爛れの青
@connn
爛れの青
『何がいいかな』
ずっと憧れていた、不思議な魅力を持っている人。
月の光に照らされて、透けてしまうような。手を伸ばせば消えてしまうような。
突出した才能が開花した人。
誰にでも好かれる人。
譲れないものを持っている人。
裕福で容姿端麗で人生が始まった時から階級が違う人。
だってほら、羨ましいから
私はいつも揺れてばかり
環境に、流行に、友達に
なにか人より優れてるものが欲しくて
ただずっと欲にまみれて
結局はこれ以上ないほど凡庸な元あった鞘に落ち着く
学校の先生が好き
まだそこまで有名じゃない人の、禁断の恋を歌った曲を聴いてみる
受験が嫌だ
昔からある、元気をくれるで有名な洋楽を聴く
友達に裏切られた
裏切られた時に聴く歌、で検索して出てきた曲を片っ端から聴く
親と大きな喧嘩をした
悲劇の主人公になって、何も聴かずに部屋の隅で泣く
彼氏と別れた
昔まとめてた、失恋した時に聴きたい曲を聴き漁る
音楽が好き。そんな人この世にどれだけいるんだろう。外は耳に小さな音楽再生機をつけてる人ばかり。私もそう。
何も突出してない平凡な私
妄想では
あの人と付き合ってみたり
あの人と映画で共演してみたり
全校集会で誰も知らなかった歌の才能を披露してみたり
何も無い
歯がゆくて悶える
欲しくて震える
何も無くて虚無になる
今日も夜が来て
またそういう時間が来る
明日朝が来ればまた、こんな気持ちは忘れてる
友達と話せば、これを書いてることなんて頭にもない
だから私は多分、一つ能力をもらえるなら
『人を手繰り寄せる能力…かな』
爛れの青 @connn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます