第34話 幸せなハッピーエンド

「良かったな、あいつ等とうとうこの街を出ていったぜ」


オークマンが指を立てて笑顔で笑っていた。


誰が出て行ったと言うんだ。


「あいつ等ってまさか?」


「そう、剣聖に聖女に賢者だ」


「本当に?」


「ああっ本当だとも」


今迄あれ程しつこかったのに、なんで出て行ったんだろう?


「理由が良く解らないな」


「なぁに、簡単な事だよ! 聖夜がハイエルフを迎え入れたからだ」


オークマンの話ではターニャを僕が迎え入れた事により彼女達は『諦めた』という事だ。


どう言う事なのだろうか?


「どうしてターニャを迎え入れるとランゼ達が諦める事になるんだ」


「流石は聖夜、女心が解ってねーな。エルフって言うのは悠久の時を美しいままで生きるんだぜ。その傍に居ようなんて女性はまずいねー。だって自分が老婆になって醜くなっていくなか、相手は10代の美しいままで傍にいるんだ。いたたまれないぜ、特に自分自身が美しいと思っている女にはよ。まして『自分が生涯傍に居たい』そういう相手の傍に若いまま居続ける存在が居たら…多分地獄だ」


そう言う事か。


確かに、まだ幼馴染どうしで居た時に僕が歳をとっていくのに、ガイアだけが歳をとらなければ..かなり辛いな。


「確かにそうだな」


「それでよ、俺が友人だからって伝えて欲しいと伝言をギルドを通してもらったんだ」


「どう言う伝言?」


「それじゃ言うぜ『幼馴染よりエルフをとるなんて馬鹿ぁぁぁぁぁぁ』だそうだ」


「それ」


いや、俺を捨てたのは4人だし…いったん捨てた人間が何でもう一度自分の元に戻ると思っているんだろうか?


「聖夜が言いたい事は解かる。だがもう出て行っているから言うだけ無駄だ。それにこれで縁が切れたんだから、それで良いんじゃないか?」


「確かに…そうだな」


「そうだろう」


兎に角、これで危機は去った。


ようやく、ゆっくりとした生活が送れる。


◆◆◆


今日、俺は皆を連れて冒険者ギルドに来ている。


勇者問題もようやく片付いたし、念願の家を購入しようと思ってきた。


「今日はなんで冒険者ギルドなんですか?」


「お兄ちゃんとお出かけなのに冒険者ギルド?なんでかな?」


「聖夜様、いったい何の御用でギルドに行かれるのですか?」


「全員で出かけようって珍しいですね」


「で、本当の所はどうなのじゃ?」


「今日は家を買おうと思って皆に来て貰ったんだ」


「「「「「家」」」」」


流石に驚いているな。


サプライズにして良かった。


「そう、皆で暮らす家。皆それぞれの部屋があって、一生仲良く暮らす為の家」


「一生…暮らすって事はこれはプロポーズ…そうよね」


「お兄ちゃん、それは間違いなくプロポーズだよね」


「まさか、奴隷に落とされた後にこんな素晴らしい事になるなんて思っていませんでしたわ」


「私、かなり年上ですが…宜しくお願い致します」


「ハァ~ 此処までとは全く恐れいる。ここ迄されたら、もう負け、負けなのじゃ、宜しく頼むのじゃ」


此の世界に不動産屋は無い。


不動産の斡旋も冒険者ギルドで行う。


◆◆◆


「家ですか?」


「はい」


「実は聖夜様から家の相談が来たら、此方を紹介するように領主様から言われていました」


「そう、なのですか?」


凄いなこれは部屋が12部屋あって大きなリビングに倉庫、庭まである。


「確かに凄いがこんな屋敷だと流石に手が出ないな」


「いえ、このお話は領主様が聖夜様の為に自分の手持ちの屋敷を差し上げるという話なのです」


「あの…何でそんな事に流石に信じられません」


「貴重なワイバーンを沢山狩って頂き、最近は竜種まで、この街の反映に手を貸してくれたお礼だそうです」


「そうですか…確かに凄いけど…皆どうかな?」


「すごいですね…大きなお風呂があるんだね」


「お兄ちゃん、凄く大きなお庭があるんだね」


「凄いですわね、これ完全に貴族の御屋敷ですわ」


「こんな大きな家に住めるなんて…信じられません」


「すごいのじゃ…これは凄い」


「それじゃこれで決まりだ。これお願い致します」


こうして、目標だった家は簡単に手に入った。


◆◆◆


「がはははっ、とうとう家を買ったのか…それでもう一線は越えたのか?」


「まぁな」


家を買い、引っ越した後、その場の勢いで、とうとう一線を越えた。


イクミやマトイやシシリアも凄いが…アヤノさんは、獣のようだった。


話を聞くと過去の経験からか…本当に凄いとしか言えない。


それに巻き込まれターニャも加わり。


今では家に帰れば…派手な下着姿の嫁が5人も待っている。



人生は愛する人と親友…そしてお酒があれば僕は満足だ。




FIN


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