第18話 タイムスリップ
もはや魔王を止めることは勇者ですら不可能なのかもしれない…。
魔王のステータスを見て、その疑念は確信に変わった。
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ユグノア・アリアドア(第16代目魔王)
レベル測定不能
HP測定不能
MP測定不能
物理攻撃力測定不能
魔法攻撃力測定不能
攻撃魔力測定不能
回復魔力測定不能
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測定不能、という数値を見るのは初めてだった。
あまりにも、異次元すぎる。
「何があったのよ!魔王っ!!」
相変わらずこちらにゆっくりと歩み寄ってくる。
勇者の叫びもむなしく、宙に消える。
うつむいているため、その表情はうかがい知ることはできない。
その表情の先に何を考えているのか、俺は知ることができない。
誰かに洗脳されているのか、はたまた自分の意志なのか、俺にはわからない。
ただ、後者であるならば…と考えてしまう自分がいる。
とりあえず魔王には敵わない、その事実は確かだ。
魔王がもうすでに真横に迫った時、俺は信じ難い言葉を耳にする。
「お主、なかなかに好みだぞ?よし、おぬしを我が配下の一員として加えてやろう!」
そういうと魔王は俺の肩をポンポンとたたいてきた。
勇者が慌てて駆け寄ってくるが、魔王はそれを気にも留めずに俺の手を引き部屋を出ていく。
「ちょっと魔王!…ちょっと!」
「あ、なんだいたのか。して何の用だ?今私は忙しい」
ずるずると俺を引きずりながら、魔王は止まらずに勇者の顔を見ずに答える。
地味に悲しいやつそれ…。
「いやだから、それ君の愛しのマイハニー君だってばっ!」
魔王はそれを聞いた瞬間、ピクリと一瞬動きを止める。
「貴様…今何と言った?」
その途端、魔王は鬼の形相すら生易しいような悪鬼の形相で勇者をにらみつける。
「それ以上踏み込めば…その首をもって償わせるが…?」
絶対零度の空気すら凍り付かせるような冷たい雰囲気が部屋中に漂っている…。
…いや…違う…これはホントに凍っている…!!
俺は即座に周りを見渡すと、その氷の主と目が合った。
そいつは、俺たちをまるでずっと見ていたかのように…まるでずっとそこにいたかのように溶け込んでいた。
毎度毎度思うが、なぜ俺はこうも敵を見つけるのがうまいのだろう。
何か特殊スキルでも持っているのだろうか。
俺はその敵から目を離さずに、ずっと監視しているとそいつはゆっくりとまるで氷柱のように地面にぴさりと落ちてきた。
瞬間、氷の糸のようなものが一瞬で俺に間合いを詰めてくる!
俺の足にその氷の糸が絡めつくと、その中からあの人型の化け物が姿を現し腕だけを氷柱に変えて俺の目に向かって刺突攻撃を仕掛けてくる。
魔王に頭をつかまれていて、うまく身動きが取れない俺はその突き刺し攻撃を食らうのを覚悟し目を閉じた!
その刹那、バリイイイリリリィイィッィィイイィイイッィインンンン!!!という豪快に氷の砕けるような音がして、俺は目を開ける。
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