第18話 和葉の作戦
「でも、カナタ君にも手伝ってもらうから、よろしくね♪」
と、昨日和葉に言われたもののホントにこんなのが上手くいくのだろうか?そう思う俺の隣には和葉がいた。普段、俺と3人は別々に登校するのだがどうやらコレも作戦の内らしい。和葉いわく・・・
「一つ目に普段から私たち3人のうちの誰かと一緒にいること。これはタイミングが合う時は必ずお願いね♪」
「二つ目に今野さんがどんな行動を取っても私たちと関わるのをやめないこと。以上が作戦。分かったかな♪」
ということらしいが俺には何故これでいくと言い張れるのか不思議でならない。だが自分ではもうどうしようも無い以上は和葉を信じるしか無いか・・・
キーンコーンカーンコーン
やっと退屈な古典の授業が終わった。本来なら3人の誰かしらと会った方がいいのだろうがあいにく俺は疲れている。だったら今回は会わないでも・・・
ガラカラッ!
「失礼するわよ、この中にカナタっているかしら?」
扉が開き声が聞こえたためそちらを向くとそこには双葉の姿があった。俺に用があるらしいため俺は双葉に手を振る。
「こっちいるぞー」
それを聞いた双葉は真っ直ぐに俺のところへやってきた。
「会いにきてあげたわよ」
「頼んでねえよ、てかお前には何も伝えてないはずだが?」
「それに関しては和葉から聞いたのよ。協力したのは今回の事は和葉1人だと荷が重そうだったからよ」
「ていうか、アンタ今頼んで無いって言ってたけどどうせ今回はいいやとか思ってたんでしょ?」
「そんなこと!・・・ありました。来てくれてありがとうございます」
「分かればいいのよ、ていうかもうこんな時間なのね、私は次の時間音楽だからもう行くわね。それじゃ、忘れないで誰かには会ってよね」
「おう、分かったよ」
俺のその言葉を聞くと双葉はどこか忙しなく教室を後にした。
ヒルヤスミー
「4人で一緒にお弁当食べるなんて久しぶりですね!」
「そうだね♪小学生の時に一緒に行ったハイキング以来かな?」
「そうね、確かあの時は途中で和葉がバテちゃって目的地の手前でご飯食べたのよね」
「あははー、そうだっかなー?」
俺は今、3人と一緒にご飯を食べている。和葉いわくこれも必要な事らしい。ホントによく分からん作戦だ。
俺は思い切って気になっている事を3人に尋ねることにした。
「そういえばお前らって今野さんとはどういう知り合いなんだ?」
俺がそういうと一瞬だけ空気が止まったもののすぐさま双葉が答えた。
「どうって・・・表現は難しいのだけれどとにかく知ってるって感じよ」
「今野さん?誰ですかそれ?私はその人のこと知らないんですけど、カナタ君が困ってるって聞いたので助けてるって感じです!」
そうか、三葉は知らないのか。それは巻き込んでしまって申し訳ないな。俺はもう一つ兼ねてからの疑問をぶつける。
「ていうかこんな作戦で上手くいくのか?俺はそうは思えないんだが・・・」
そう言うと和葉が自信満々に答える。
「絶対うまく行くよ♪ね、双葉?」
「え、ええそうね。昨日和葉から作戦は聞いたけれど・・・絶対うまくいくわね」
「そんなもんなのかぁ?・・・」
スウジツゴー
「・・・・・・・」ズモモモモモモモ
なんか悪化してる!めっちゃすごい形相でこっち見てるよ!日頃からアイツらと話す様になって数日経ったがまさか悪化するとは思わなかった・・・このままではいけないが自分ではどうすることも出来ない。帰宅後俺は和葉に話をすることにした。
「やっぱりそうなったよね、ここまでは計算通りだからこのまま頑張ろう♪」
この和葉の返事はとても意外なものだった。というのも俺は今野と仲良くなるために和葉に助け舟を出したのに現状はその真逆だからだ。俺は思わず反論する。
「いい調子って・・・そんなわけないだろ!関係が悪化してるんだぞ!?」
すると和葉は宥めるように言った。
「知ってるよ、だからこそコレはいい傾向なんだ。まあ私を信じてよ♪」
不安しかないがあそこまで自信があるには裏があるに違いない。俺は和葉を信じることにした。
そして翌日、双葉と共に登校し下駄箱を開けると一枚の手紙が入っていた。俺は迷うことなくそれを開け中身を読む。
『スガワラへ
放課後、理科準備室にて待つ
ミキ』
双葉はこの手紙を盗み見ると言った。
「やっぱり来たわね。いいカナタ!絶対にすっぽかすんじゃないわよ!」
「わ、分かったよ・・・」
正直前回の記憶が残っていることもあって行きたくはないが行くしかないか・・・
すると双葉が俺の心情を察してか言葉をかける。
「ねえカナタ、アンタ正直言って行きたくないでしょ?」
「えっ?そんなこと・・・」
「言わなくても分かるわよ、和葉から大体のことは聞いてるから。誰だって嫌いだって言われた人と一緒にいたくないわよ。でもねカナタ今のアンタは1人じゃない!私が、私たちが一緒だから!だから頑張って!」
やっぱり悟られてたか・・・だけどそうか、今の俺にはコイツらがいる。なら頑張ってみるか!
「ありがとう双葉、俺少し頑張ってみるよ」
ホウカゴー
授業が終わり俺が理科準備室へ向かうとそこにはすでに今野の姿があった。今野はこちらに気づくとゆっくりと話し始める。
「やっと来たねスガワラ」
「そっちがここに来いって言ったんだろ」
「そんな事聞いてない。それより聞きたい事があるんだけど」
「なんだよ・・・」
「君さ、大室さん達と何の関係なの?」
いきなり何を聞くのかと思えばアイツらのことか、俺は答えに困ったため逆に聞き返すことにした。
「何って・・・どうしてそんなこと聞くんだよ?」
「どうしてってそんなの・・・」
しばらくの間が開き、そして今野は大きな声で叫んだ。
「そんなの・・・羨ましいからに決まってっしょーーー!?」
「・・・・・は?」
「はあああああ!!!!!!?」
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