第2話 ロープーウェイとトランペット

「めっちゃ、むかつくー」


転校生の女神の少女は、ロープーウェイに変身させられた、ぼくの中で叫んだ。

1日で陸上部を辞め、「吹奏楽部に転部したい」と顧問に言ったら、愚痴愚痴と愚痴られたらしい。


「憂さ晴らしに、山頂に行ってすっきりしたい」


と思った少女は、歩いて登るのが面倒だからって、通りすがりのぼくを捕まえ、ロープーウェイに変身させた。


「ロープーウェイなんて無い登山道に、突然ロープーウエイが出来たら、目立つよ」

「誰かに見つかっても、確かめようとした時には、もうロープーウェイは無いから大丈夫」


山頂に着いて、ぼくは今度はトランペットに変身させられた。


「人間に戻れる」と思ったのに。


トランペットになったぼくに、彼女は口を着け息を吐いた。


これって初キス?


驚くぼくの身体に、女神である少女の息が吹き込まれた。


女神の息がぼくの口から身体を抜けお尻の方へ、もしくはお尻から身体を抜け、口に、トランペットになってしまったぼくには、もう、どちらがどちらなのか解らなくなった。


口にしても、お尻にしても、金ぴかのトランペットに違いないんだけど。


20分ほど吹いていると、登ってきた登山客のグループが、

「ほらー、ロープーウェイなんて無いじゃん!

どっかの山と勘違いしてるんじゃない」

と言いながら山頂にやってきた。


そして、山頂でトランペットを吹く少女に足を止めた。


そんな状態にぼくは慌て、焦った。

「何、この辱め・・・いや・・・良いんだ。

喜んで貰えれば・・・あ・・でも、そこは押しちゃダメだって!」


そんなぼくの叫びは、トランペットの美しい音色となって、観客を酔わせ、

ぼくらは、山頂で拍手喝さいを浴びた。




おしまい

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