第12話 夏祭り最終話 あの時の乙女達
♡
「また後でね!双葉っ!カナタ君!」
「・・・いったね、それじゃ私たちもぼちぼち買いに行きますか♪」
「そうだね!それじゃあ早速行こー!」
ジャンケンの結果、私は三葉と一緒に屋台を回る事になったけど、正直に言ってカナタ君と一緒が良かったかな・・・なんて。でも三葉には聞きたいことがあるしこれでもいいんだけどさ。
「それにしても屋台、色々出てるんだね♪」
「そうだね!あっ、あっちの屋台もなんかすごそうだよ!行ってみようよ!」
「あっ!ちょっと待ちなよ三葉ー!」
やっぱり三葉は変わらないな・・・そんな三葉がまさか・・・まさかね
「いやー、それにしても色々買ったね♪」
「うんうん!焼きそばでしょ、唐揚げでしょそれに・・・チョコバナナ!」
「アハハ、そうだね・・・」
全部茶色い!!・・・違う違う!聞くんだ!あのことを、カナタ君のことを!
「三葉、ちょっといいかな?」
「え?どうしたの和葉?」
「ちょっと聞きたい方があるんだけど」
「うん!なんでも聞いて?」
「三葉はさ、カナタ君のこと、どう思ってるの?」
その瞬間私たちの時間が止まった気がする。だけどそれが気のせいだったかの様に三葉はわたふたと喋り始めた。
「えっ!?きゅ、急になんのこと?話の意味が分からないよ」アタフタワタフタ
この反応、やっぱりそうなんだ。だけど察するんじゃなくて実際に本人の口から聞きたい!だから私は今三葉に自分の気持ちを伝えるんだ!
「私は好きだよ。カナタ君のこと」
「え?それは・・・」
「もちろん友人的な意味じゃなくて恋愛対象として」
「だからこれからは積極的にアピールをしてく、告白はまだする勇気はないけれどいつは絶対にカナタ君の彼女になる」
「そっか・・・でもなんでそれを私に?」
「最近の三葉、少し変わったなって思って、ねえ、はっきり言っちゃうけど、三葉カナタ君のこと好きでしょ?」
「わ、私は・・・」
「ねえ、はっきり答えて!」
「私は・・・分かんない!」ダッ
「あっ、待って三葉!」
♧
「まだ、ダメっぽいか?」
「はい・・・すいません・・・・・」
まさか和葉と逸れたからあんな事になるなんて、でもまさか私がカナタ君の前で泣いちゃうなんて・・・でもまさかカナタ君がこんなに私のこと考えてくれるなんで思わなかったな。
(はっきり言っちゃうけど、三葉カナタ君のこと好きでしょ?)
今での言葉は頭の中でグルグルと巡ってる。でもその理由はよく分からない。そんなんで人のこと好きなんて言う資格なんかないよ。だから私は和葉の邪魔なんて・・・
「三葉、そろそろ大丈夫そうか?」
「・・・ッ!?」
あっそうか、きっと私はあなたのその嘘みたいに優しい表情が私を丸ごと包み込んでくれそうな優しさが好きなんだ・・・
「よしっ、とりあえず落ち着いたなら早いとこ2人のとこ行くか」
あっ、このままだと2人のとこに行っちゃう。でも私なんかが勝手に・・・
(だからこれからは積極的にアピールしてく)
そうだ、和葉だってカナタ君のために行動を起こすんだ。だったら私は・・・
「カナタ君!待ってください!」
私は今からアクションを起こす。これからは正々堂々と勝負だ!
♢
「ありがとう双葉、それじゃ行ってくる!」
全く、アイツったら私の言うことなんか聞きやしないんだから!どうせこのまま・・・
「カナタ君!絶対・・・絶対戻ってきて!」
和葉!?和葉、普段はそんなこと・・・そうか、きっと和葉はカナタのことを・・・
「いやー、カナタ君行っちゃったね♪」
「そ、そうね」
「私たち、待ってる間どうしよっか?」
「そんなことより和葉、ちょっといいかしら?」
「どうしたの双葉?」
「アンタは・・・カナタのことをどう思ってるのよ?」
「私?私はカナタ君のことが好きだよ。もちろん恋愛対象として」
「もちろんそうよね・・・その事は三葉には言ったのかしら?」
「もちろん言ったよ。そして三葉はどうなのか聞いたら走って逃げられちゃってさ♪」
「だから逸れたってわけね」
「そゆこと、でさ・・・双葉はカナタ君のことをどう思ってるの?」
「わ、私は・・・」
「私がカナタ君と付き合ったとしたらどう思う?それを考えると答えはわかるはずだよ」
「そんなの・・・!!」
「悔しいに決まってるじゃない!!ええそうよ!私だってカナタが好き!アンタなんかにカナタの隣は譲ってあげないんだから!」
すると和葉は目を丸くした後、優しいようなそんなことないような複雑な目をして言った
「そっか・・・そしたら私たちライバルだ」
そんなこと言われたらもう後には引けないじゃない!でもいいわ、和葉がその気なら!
「その通りね、お互いが仲間でライバル、恨みっこなしの勝負よ!」
「うん、望む所だよ」
「・・・にっしてもカナタ達おっそい!一体どこでなにしてるのよ!花火終わっちゃうわよ!」
「そうだね・・・あっそうだ!2人が遅れて来てもいいように手持ちの花火とか買っておこうよ♪」
「あっそれ名案!それなら早速買いに行きましょうよ!」
「そうだね、早いうちに行こうか♪」
正々堂々と正面からライバルって言われるのは意外だったけど、誰が相手でも関係ない、私は私らしく最後まで突き抜けてみせるんだから!
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