第30話 勇者SIDE:確かに綺麗だし、凄い美人だ。
今日はランチをオークマンと過ごしている。
オークマンは面倒見が良い、何時も困ると相談に乗ってくれる。
多分、こう言うの関係が本当の友達なのかも知れない。
貸して返してのキャッチボールだ。
今迄みたいに投げたら帰って来ない関係とは違う。
「流石に今日は俺のおごりだ」
「いや別に割り勘で良いよ」
「いや、今日は俺が聖夜に教わってオーガ狩を狩ったんだ、これ位はさせて欲しい」
「それじゃご馳走になるよ」
「好きなだけ食ってくれよ」
今日の予定では、この後はお互い別れて家族サービスだ。
オークマンは『部屋にこもる』そうだ。
まぁ、しかたないな。
別に羨ましくなんて…ない。
「そうか、それじゃ思いっきり食うからな」
「ああ、幾らでも食え」
◆◆◆
僕が三枚のミノタウルスのステーキを平らげたあと、オークマンから聞かれた。
「そう言えば、勇者はどんな奴隷を買ったんだ」
「ハイエルフのなかなかの美人だ、まぁうちの家族程じゃ無いけど」
「あん、やっちまったな!」
何かオークマンの顔が曇った。
何か問題があるのか…
「何か問題があるのかな」
「そりゃ問題だらけだぞ、エルフに愛されるのはな『トカゲがドラゴンになるより難しい』と言われているんだぜ。一生を相手に捧げて、死ぬ間際に愛して貰えたら良い方だな」
「そこ迄大変なのか?」
「エルフにとって余程の人間でない限り、俺達から見た猿と一緒だ。猿を俺達がペット以外で愛するのは難しいだろう? それと同じだよ。それに愛して貰えても元が淡泊だから夜の営みに淡泊になるし、食い物の味付けも薄味だ。まるで聖人になった様な生活になるぜ」
ガイア…大丈夫なのか?
彼奴は人一倍女に煩いからな。
「なんだか、心配になって来たな」
「ああっ、それに売られているエルフは基本的に人間を恨んでいるからな、心を開くのは大変だぜ」
そうか…エルフは森の民だ、それが人間の住む街に居ると言う事は『攫われた可能性が高い』
「確かにそうだな」
「ああっ、更に買ったのはエルフの中でも希少なハイエルフなんだろう? 恐らくエルフの貴族階級、下手したら王族だぜ。それが奴隷になっているんだぜ…隙があれば奴隷紋で死ぬの覚悟で殺してくるかも知れねーし、場合によっては森でそのハイエルフを探している部下に襲われるかもしれねーよ」
本当にやばそうだな。
こう言う話を聞くとエルフは完全にハズレの様な気がし始めた。
まるで地雷だな。
「そう聞くとエルフは地雷の様な気がしてきた」
「地雷が何か解らねーが、まぁハズレだ。どうしてもというならダークエルフだな。まぁ多少気位は高いが、エルフに比べると仲間意識は弱いから頑張れば愛して貰える、だが人族に比べれば、それでも数倍大変だがな」
しかし、オークマンはこと奴隷には奴隷商より詳しい。
「それじゃガイアは凄く大変そうだな」
「ああっ後悔しているかも知れねーな」
◆◆◆
「いい加減、名前位教えろよ」
「何でわらわが、お前如きに名前を名乗らねばならんのだ」
「お前は俺の奴隷だ。俺に尽くす義務がある」
「ふんっ、勝手に攫ってきて奴隷にする等、蛮族の極みだ。誰がお前などに従うか…うっハァハァ」
馬鹿な奴だ。
逆らえば奴隷紋が痛みを与える。
「お前は奴隷なんだ、俺には逆らえないぞ」
「卑劣な人族め、わらわに何をする気だ」
「それは、色々だ」
「色々とは奴隷商が言っていた好色な事か」
「それも…含む」
「ハァ~こんなババアを抱きたいとは人族とは何処まで好色なの…わらわはもう2千歳近くでとっくに生理も上がっている」
2千歳? ババア? どう言う事だ?
「お前、何を言っているんだ? どう見ても若いじゃ無いか」
「人族からはそう見えるのかも知れないが…エルフではもう老人ですよ?流石に同族では抱こうと言うものは居ません…お婆ちゃんも良い所ですから」
確かに綺麗だし、凄い美人だ。
だが…老人だと言われると…どうして良いか解らなくなった。
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