なるほど、それは確かに一理ある。私は次に喫茶店派の意見を尋ねた。すると調理部の女子が立ち上がり話し始めた。
「喫茶店も演劇に負けないくらい定番だしそれに一年は毎年飲食店をやるのが決まりだからいきなり演劇はどうかと思うの。それに喫茶店なら仕事を細かく割り振れるからある程度やり仕事ができると思うのだけどどうかしら?」
なるほどそれは確かにそうかも知れないけれどどうしたものかしら・・・と考えていると演劇派の1人が喫茶店派に反論を始めた。
「そう言うけどただの喫茶店なんて地味だから優秀賞なんて絶対取れないよ!私は欲しいよ、賞品の打ち上げ半額チケット」
「地味って・・・そんなこと言ったら演劇も変な台本だとひんしゅくを買うしそれにうまくいっても先輩に変に見られて票はいんないよ!」
結局、話は平行線をたどり明日に持ち越しとなった。
キタクゴー
私は家に帰ってからもどうすれば双方が納得するか考えていた。けれどまったくいい考えが浮かばなかった。だから私は和葉と三葉、そしてカナタに何の出し物をするのか聞くことにした。
「皆んな、ちょっといいかしら?」
そういうと3人はこちらを振り向いた。そしてカナタが答えた。
「いいけど、どうかしたのか?」
「皆んなのクラスは文化祭で何を出すのか気になったから聞いてみただけよ」
「文化祭の出し物かあ、私のクラス何だったかなー♪」
「私のクラスではパンデミックカフェをやるよ!」
なるほど、三葉のクラスはパンデ・・・へ?
今あの子パンデミックって言ったわよね?
私は問いただすことにした。
「パンデミックカフェって何をするの?」
「えっと、なんか教室を寂れた近未来都市にみたいにして料理も着色料で青くしちゃったりするんだって!」
なるほど、コンセプトカフェって感じかしら?私は他の2人にも話を振る。
「で?和葉とカナタは思い出したわけ?」
そう言うと和葉がアッという表情を浮かべると話し始めた。
「思い出した!うちのクラスでは激辛フェスっていって辛い料理とかそういうのが有名な場所の飲み物を提供するんだよ♪」
なるほど、料理にコンセプトを持たせるのもいいわね。あとはカナタだけなのだけれど中々言い出さないわね。私は思い切って尋ねることにした。
「あとはアンタだけね、何をするのよ?」
そう言うとカナタは恥ずかしそうに答えた。
「実は俺のクラス、女装男装カフェをすることになったんだ」
なるほど、こっちもコンセプトカフェってことね。ていうよりも女装男装ということは?私は質問をぶつけることにした。
「ってことはアンタも女装するのかしら?」
「そ、そうだよ」
これには私だけではなく他の2人も食いついてきた。
「えっ!?カナタ君女装するの?へぇ、それなら化粧は私たちにお任せだね♪」
「カナタ君の女装楽しみです!これで4姉妹ごっこができますね!」
「あっ、三葉それいいわね!カナタ、文化祭終わっても4姉妹風で遊ぶから衣装持ってきなさいよね!」
他にも私たちが色々言っていると我慢の限界が来たのかカナタ君が大声をあげる。
「ああもう!だからお前らに教えたくなかったんだーー!!!!」
「「「アハハハハ!!」」」
それにしても皆んな、色々と嗜好を凝らしてるんだな。それだったらもしかしてコレも上手いこといくかも?
ヨクジツー
次の日に私は話し合いになってすぐに一つの提案をした。
「皆んなちょっとだけいいかしら?昨日私色々と考えたのだけれどどっちが良いか優劣はつけれなかったの。だから折衷案として演劇カフェってのはどうかしら?」
すると昨日演劇派の意見を言ってくれた子が質問してきた。
「演劇カフェって何するんですか?」
待ってました!私は自信満々に答える。
「演劇カフェは基本的には普通のカフェなんだけど1日に何回かイベントとして少し短めの演劇を行うの。そうすれば両方の意見のいいとこ取りが出来るって算段よ!」
すると周りからなるほど、それならいいかもという声が上がり始め、最終的に満場一致で演劇カフェで決定した。
私はやれやれと思いながら席に着くと隣の席で私の可愛い友達の麗香が話しかけてきた。
「流石だねフタちゃん、私感心しちゃった」
「まあ、私にかかればこんなもんよ!」
だけどこの時の私は知らなかった。まさかこの提案が後にあんなことになるなんて
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