第2話 ロープーウェイとトランペット
「めっちゃ、むかつくー」
転校生の女神の少女は、ロープーウェイに変身させられた、ぼくの中で叫んだ。
1日で陸上部を辞め、「吹奏楽部に転部したい」と顧問に言ったら、愚痴愚痴と愚痴られたらしい。
「憂さ晴らしに、山頂に行ってすっきりしたい」
と思った少女は、歩いて登るのが面倒だからって、通りすがりのぼくを捕まえ、ロープーウェイに変身させた。
「ロープーウェイなんて無い登山道に、突然ロープーウエイが出来たら、目立つよ」
「誰かに見つかっても、確かめようとした時には、もうロープーウェイは無いから大丈夫」
山頂に着いて、ぼくは今度はトランペットに変身させられた。
「人間に戻れる」と思ったのに。
トランペットになったぼくに、彼女は口を着け息を吐いた。
これって初キス?
驚くぼくの身体に、女神である少女の息が吹き込まれた。
女神の息がぼくの口から身体を抜けお尻の方へ、もしくはお尻から身体を抜け、口に、トランペットになってしまったぼくには、もう、どちらがどちらなのか解らなくなった。
口にしても、お尻にしても、金ぴかのトランペットに違いないんだけど。
20分ほど吹いていると、登ってきた登山客のグループが、
「ほらー、ロープーウェイなんて無いじゃん!
どっかの山と勘違いしてるんじゃない」
と言いながら山頂にやってきた。
そして、山頂でトランペットを吹く少女に足を止めた。
そんな状態にぼくは慌て、焦った。
「何、この辱め・・・いや・・・良いんだ。
喜んで貰えれば・・・あ・・でも、そこは押しちゃダメだって!」
そんなぼくの叫びは、トランペットの美しい音色となって、観客を酔わせ、
ぼくらは、山頂で拍手喝さいを浴びた。
おしまい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます