第5話 三葉赤点回避講座
「そろそろ期末が近づいてるから各自勉強に励むように、はーいそれじゃ挨拶」
ガヤガヤガヤガヤ
もうそんな時期か、別に何かやばい科目があるというわけでは無いが何かこう気が引き締まるな。そういえば・・・
「お前らってどれぐらい勉強できるんだ?」
その瞬間、時間が凍りついたかのように止まった。もしかしてマズイこと言ったか?
「ど、どうしたのよ急に」
「あー、そろそろ期末があるだろ?だから気になってさ」
「ふーん、でもまあお生憎様、私は赤点取るほど馬鹿じゃないわよ」
「でもまあ一番成績が良いのは私なんだけどね♪」
「和葉うるさい」
なるほど、それなら別にコイツらの心配をする必要はないか。となると問題は・・・
「おい三葉、お前はどうなんだ?」
「えっ!?わっ私は、えーっとあのー問題は無いと言うと嘘になるというかなんというか黄信号といいますか・・・」
「つまりヤバいってことだろ」
「・・・はい、ヤバいです」
まあ、コイツがヤバいのは想定内だ。むしろコイツだけで良かったと言うべきか。
「こんなこと調べてどうしたいんですか!?私、若干気にしてるんですよ!?」
地雷だったか、これは申し訳ない事をしたな。だったら・・・
「悪かったよ、別に馬鹿を晒しあげたかった訳じゃない。ただ、ヤバかったら教えてやろうと思っただけだ」
すると、三つ葉の目がキラキラと光り始めた。
「本当ですか!?ありがとうございますカナタ君っ!」ギュッ
「み、三葉!?手っ!つな・・・」
「あっ!ごっごめんなさいカナタ君、つい嬉しくなっちゃって・・・」
やっぱりこいつ、色々とテンションがおかしい。そして和葉の表情が一瞬凍りついていたような、何かあったのだろうか。
ま、まあとにかく三葉も乗り気でよかった。これで断られたらただ地雷を踏んだ人になるところだった。
俺は一応2人に教えるのを手伝うよう頼むことにした。
「でさ、お前ら2人にも教えるのを手伝って欲しいんだけど頼めるか?」
「私はパス、三葉に教えるよりも自分の勉強に時間をついや・・・」
「私は全然いいよ♪」
この言葉が意外だったのか双葉が目を丸くして話しかける。
「か、和葉っ!?どういうことよっ!?今までそんなことなかったじゃ無い!?」
「いやー、なんていうか心変わり的な?それに高校最初の夏休みが補習ばかりなんて可哀想じゃん♪」
「か、和葉ぁ・・・和葉ぁ!!」ガバッ
「ちょっ!三葉泣かないでよ、ほら鼻出てるからこれで拭きな」
「うぅ、和葉ぁ・・・」ズビズヒ
ともかく良かった、これで俺の負担も減るし勉強に時間もかけれる。和葉に感謝しなければ。
「ありがとう和葉、一緒に頑張ろうな」
「ッ!?も、もちろん♪」
ドヨウビー
「よしっ!三葉、準備はできてるか?」
「もちろんです!先生っよろしくお願いします!」
「よろしい、和葉もよろしくな」
「はいよー」
「ですが先生、最初は一体何をするんでしょうか?」
たしかに最初に何をするかは非常に大事だ。だがすでにそれは準備済みだ。
「まず初めに三葉にはこの問題を解いてもらう。これは俺がテストに出そうなところをまとめて作ったものだ。だからまずはこれでお前の自力を図る」
「はいっ!分かりました先生!」
「時間は60分、それでは用意、はじめ!!」
ロクジュップンゴー
「まさか、あり得ない・・・」
「どうでしたか先生!」
「壊滅だ・・・」
「えへへ、国語は自信あるんですけど今回無かったから・・・」
三葉の点数は100点満点の35点、7割取れたら赤点も免れるだろうというくらい基礎的な中身だったんだが・・・
「うわー、これはひどいね、目を瞑った私より酷いんじゃ無いかな?」
「えー!そんなに酷いの!?和葉っ!私どうしたらいいの?」
「えーっと、そうだなぁ・・・先生!どうすればいいんでしょうか!」
結局俺に丸投げかよ。仕方ない・・・
「点数が低かったものは仕方がない、切り替えて間違えたところを重点的に練習して大きな失点や凡ミスを減らすようにしよう」
「ッ!はいっ!分かりました先生!私っ頑張ります!」
それから俺たちは基礎固めを中心に行った。ちなみに和葉は途中でスヤスヤと寝てしまった。全くあいつは何がしたいんだ・・・
ニチヨウビー
「よーし、今日をビシバシいくから覚悟しろよー!って和葉は?」
「えっと、和葉なら友達と駅の近くにできたカフェに行くって言ってました!」
なんと、2日目からもういないのか・・・まあ想定内ではあるんだがなんか嫌だな
「そうか・・・まあ、先生は1人しかいないが多分問題ない。今日も頑張っていくぞ!」
「おーっ!!!!」
そして俺たちはしばらく勉強をしていたが三葉が声を上げる。
「疲れたー!ちょっとどこかに遊びに行きましょうよー!」
「だめだ、テスト近いんだから集中してやらないと・・・」
「えー!お願いしますよ先生!じゃないと集中しきれませんよー!」
それはその通りなのかもしれないがこのまま遊びに行くと三葉の思う壺のような気もしてしまうが、ああでもこういう時のこいつは確か・・・
「分かったよ、それじゃ午後は息抜きに遊びに行くか!」
「ホントですか!?やったー!それじゃカナタ君!早く行きましょう!!」
「お、おいちょっと待てよー!」
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