第33話 本当に朴念仁じゃな。
「お前は一体なんなのじゃ!」
「ターニャさん、一体どうしたんだ急に」
何か怒らせる様な事したのか?
三人も驚いた様な顔で見ている。
「どうも、こうも無いわ…このメンバーで金を稼いでいるのは誰じゃ」
「まぁ、僕ですね」
「そうじゃろう? しかもS級ランクで竜種すら狩れる実力者じゃ、しかも【貴公子】と呼ばれて人気者じゃな、まぁ女性関係から別の呼び名もあるのは…この際関係ない」
「それがどうかしたのですか」
「ハァ~それで家事をしているのは誰じゃ?」
「僕が多いですね、だけどアヤノさんも偶に作ってくれていますね」
「わらわが見ている限り、ほぼ聖夜じゃ」
「そうかもそれませんね」
「それでじゃ、聖夜お前は一体他には何をしているのじゃ…」
「皆の買い物に付き合ったり、オークマンと飲みに行ったりしていますかね」
「それもそうじゃが、良く美容と称しては香油でマッサージしてくれたり、この間は珍しい薬草を使ったパックまで全員にしておったな。 ちょっと買い物にいって帰ってきたら、薬湯入りの足湯でマッサージ…なんじゃこれは」
「え~と皆さん凄く可愛いくて綺麗なのでお世話のしがいがあるかと…」
「可笑しいじゃろ?」
「なにがですか?」
「ハァ、無自覚じゃな..皆は一体何をしているのじゃ」
「イクミはお兄ちゃんの話し相手と偶に膝枕している…」
「お兄ちゃんに膝枕してあげて耳かきと、お話合い相手、あと買い物に…一緒に行くよ」
「私は、そう三人に勉強を教えてあげていますわね、あと膝枕ですわ」
「私は少しは家事を手伝って…そうですね、偶に膝枕していますよ..そう言えば添い寝もありましたよ」
「可笑しいと思わんのか?」
「「「「何が?」」」」
「あのな…聖夜、お前は奴隷を買って何がしたいのじゃ」
「毎日楽しく暮らしたいですね」
「楽しく…それは解かったが…これではお前が奴隷みたいじゃないか…」
「そうですか? 僕はこれで楽しいですよ」
醜女4人に見た目だけが良い中身老婆のただお世話する生活が楽しい。
完全にお人好じゃな。
「それが本心なのは解るのじゃが…エルフと言う者は、心を読み取るのに優れているからのう」
「そうですか」
「エルフと言うのは自分の中で貸し借りを考える種族でもあるのじゃ」
「貸し借りですか?」
「そうじゃ『何をして貰ったから、相手の願いを聞いてやろう』そういう人間関係を構築していくのじゃ…まぁあくまで考えのひとつじゃが…だが、聖夜、お前とわらわの関係はわらわの方が一方的に借り、借り、借り、借りとまるで借金が雪だるま式に増えておる」
「借りだなんて思わないで良いですよ。僕が好きでしている事ですから」
それが本心だから困るのじゃ。
「はぁ~まあ言っても無駄じゃな。わらわで良ければ何時でも使ってくれて良い。正直借りが多すぎて気持ち悪いのじゃ。気持ちとか言うのは無しじゃ、わらわは聖夜を気に入っただから聖夜を『嫁』として見る事にしたのじゃ。それだけじゃ」
「うふふふっ、お年寄りのエルフが何をいっているのかしら? そういう相手なら私の方が慣れていますよ」
「私だって元貴族ですわ、上品に官能の世界に連れていって差し上げますわ」
「お兄ちゃん、最初は私が良いよね」
「最初に奴隷になったのはイクミ、初めては私…」
「ちょっと待つのじゃ…お前達誰もそういう関係になってないのか」
「「「「うっ…」」」」
「聖夜、これはどう言う事なんじゃ、まさかお主不能とかじゃないのか?」
「そういう事は無いですが...そういう行為は好きになって貰ってからで充分だと思いますよ」
重傷じゃ。
わらわは兎も角、この四人は確実に惚れているじゃろうが。
しかも、どっちが主か最早解らぬわ。
なんなんじゃこの聖夜って男は。
最早、こんなのは奴隷じぁ無い。
まるで尽くす為に奴隷を買っているとしか思えん。
「全く、本当に朴念仁じゃな。まぁ、よいわ…兎も角。わらわは聖夜を気に入った。だから、嫌々ではなく、もし求めてくるなら伽の相手もしても良い。更に言うなら『嫁』として見ても構わぬ」
「嫁? 僕は男ですが…」
「わらわの部族の婚姻は、年齢の下の者を嫁と呼ぶのじゃ。まぁ最後の男にしても良い…その位の好意はある」
「有難うございます」
最早借りが多すぎてどうして良いか解らぬ。
エルフの長(女王)をしていた時以上の待遇じゃ。
もし、若い時であっても、中身を知っていたら心が動いたじゃろうな。
はぁ~これ程の人間が何故こうも恋愛に積極的で無いのか、解らんな。
「それは逆じゃ、わらわを買ってくれてありがとう」
本当に朴念仁じゃな。
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