第14話 結果オーライ

「ま、結果オーライかな」

「何がだ?」

俺達は、取り敢えずあのタキシード悪魔を倒した後、城の中を散策しつつ玉座の間を目指していた。

さらに悪魔の残骸から魔力を得てさらに強くなっていた。

「自分のステータス見てみなよ」

俺は自分のステータスを見てみると、以前と変わっているものがあった。


九先日隼人(半人間半悪魔)


レベル1026(冥級一層)


HP56678

MP1

物理攻撃力6780

魔法攻撃力7809

攻撃魔力5368

回復魔力99999


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「取り敢えず1000の壁は越えれたから、そこからは伸びていくと思うよ」

歩きながらたいまつを持たされるのは、やはり俺のレベルの方が低いからだろうかと思ってしまう。

「で?玉座の間どっち?」

「あ、こっちこっち」

勇者からすると、ここに来るのは数百年ぶりらしいので、俺が案内役兼松明係を仰せつかったわけだ。



「そういや君さ、魔王とはもうやったの?」

あまりに普通に言うので、俺は一周回って普通に返した。

「いや、まだ…だと思われる」

「へー」

そういう勇者の視線は、何故かジト目になっていた。



「お、ここかな?」

かろうじて原形をとどめていた玉座の間はあの時とはやはり外観は様変わりこそしていたが、中はあまり変わっていなかった。

「中はあまり変わってないな…」

俺とは違い、彼女はあまり驚いてはいなかった。



「そりゃ、玉座の間だからねぇ。ほかの部屋より頑丈に作られてる上に、魔力バリアも張られてる」

今まで呆然と聞き流していたが、なぜ彼女はこんなにも魔王城に妙なところで詳しいのだろう。



そもそもなぜ彼女は、あんな迷宮の奥深くなんかにいたのだろう。

俺とのレベル上げをしたいという理由…ただそれだけとも思えなかった。



「なぁ」

俺は聞いてみようとした瞬間、彼女は俺を手で制した。

「ちょい待ち、何かいる」

彼女が指さした先を俺も見ると、そこに何か暗闇の中でうごめているものが見えた。

天井に何か黒いぶよぶよした者たちがうごめいている。



「あれ、何」

「いや知らんけど」

俺らがくだらない雑談しているうちに一匹、また一匹とぽとりぽとりと落ちてくる。

黒い塊が落下するたびにぐちゃりぐちゃりと黒い泉は大きくなる

そして泉がどんどんと地面を飲み込んでいき、小さな湖ほどになったところで肥大化は止まり、今度は何かぶくぶくと音を立てて沸騰し始めた。



グ…ググググググググウググッグゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウ!!!という何かの大きなおならのような音を立ててそいつは現れた。

「ま……じか…」

「……きっしょ…」

真っ黒な路海から現れたそいつは、全裸で両手に金と銀の斧を持っていた。


「アナタガオトシタノハ、コッチノギンノオノデスカ?ソレトモコッチノキンノオノデスカ?」

そのあまりにカオスな現状に、俺は慣れつつあった

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