第6話 変に弱気なとこ

「やっと着きましたね!」


「そう・・・だな」


 あれから俺たちは自転車をかっ飛ばして近くのショッピングモールにやってきた。俺は運動神経は普通程度にあるはずなのだが・・・


「お前、ホントに体力あるな」


「まーそれだけが取り柄ですからっアハハ」


 やっぱりそういうことなんだろうな・・・


「まあ、なんだっていいさ。それで?どこ行きたいんだ?」


「私!まずはご飯食べたいです!」グー


「そうみたいだな、特に指定ないならフードコートに行くがそれでいいか?」


「はいっ!喜んで!」



「お前、いくら腹減ってるからって・・・」


「むぇ、なんふぇすか?」


「食いすぎだろッ!?」


 俺たちはそれぞれ自分勝手に注文したため直前まで気づかなかったが、三葉の頼んだものは、大盛りのパスタにフライドポテトとサラダ、さらにドリンクとアイス付きという脳筋なものだった。


「お前、よくそんなに食えるな」


「えへへ、かなりお腹空いちゃってたので」


「食いすぎると太るぞ」


「ムッ、大丈夫ですよ、普段みんなの中で一番運動してますもん」


「でも今日はそうでもないだろ?」


「うっ、それは・・・その通りです」ショボン


 おっと、これは余計な事を言ってしまった。とりあえず目の前の話題に戻すか・・・


「悪かったよ、余計なこと言った。さ、早いとこ食おうぜ」


「はい・・・」パクパクパクパク


 はっ、速い!?


「ごちそうさまでした!!」


「おう、そしたら次はどこ行くよ?」


「そうですね・・・そしたら私、ゲームセンター行きたいです!」


 ゲーセンか、この前和葉と行ったきりだな、それなら行くか・・・


「そうか、それなら行くぞ」


「行きましょう!」



「で、着いたわけなんだがどれがしたいとかあるのか?」


「そうですね・・・そしたらアレやってみましょう!」


 そう言って三葉が指さしたのは中に入って立体音響やらでビビらせてくるホラーゲームだった。


「あれか?別にいいがあれホラーゲームだぞ?」

 瞬間、三葉の動きが固まった気がしたが、すぐに喋り始める。


「へ、へーそうなんですね、でも大丈夫ですよ!私!こう見えてもホラー得意なんですから!」


 絶対嘘だ。でも実際ビビった三葉を見たことがないから気になるな。せっかくだしやってみるか、もしかしたら一周回って静かだったりして・・・



 クガァーーーーー!!!!


「キャーーーーー!!!!!!!!」


 そんなことなかった、むしろすげぇうるせえ、どうすればこの声量が出るんだ。もはや尊敬の念すらあr・・・


 ガォーーーーー!!!!


「イヤーーーーーーー!!!!!!!!」


 あっ、もう駄目だ。うるさすぎて頭ん中なんも考えらんねえ。


 でもこれで分かったことがある。怖いものを見ても隣に怖がっている人がいると案外平気ということd・・・


 ギュバァーーーーーーー!!!!!!


「ヤメテーーーーーーー!!!!!!!」


 ゲィムオーヴァー


「やっと、終わったか・・・おい三葉大丈夫か?」


「ふぁーーーーー・・・」


 死んでるッ!?いやっ、単純に怖すぎて魂抜けてるだけか。


「おい三葉!しっかりしろー」


「はっ!カ、カナタ君!?ここは!?あっ!いつの間にゲームが終わって!」


「お前どんだけ怖かったんだよ・・・ほら、さっさと出るぞ。それとももう一回やるか?」


「それは・・・やめておきます」



 結局俺たちは疲れて近くのベンチに腰掛けていた。


「結構楽しかったな」


「結構ですか?私はカナタ君と遊べてとっても楽しかったです!」


「それは一緒に遊んだ身として嬉しい限りだよ」


 恐らくだがこのままでは帰るだけで終わりそうだな。それなら・・・


「ところで三葉?」


「どうかしましたカナタ君?」


「お前、俺になんか言いたいことあるだろ」


「えっ?なんでですか急に?」


「ほらっ、お前ってさ俺に何か言いたいことがある時はいつもこうやって俺のこと連れ出してただろ?だから今回も何かあるのかなって」


「あはは・・・気づかれちゃいましたか」


「流石にな。で、俺になんの用なんだよ?」


「私、カナタ君に勉強教わるのやめようと思うんです」


「はっ?なんでまた急に」


「ほらっ私なんかに構ってたらカナタ君の成績が下がっちゃうじゃないですか。だったら私の補習ぐらい安いと言いますか・・・」


「そうか・・・」


 恐らく今日和葉が来なかったのは三葉にそう言われたからだろう。そしてあいつは俺を信頼して投げてきた。だったら俺のするべきことは・・・


「おい三葉」


「なんですか?カナタk・・・」


 ペチコン


「痛っ!うぅ・・・何するんですか急に!」


「お前、国語は得意じゃなかったのか?だったら俺らの心情くらい読めよ」


「え?」


「俺たちは渋々お前に教えてるわけじゃなくお前に感謝してるから教えてるんだよ」


「それは別に何かに限った話じゃない。日頃お前が俺たちに明るく振る舞ってくれたりとか、そういう小さな物の積み重ねなんだよ」


「だから・・・」


「だから・・・?」


「帰ったら勉強の続き、しようぜ」


「う、うん!お世話になります!先生!」


 テストアトー


「お前らテストはどんな感じだったんだ?」


 今日はテストの返却日、これで俺たちの夏休みが決まる・・・ッ


「私はざっくり平均で73点くらいだったかなー?苦手科目が簡単なところから出てたから思ったより高かったんだよね♪」


「私は平均だと・・・65点くらいかしら。三葉とは逆に得意科目が思ったより難しくて伸び悩んでしまったわ・・・」


 やはりこの2人は余裕でセーフか・・・しかし問題は三葉だ!三葉は大丈夫だったろうか

「三葉はどうだったんだ?」


「カナタ君・・・私、赤点回避できました!それに半分の教科で平均点超えれました!」

「おお!良かったじゃないか!!」


「ありがとうございます!!だからお礼になんですけど・・・カナタ君!目を瞑ってください!」


「お、おう」


 チュッ


「もういいですよ」


「えっ!?おまっ!今っ頬に・・・」


「えへへ、それじゃ私は皆んなにアイス買ってきますね!」


 やっぱりコイツはテンションがおかしいような気がする・・・


 三葉が部屋を出た後、俺は双葉の説教と和葉の説法、もとい説教を喰らうことになった。こんな解せないこともそうないだろう。



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